洋ナシ型やハート型など、特徴的な形状のダイヤモンドをファンシーカットダイヤモンドと呼びます。ファンシーカットダイヤモンドは、スタンダードなラウンドブリリアントカットとは異なり、デザイン性の高さや特別感が人気の秘訣です。本記事ではファンシーカットダイヤモンドの定義や歴史について、詳しく解説します。さらに、人気の種類も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.ファンシーカットダイヤモンドの特徴
ファンシーカットダイヤモンドの定義

ファンシーカットダイヤモンドとは、58面のファセットからなるラウンドブリリアントカット以外の形状を持つダイヤモンドを指します。ファンシーとは「変形」を指し、カットはダイヤモンドの形状ではなく研摩方法や角度など完成度のこと。なお、ブリリアントカットでも形状が円形以外であれば、ファンシーカットダイヤモンドに分類されます。
原石を無駄なく活用できるカットに研摩するファンシーカットダイヤモンドは、多くのカラット数が残せるのも特徴です。形状によってはラウンドブリリアントカットよりも大きなダイヤを身につけられるため、見た目のインパクトを重視される方からの人気もあります。
ファンシーカットダイヤモンドは一般的に流通しているラウンドブリリアントカットよりも、取引額は下がるものの、ユニークな魅力に惹かれている方々から非常に需要があるといえるでしょう。
ファンシーカットダイヤモンドの歴史

ファンシーカットダイヤモンドは、ダイヤモンドカット技術が発展するなかで生まれました。ダイヤモンドの輝きを生み出すための研究がなされ、ジュエリーとして扱いはじめたのは15世紀頃。表面を磨いたテーブルカットやローゼンツカットが誕生し、16世紀後期には今でも人気のローズカットが発明されるなど、ダイヤモンドカットの歴史にもさまざまな変遷がありました。
特に18世紀から19世紀にかけて新たなダイヤモンドカットの開発が進み、王道とされるラウンドブリリアントカットのベースも同じ頃にベルギーの研磨師によって生み出されました。ファンシーカットは各時代のファッションや美的感覚に大きな影響を受けて、さまざまな形が生み出されたとされています。
たとえば、ビクトリア朝時代はハートシェイプダイヤモンドがロマンチックの象徴として人気を博し、婚約指輪に取り入れられていました。また、エドワード朝時代は洗練された美しさ、対称性の安定性が貴族から好まれたとされています。大粒のダイヤモンドとして最古のものとされている伝説のコ・イ・ヌールも、オーバルシェイプダイヤモンドとして有名です。
時代を反映してきたファンシーカットダイヤモンドは、現代でも多くの方に指示されています。近代は新しい技術やデザインの多様化もあり、より自分好み、スタイルにあうファンシーカットダイヤモンドが選びやすくなっているでしょう。
ファンシーカットダイヤモンドは個性的でユニークなデザインが特徴

ファンシーカットダイヤモンドの最大の特徴は、ラウンドブリリアントカットにはないユニークな形状でしょう。一つ一つに個性のあるファンシーカットダイヤモンドには、洋梨型のペアシェイプや長方形のレクタンギュラーなど個性豊かなスタイルに魅力を感じている方が多いです。
また、ファンシーカットダイヤモンドの種類は、細かく分類すると数百種類に分かれます。限定的なデザインカットも含めると、入手困難なファンシーカットダイヤモンドも存在するでしょう。
さらに、ファンシーカットダイヤモンドはジュエリーデザインの自由度を高め、斬新なデザインを可能にします。ハート型やマーキース型など、デザイン性の高いファンシーカットダイヤモンドは、ジュエリーのメインでなくサブとして使用されることも。特にマーキース型は指を長く見せる効果があるとして、指輪に取り入れられることが多いです。
ラウンドブリリアントカットとは評価基準が異なる

通常、ダイヤモンドは「カラット・カラー・カット・クラリティ」の4C基準で評価されます。しかし、ファンシーカットダイヤモンドにはカットグレードの基準がありません。
ラウンドブリリアントカットには完璧な対称性と輝きを追求するために、非常に厳格な評価基準が設けられていますが、ファンシーカットダイヤモンドには形状による特性が評価されます。
たとえば、エメラルドカットは面積が大きいため、インクルージョンの位置やカラット重量の分布が評価に影響されやすいです。ファンシーカットダイヤモンドは形状によって光の反射や輝き方が異なるため、ブリリアンスやファイアの評価にも独自の評価があります。
ファンシーカットダイヤモンドの評価はそれぞれの形状によって、独自の評価基準が設けられています。取引業者によって査定力も異なるため、買取を利用する場合は評価基準を理解し、比較してみましょう。
2.ファンシーカットダイヤモンドの種類
ファンシーカットダイヤモンドにはさまざまな種類があり、希少性の高いシェイプは需要が高いです。なかでもペア・シェイプや長めのオーバル・シェイプ、レクタンギュラー・シェイプなどは、ファンシーカットダイヤモンドのなかでも高値で取引されているケースも。ここではファンシーカットダイヤモンドのなかでも、人気の高い10種類のシェイプダイヤモンドを紹介します。
1.ペア・シェイプ・ダイヤモンド

ペア・シェイプ・ダイヤモンドは、洋梨の形をしたダイヤモンドです。ティア・ドロップ型とも呼ばれるペア・シェイプ・ダイヤモンドは、ブライダルジュエリーとして人気が高く、婚約指輪として人気があります。
ペア・シェイプ・ダイヤモンドの起源は、1400年代後半にフランダースやブルゴーニュ地方で誕生したとされています。当時は貴族階級に人気があり、1800年代後半から一般に広く普及しました。
縦長のエレガントなデザインは、洗練された印象と共に指を美しく見せてくれるため、ほかのファンシーカットダイヤモンドよりも人気が高いです。ラウンドブリリアントカットと同様に、58のファセットから構成され、整ったプロポーションであれば非常に美しく輝くでしょう。
2.エメラルド・シェイプ・ダイヤモンド

エメラルド・シェイプ・ダイヤモンドは、長方形と階段状のカットが特徴のファンシーカットダイヤモンドです。アールデコ時代に人気があったエメラルド・シェイプ・ダイヤモンドは、クラシックで洗礼された印象を与えます。
元々は、エメラルドを美しくするためのカットでしたが、1900年代頃ダイヤモンドでもエメラルドカットができるようになりました。
カット数が少ないため、大きなダイヤモンドを選ぶとよりゴージャスな印象になります。大きな面が光を反射しやすく、クラシックデザインのジュエリーとの相性がよいのも特徴です。エレガントな雰囲気のあるエメラルド・シェイプ・ダイヤモンドは、婚約指輪や結婚指輪などのほかに、ペンダントやブレスレットなどにも適しています。
3.ハート・シェイプ・ダイヤモンド

可愛らしい見た目のハート・シェイプ・ダイヤモンドは、ロマンチックな形状が人気のファンシーカットダイヤモンドです。アクセントとしてもメインとしても取り入れやすく、クリスマスやバレンタインなどシーズン的な人気もあります。
ハート・シェイプ・ダイヤモンドはほかの研摩方法よりもカットロスが多く、ダイヤモンドの原石は大きくなければなりません。ハートの形を美しく表現するには、左右対称でバランスが整っている必要があり、職人の腕前によって輝き方にも差がでます。
希少性は高いものの、好みが分かれるデザインでもあるため、市場価格はそれほど高くありません。ハート・シェイプ・ダイヤモンドは、フォーマルなシーンはもちろん、カジュアルなシーンでも身につけやすく、記念日のギフトに選ばれやすいです。
4.マーキース・シェイプ・ダイヤモンド

ファンシーカットダイヤモンドのなかでも、人気の高いマーキース・シェイプ・ダイヤモンドは、細長く尖った両端が特徴です。舟の形にも似たマーキース・シェイプ・ダイヤモンドの始まりは1745年。フランスのルイ15世が愛人であるポンパドゥール伯爵夫人の唇の形に似せて、宝石商に作らせたのが始まりとされています。
マーキース・シェイプ・ダイヤモンドはユニークな形状で、小粒でもしっかりとした存在感があります。また、指を長く見せる効果もあるため、指輪のセンターストーンに配置されることも多いです。
輝き方も強く、エレガントさとゴージャスさを兼ね備えた魅力があります。現在、良質なカットのマーキース・シェイプ・ダイヤモンドは高値で取引されることもあり、非常に需要の高いファンシーカットダイヤモンドといえるでしょう。
5.スクエア・シェイプ・ダイヤモンド

スクエア・シェイプ・ダイヤモンドは、その名の通り正方形の形状を持つファンシーカットダイヤモンドです。直線的な輪郭が特徴で、ファンシーカットダイヤモンドのなかでも個性的な魅力があります。
シンプルな形状のスクエア・シェイプ・ダイヤモンドは、モダンな輝きと洗練された印象を与え、シンプルなデザインが好まれる現在ジュエリーに多く取り入れられています。
多面性により美しい反射が楽しめるのが魅力で、カット精度によっては魅力的な輝き方を。シンメトリーが良いスクエア・シェイプ・ダイヤモンドは、希少性も高く、エレガントな輝きがあります。あらゆるスタイルとマッチするため、ピアスなどさりげないジュエリーから、指輪、ペンダントなどさまざまなジュエリーデザインとの相性が良いです。
6.オーバル・シェイプ・ダイヤモンド

オーバル・シェイプ・ダイヤモンドは楕円形のファンシーカットダイヤモンドで、ラウンドブリリアントカット同様に58面のファセットでできています。ファンシーカットダイヤモンドのなかでも、長めのオーバル・シェイプ・ダイヤモンドは非常に人気が高いです。
ラウンドブリリアントカットに次ぐ王道のシェイプで、よくエンゲージリングに使われています。縦に長いオーバル・シェイプ・ダイヤモンドは、指を細長く見せる効果があり、シンメトリーであればあるほど、華やかな輝きが楽しめるでしょう。
1700年頃に誕生したオーバル・シェイプ・ダイヤモンドは、エリザベス女王の王冠にも施されています。ラウンドよりも表面積が大きいため、ゴージャスな雰囲気があるのもオーバル・シェイプ・ダイヤモンドの特徴です。
7.プリンセス・シェイプ・ダイヤモンド

プリンセス・シェイプ・ダイヤモンドは、スクエア・シェイプ・ダイヤモンドに似た四角形が特徴のファンシーカットダイヤモンドです。四角形ですが強く輝くように1981年に発明されたダイヤモンドで比較的新しいカットでもあります。
プリンセス・シェイプ・ダイヤモンドは真上から見るとスクエア・シェイプ・ダイヤモンドにそっくりですが、カット数に違いがあり、輝き方が大きく異なります。
クラシカルなスクエア・シェイプ・ダイヤモンドとは異なり、プリンセス・シェイプ・ダイヤモンドはブリリアンスな輝きが楽しめます。プリンセス・シェイプ・ダイヤモンドは婚約指輪で絶大な人気があり、放射線状の輝きは手先を美しく引き立ててくれるでしょう。
8.クッション・シェイプ・ダイヤモンド

クッション・シェイプ・ダイヤモンドは、プリンセス・シェイプ・ダイヤモンドとは異なるファンシーカットダイヤモンドです。ピロ―カットとも呼ばれるクッション・シェイプ・ダイヤモンドは、角に丸みがあるのが特徴です。
クラシックカットとして有名なクッション・シェイプ・ダイヤモンドですが、理由は1850年以前のダイヤモンドが自然に削られて丸みを帯びていたからとされています。当時は輪郭を整えるよりも、ダイヤモンドのカラットを重要視していたため、採掘された原石そのままに表面だけが磨かれていました。
クッション・シェイプ・ダイヤモンドはファセットが大きいため、透明度の高いダイヤモンド原石との相性が高いです。カラーダイヤモンドとの相性も良く、クラシカルな魅力があります。
9.レクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンド

レクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンドは、長方形の形状が特徴のファンシーカットダイヤモンドです。レクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンドには、エメラルド・シェイプ・ダイヤモンドやラディアント・シェイプ・ダイヤモンドも含まれます。
クラシックでエレガントな雰囲気のあるレクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンドは、ファンシーカットダイヤモンドのなかでも人気です。
カットの精度がよいレクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンドであれば、優雅に輝くため、フォーマルなシーンで活躍するでしょう。現在、サイズの大きいレクタンギュラー・シェイプ・ダイヤモンドは高値で取引されています。
10.ラディアント・シェイプ・ダイヤモンド

ラディアント・シェイプ・ダイヤモンドは、エメラルド・シェイプ・ダイヤモンドの直線的な美しさとブリリアントカットの輝きが楽しめるファンシーカットダイヤモンドです。1977年に誕生した新しいカットですが、すでにブライダルジュエリーに多く取り入れられています。
長方形のラディアント・シェイプ・ダイヤモンドには指を細く見せる効果があり、縦に配置されている指輪が多いですが、横向きにセットしているジュエリーも増えてきました。研摩ロスが少なく、大粒に仕上げやすいのもラディアント・シェイプ・ダイヤモンドの特徴です。
ラディアントとは「光輝く」「まばゆい」などの意味があり、凛とした輝きが楽しめるファンシーカットダイヤモンドです。四隅はカットされているため、強度も高く、モダンなデザインにも合います。
3.ファンシーカットダイヤモンドの価値
ファンシーカットダイヤモンドは、流通数の多いラウンドブリリアントカットよりも、取引相場が40〜60%程度低くなります。さらに、シェイプによって価格が変動しやすく、好みの分かれる形状であればさらに低くなることも。ここでファンシーカットダイヤモンドの最新トレンドについて解説します。
ファンシーカットダイヤモンドの相場

需要の高いペア・シェイプや希少性の高いレクタンギュラー・シェイプなど、一部を除き、ファンシーカットダイヤモンドの取引価格は高くありません。同じカラットでもラウンドブリリアントカットの方が高く、デザイン性の高いファンシーカットダイヤモンドが需要が分かれて価格も下落傾向にあります。人気のシェイプであればプレミア価格になるケースがありますが、需要と供給のバランスによって流動性は異なります。
2024年のファンシーカットダイヤモンドのトレンド

2024年5月現在、ファンシーカットダイヤモンドの価値は上昇傾向にあります。 理由としては世界情勢の影響で、スタンダードなラウンドブリリアントカットダイヤモンドの売れ行きが悪くなっているからです。ファンシーカットダイヤモンドは市場性としては安価でしたが、これまでも一定の需要があり、市場価格自体は安定していました。特に長めのオーバルや取り扱いのしやすいペア・シェイプ、根強い人気のマーキ―ス、レクタンギュラーは、すでにプレミア価格で取引されています。
4.ファンシーカットダイヤモンドの高価買取ならリファスタへ

さまざまな魅力のあるファンシーカットダイヤモンドですが、ラウンドブリリアントカットよりも取引価格が市場性と流動性より40〜60%程度下がってしまいます。納得のいく価格で取引するのであれば、信頼できる買取業者選びが欠かせません。リファスタはお客さまの大切なファンシーカットダイヤモンドを一点一点、しっかりと評価いたします。専門資格を取得している買取のプロが、ダイヤモンドの品質を心を込めて査定させていただきます。傷が入っている場合や、刻印のある指輪なども、お買取が可能です。
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特徴的な形状のファンシーカットダイヤモンドは、特別なデザインを求める人々から根強い人気があります。ファンシーカットダイヤモンドには、ラウンドブリリアントカットにはない独自の美しさがあり、光の反射や輝き方が異なります。