プラチナとは
プラチナは和名称「白金」となる金属で、レアメタルの中でも特に希少な貴金属です。南アフリカが70%以上の産出を占め、その用途は化学的に安定している点・融点が高い点・高い耐久性・希少性などから工業用(特に浄化触媒)や産業用(特にハードディスク)・投資用(白金地金・金貨)を80%前後を占め、残りが宝飾用途として使われています。
日本人のプラチナ思考
昨今は価格高騰及び景気の減少から宝飾品用途が減少しているのも頷けますが、それでも結婚指輪や婚約指輪、ハイジュエリーには未だに日本ではプラチナ信仰が根強いため使われており、世界シェアの11%前後を占めています(因みに世界シェア1位は中国)。日本人は美智子皇后さまのティアラや、ダイヤモンドの憧れからプラチナの需要は今後も続く貴金属と思われます。
プラチナ相場の動向
最先端技術にも利用されるプラチナ
プラチナも金同様、化学的に非常に安定している事から触媒として自動車の排気ガスの浄化や、フルート・電極・るつぼ・と多方面で活躍しています。日本では宝飾用としてですが、世界的に見ればプラチナは工業用として約62%が使用されており、医療・バイオ・化学と多方面で活躍しています。 また、地球環境を支える最先端技術にも利用されており、21世紀の産業には不可欠な資源として需要が高まって来ています。
これまでに採掘されたプラチナは約4,720トンと金の1/34という少なさで、貴金属の中でも特に希少性があります。プラチナの市場規模は金よりも小さい為世界経済・社会情勢の動向によって爆発的に価格が変動することもあります。現物資産としての価値に加え、投資としても魅力のある貴金属といえるでしょう。ここ数年のプラチナの買取価格の推移を「プラチナ相場チャート」ページにまとめておりますので、詳細は下記ボタンよりご覧ください。
プラチナの歴史
遡ること紀元前700年頃、エジプトの女性神官シェペヌペットの墓から出土した小箱で、「テーベの小箱」と呼ばれるものが現存する最古のプラチナ製品としてルーブル美術館に収蔵されています。10世紀頃では既に高度な精錬技術があり、純度80%以上の装身具としても利用されていたと言われています。 当時の精錬技術ではプラチナを溶かす事は出来ず、大量に破棄されるということもありました。何千年もの間その価値が見出されることも無く、1700年代にコロンビアのピント川で白い金属を発見し「ピント川の小さな銀」と呼ばれ、今のプラチナとなるのです。
プラチナと金の違い
金とプラチナ、どちらも一緒の貴金属の仲間と思っている方もいるかもしれませんが、実が全く違います。それは素材自体が違うのではなく、「性格」が違うと言う事です。プラチナは前出の通り工業用の性格を色濃く持っています。これは産業=景気に左右される側面を持っていると言う事。景気が良くなれば金額は上昇し、逆に景気が悪くなったり、どこかの国の経済危機があったりすると、売られて金額は下がります。2015年では、VW(フォルクスワーゲン)の排気ガス規制偽装問題では、車が売れなくなるとの見解から、5,000円から3,600円まで下落したのは記憶に新しくもあります。過去にはリーマンショックやサブプライムローン問題、ギリシャ危機やイギリスのEU脱退で、金は上がったがプラチナは下がると言うのがそう言う事です。安全性を求める時はプラチナは買われず金は買われ、外貨準備などでも金は買われるがプラチナは買われないんです。
しかしながら金と同じ【貴金属】と言う商品の性格も有る為、全く違う局面で金が上昇した時にプラチナも一緒に上昇すると言う場合もあるんです。こう言った性格の違いを抑えておき、プラチナをお持ちの方はテレビのニュースや新聞などで経済動向を観察しながら、売るタイミングを考えていても良いのかもしれませんね。
プラチナの希少価値
「プラチナとは」でも説明した通り金に比べ非常に産出量も少なく、主要産出国も南アフリカ・ロシア・カナダの3カ国しかありません。さらに原鉱石のプラチナ含有量もごく僅かで約3gの製品を作るだけでも1トンもの原鉱石が必要となります。ここまでお話しただけでもプラチナの希少性というものが分かると思います。プラチナ自体全金属中最も安定かつ劣化することが無い為、ほぼ永遠に触媒として利用可能です。プラチナこそまさに我々人類には重要不可欠な金属かもしれません。
プラチナの用途別シェア率
自動車触媒 | 39% | 宝飾品 | 37% |
化学 | 5% | ガラス | 5% |
電気 | 3% | 石油精製 | 2% |
投資 | 1% | その他 | 8% |
現在では自動車の触媒としてプラチナよりも安いパラジウムが使用できる事が判明し、世界中の自動車メーカーがパラジウムを買いに走りました。 当然、パラジウムが高騰。さらに追い打ちをかけるように世界のパラジウム産出国第2位のロシアが国外に出し渋りをした為、プラチナよりも高騰したこともあります。そうなれば自動車メーカーは挙ってプラチナを買いに走り、今度はプラチナさえも高騰という状態にもなりました。
プラチナの品位(純度)について
皆さんがお持ちの指輪や宝石に付いている地金のプラチナですが、必ずと言っていい程刻印があります。プラチナは工業用という側面と、金よりもっと柔らかいと言った側面から金性(キンショウ)が下がるにつれて買取価格と価値は下がっていきます。ここでは広く世に流通しているプラチナの品位を、良く製造されているアクセサリーのカテゴリと共にご紹介していきます。
Pt999(純プラチナ)99.95%含有
Pt999(Pt1000は平成24年4月以降999になりました)はPlatinum999の略となり、100分率で言う99.95%となります。世界中どこでも用いられ指輪やネックレスと言うより、一番多いのが工業用金属でしょう。世界採掘の62%が工業用として使われ、次いで宝飾用となります。日本はその中の世界最大のプラチナ消費国となりますので驚きです。ただ純プラチナは非常に柔らかく傷も付きやすい為、宝飾品等には不向きとなりまずが、稀に純プラチナのネックレスや指輪を目にします。アジアとは違ってプラチナというネームバリューが強い日本ならではのアクセサリーです。金同様、合金を混ぜて固さを持たせるのが一般的となります。
Pt950(950白金)95%含有
Pt950はPlatinum950の略となり、100分率で言う95%となります。世界中どこでも用いられますが、特に多いのが欧州のブライダルジュエリーの品位となることが多いです。イギリスは950しかプラチナと認めていないほど。カルティエやブルガリ、ティファニーのエンゲージリング(婚約指輪)などで多く用いられる品位となります。もちろん日本の結婚指輪にも多く用いられる品位です。Pt900よりプラチナが多く含まれているため柔らかく傷がつきやすいのも特徴です。
Pt900(900白金)90%含有
Pt900はPlatinum900の略となり、100分率で言う90%となります。世界中で用いられますが、特に日本人が多く好む品位です。需要トップは指輪とペンダントトップ。細かな細工を必要とするため程よい硬さと柔らかさを持っている900はぴったり。しかも変色せずプラチナ独特の色調もございます。割金はパラジウムやルテニウム、稀に銅も使われることが多いです。ネックレスでトップは900、チェーンは850が多いのもこの為となります。
Pt850(850白金)85%含有
Pt850はPlatinum850の略となり、100分率で言う85%となります。世界中でも勿論用いられていますが、特に日本ではチェーンネックレスに用いられるのが需要トップとなります。理由として950や900より硬さを持たせたいのがあります。しかも変色せずプラチナ独特の色調あるためホワイトゴールドより好まれる傾向です。割金はパラジウム・ルテニウム・銅など。加工コストがPt900より安い事からじゅわいよ・くちゅーるマキなどがPt850品位を指輪などに用いたのは有名です。
品位ごとのプラチナの刻印
Pt999,Pt1000
(純プラチナ)
Pt950
(950白金)
Pt900
(900白金)
Pt850
(850白金)
プラチナジュエリーにある刻印の場所
プラチナは指輪なら裏側に、ネックレスやブレスレットは多くはプレートに、ピアスはポスト部分に刻印されています。金の様に24分率でなくパーミル=千分率で表します。現在では元素記号と一緒の”Pt”をISO(国際標準化機構)に準するJIS(日本工業規格)・CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)共に999,950,900,850と一緒に刻印する事を定めています。古いものだと”Pm”と言う刻印もありますが、そのほとんどは純度は今の”Pm”と何ら変わらない認識でいますのでご安心ください。因みにPt1000は平成24年よりPt999と打刻される事が義務付けられております。
プラチナとホワイトゴールドの見分け方
プラチナ
(購入後10年の状態)
ホワイトゴールド
(購入後10年の状態)
色の違いと、ホワイトゴールドが黄ばんでしまう理由
向かって左側がプラチナ製。右側がホワイトゴールド製です。ご覧のとおりホワイトゴールドは黄ばんでいます。なぜ、このようにこれはホワイトゴールドが純金に銀やパラジウム、ニッケルを配合してつくられるため、愛用しているうちにコーティング(ロジウムメッキ等)が剥がれて元の金色が出てきてしまいます。これが黄色く変色したように見える理由。一方、プラチナは元々が白い白金属のため長年愛用していても色が変わることがありません。永遠の輝き…と言われたり、結婚指輪として多く利用されるのはこういった理由があるからなのです。
重さの違い
プラチナ
例:1.33g
ホワイトゴールド
例:1.00g
重量の違い
全く同じデザイン、サイズの指輪があったとして、向かって右側のホワイトゴールドのリングをわかりやすく1.00gとします。この場合プラチナの重量は1.33g。つまりプラチナの重量はホワイトゴールドの約1.33倍あるということ。同じデザインのリングでもプラチナの方が重厚感があり、使われる重量も多いため必然的に金額も高価になります。しかしプラチナは金と違い工業用の面を多く持ち、尚且つ政治的・地政学的リスク等にも極端に左右される貴金属のため相場が金の様に安定せず時折、高騰・暴落を頻繁に繰り返す貴金属でもあります。
結婚指輪にも良く使用される白い輝きを放つプラチナの用途は、大きく分けて工業用と宝飾用の2つ。世界最大のプラチナ消費国家日本では、国内総需要のおよそ40%が宝飾用として使用されており、特にプラチナ好きの国民と言えるでしょう。