政府が国会に日本銀行の人事案を示し、次期総裁に元日銀理事、経済学者の植田和男氏を指名しました。
今回はこの件についてです。
この記事の要約
今回の記事では、日銀の植田新総裁が行うであろう金融政策を、任命の経緯とアメリカがやっていることから考察。
大前提として、岸田総理の思惑である株価上昇からの支持率回復を念頭に置いた、緩和継続路線となるだろう。
そしてその手法とは、現在アメリカで行われている、金融引締と見せかけた超絶緩和政策であることを見誤ってはならない。
それでは具体的に見ていきましょう。
分からないものは分からない

植田氏が日銀総裁に指名されたとするリーク記事が出てから、過去の言動や論文探しが始まっています。
4月から国会では与党が過半を握っており、この人事は内閣の指名、国会の同意と法律で決まっているので、ほぼ決定と言ってよいでしょう。
主に金融関係者が過去の言動、論文などを見て、今後の植田日銀の行く末を探っているようですが、分からないものは分からない、ということです。
国会で2月24日に証言をする予定となっていますが、実際の日銀の金融政策決定会合などを経て、植田新総裁がやりたいこと、やることが判明するものです。
過去に発表した論文や言動と全く違う政策を行う可能性もあるので、探っても無駄な努力と言えるでしょう。
緩和路線は継続するのか?

植田日銀総裁が決定するまでには、さまざまな経緯があるので、まずはそれを解説します。
一番の焦点は、前任の黒田総裁の緩和路線を継続するのかです。
日銀総裁は内閣の指名人事であり、岸田総理の意向を大きく反映することになります。
岸田総理の現況は支持率が低迷しており、その支持率は、株価を上昇させれば勝手に上昇します。
身もふたもないですが、過去の小泉政権や安倍政権は株価と支持率が相乗効果のようになっていました。
その間に何をやっていても、例えば、桜を見る会や加計問題で安倍政権が炎上している間も、株価が順調であれば支持率も安定していました。
一方で菅前総理やその前の野田元総理の政権は、株価が低調そのものであり、結果として倒れたのは明白です。
だから岸田総理は株価を上げて解散総選挙を行い、自身への求心力を求めることになります。
これは安倍元首相がやっていた手法です。
植田日銀新総裁決定の経緯

今の低支持率では自民党が選挙で勝つ見込みはないので、新日銀総裁に求めるのは株価の上昇であることは明白です。
その際に黒田路線の金融緩和路線を変更すれば、一気に株価は沈み込み、ますます低支持率になることは明白でしょう。
ですから岸田総理の頭の中には、金融緩和路線を縮小しない、すなわち金利を引き上げない人、量的緩和を行わない人を挙げることができます。
それは現職の雨宮副総裁ではなく、植田理事だったということでしょう。
植田新総裁は自宅前のインタビューで、「金融緩和路線を続けるつもりだ」と言っているわけですから、その辺は岸田総理にとって花丸二重丸です。
分からないことでも、こうやって指名権などを考えれば、岸田総理の意向に沿っていない人が指名されるわけもないのです。
それを野党などは金融緩和のうんちゃらかんちゃら、政策総点検とか騒いでいます。
その野党の国対委員長や党首などは、非常に分かりやすい言葉で話すので、誰もが理解できるのです。
一方の、金融のことがある程度分かっている先生方というのは、分かりにくい表現で話をするので、一般の国民には、緩和は見直されると解釈されるだけの話です。
上記の経緯を見れば、緩和路線は継続ということは、誰が見ても明らかでしょう。
黒田総裁の長期金利誘導目標引き上げの意味

2022年12月に黒田日銀総裁は、YCCの長期金利誘導目標を0.25から0.25引き上げ、0.5としました。
この利上げについて、実質的な金融緩和であると言っています。
この意味は非常に明快です。
まず、本当に黒田総裁が行った利上げが引き締めになるのであれば、金や株価は下がるはずです。
しかし12月の緩和後から金の価格や株価は、下がるどころか上がってしまったのが本当のところです。
金利を引き上げて緩和だというのは、矛盾していると思われるかもしれません。
しかし、実際は今までのアメリカの引き締め政策とは、本当は超絶緩和ということを説明しています。
だから実際に、金や株価は上がっているのです。
アメリカの超絶緩和の説明
アメリカがやっていることは、以下のグラフで説明できます。
いつも出しているチャートですが、これは社債金利からFFレート(政策金利)を引いたものです。

金利は引き上げていますが、実際の金利は社債金利の方が安い状態になっています。
まともな経済では、社債金利の方がFF金利より高いのが当然のところ、今は逆になっているのです。
例えば2019年に大幅に金利が低下していますが、これは当時のトランプ大統領が「金利が高過ぎるとロクなことがない」とパウエルFRB議長に苦言を呈した結果でした。
政策金利も下げたのですが、実質の金利はもっと下がったわけです。
これにより、株価は史上最高値を更新しました。
そのほか、ITバブル前はリーマンショック前にも実際の金利が低下しており、結果、その際にも史上最高値を更新しました。
今やっているのは、株価を上昇させてバブル化を図ることだけです。
そしてパウエル議長が懸念しているのは、バブルを起こして破裂した後の始末の問題です。
それを経済不振と言っているのですが、ほとんどの専門家は今、経済が不景気になることを懸念しています。
つまり、解釈が間違っているのです。
金や白金族の価格は4月以降にすっ飛ぶ?

植田新総裁の証言が2月24日にありますが、上記のアメリカの状態を見て、聞かなくてもアメリカとほぼ同じようなことをやることが分かります。
なぜならこれをやっていれば、岸田総理の意向どおり株価が上昇する可能性が高いからです。
黒田総裁も実は、同じことをやっています。
植田日銀は利上げや量的緩和の縮小をしていると見せかけて、実質の金融緩和や利下げを行うことは明白です。
短期的には間違いのことはあっても、長期的にはドル安や金利安で金が高くなることは証明されています。
つまり金や白金(プラチナ)、パラジウム、果ては銀、そしてダイヤモンドなどは4月以降にすっ飛ぶ可能性が極めて高いということになるでしょう。














