おそらく企業の資金調達コストが歴史的な安値になっているので株価は上昇するでしょう。
しかし、日本の企業の生産性は向上するのでしょうか。
この記事の要約
前回、金融引き締めと中央銀行は謳っているが実質は金融緩和を行っている、ということを解説。
https://kinkaimasu.jp/lounge/2023/02/16/americas_economy_is_getting_better_gold_price_rise_prospects/
ただし今回の記事では、同じことをやっている日米両国であっても、アメリカの企業は成功し、日本企業は過去同様に失敗するのが必然であることを解説する。
その根拠は、株主の顔色ばかりを見た日本企業の研究開発費ケチり体質。
そして、こうした体質によって生産性が向上しないという問題。
そこに岸田総理が大学ファンドを設立し、研究開発を支援しようという考え方がそもそも間違っているということを見ていきましょう。
相反するFRBのオペレーション
現在、中央銀行やメディアは盛んに「金融引き締め」を行っていると喧伝しています。
しかし、実際に実施されているのは金融緩和です。
こうした齟齬は、FRB(連邦準備制度理事会)が
1. 誘導目標金利を引き上げることによって、FRBの国債オペレーションは債券を市中銀行から買い取り、市中に現金を放出する作業を行っている
2. 他方で、金融引き締めのために市中銀行から現金を買い取り、債券を市中銀行に放出している
という相反したオペレーションを行っていることから生じています。
現在のFFレートが4.58程度で資金を放出し、1年物の市場金利が4.88程度ので、安い資金をマーケットに提供し、高い資金を買い取るという作業をしているのです。
つまり高い資金をFRBが負担して買い取り、安い資金をFRBが放出しています。
これは利上げや量的引き締めではなく、実質的な緩和です。
そして、日本も2022年末に長期金利の誘導目標を0.25引き上げたことによって、実質的な緩和を行っています。
この状況で株価が下がるかと問われれば、下がるわけがないと推測できるでしょう。
近々バブルが来る?
下記のグラフは、Aaaクラス格付けの企業の社債金利からFFレートを引いたもので、実質の企業の金利負担を意味しています。

FRBは2月2日に金利を0.25引き上げましたが、社債金利からFFレートを引いた実質的な企業の資金調達コストはマイナスとなっており、企業の資金調達コストが容易になっていることを示しています。
これを長期間で見ると、以下のようになります。

2006年からのリーマンショックや1999年のITバブル崩壊前にマイナス金利が続き、その後、株価が劇的に上昇したことは言うまでもありません。
ITバブルはIT企業が儲かったからではなく、資金調達の容易さがバブルを引き起こしたのです。
今回もなんの危機もないのに資金調達コストがマイナスとなっており、おそらく株価はバブルとなるでしょう。
日本もアメリカと同じだが…

上記はアメリカの金融政策を述べたものになりますが、日本も同じことをやっています。
つまり、企業の実質の資金調達コストは歴史上まれに見るほどの容易さにあり、借りれば借りるほど儲かる構造になっているのです。
日本は、これをリーマンショックや東日本大震災時に経験しましたが、その効果を経営者はうまく利益に乗せることができませんでした。
その理由は、明快になります。
日本製のテレビを例に挙げると…

岸田政権は政権発足直後に大学ファンドなるものを立ち上げましたが、この問題の要旨は、日本企業の研究開発費が年々減っていることに問題提起をした形です。
一見正しい政策に見えますが、とんでもない誤った政策になります。
例えば、テレビを新調しようとします。
60画面以上の大画面の液晶ではなく有機ELテレビで、せっかく購入するのであれば、韓国製や中国製ではなく日本製を買おうとします。
そこでいろいろ調べると、日本製には2021年製と2022年製があります。
当然、2021年製の方が安いわけです。
で、何が変わったのだと思っていると、断然機能が向上したように書かれていますが、実質の機能は向上していません。
安いものを買っても高いものを買っても、目に見えて良くなる機能などない状態なのです。
キットカットに見る日本の研究開発費問題

スイスのネスレ社が生産しているチョコレート、キットカットをご存知でしょう。
さまざまな種類がありますが、世界でも日本の種類の多さがダントツです。
これは日本の経営者に問題があり、とりあえず株主からの増配圧力が近年大きくなってきています。
つまりもっと配当を寄越さないと株を手放すぞ、という脅しにあっているのです。
ところがご存知のように日本はお給料が上昇しないので、売り上げの増加は見込みにくいのが現実。
新商品は当たれば大きいのですが、当たらない場合、売り上げ減となり増配ができなくなります。
日本企業の研究開発費の減少はここにあるのです。
リスクの高い研究開発にお金をかけても、うまくいかなかった場合のリスクが高いと日本の経営者は考えています。
研究開発費はリストラの対象となり、年々減っていくのが当然でしょう。
そこで日本企業が株主の要求に応えるために、代り映えのしない新商品を新発売するだけです。
この効果がなくなるのはだいたい1年なので、毎年のようにマイナーチェンジを行います。
これらの原因は企業がリスクなく、安定的に儲けが出るための方策であり、これが日本企業の実態なのです。
金のトレンドは上昇するだろうが…

前提条件として日本人の給料が上がらないので、目先を変えて新商品を発売し、売り上げを留保しようとするのです。
リスクのある新商品の開発など行うでしょうか。
そこに岸田総理が掲げる、大学が企業の新商品開発を応援するという政策は間違いになります。
企業が生産性を上げるためには、企業自身が自助努力によって製品開発を行うことが日本経済の再生、賃金上昇につながるのです。
アメリカの従業員一人当たりの生産性は1600万円、対する日本はたったの800万円。
これで賃金が上昇するわけがないのに、賃金を上げるのは無理だと言うのは経営者の怠慢ではないでしょうか。
企業経営のトップが新商品開発に全精力を傾け、売り上げを伸ばす努力をすれば、勝手に生産性は上昇し賃金は上昇します。
実質的な金融緩和を行ってもアメリカは成功し、日本はまた失敗するのが必然でしょう。
ただし金の価格構成要因は【1】ドル、【2】金利、【3】GDP(国内総生産)、+需給なので、景気の良さを反映して日米ともに金価格のトレンドは上昇することになるでしょう。
まとめ
現在、中央銀行やメディアが「金融引き締め」を行っていると報じていますが、実際には金融緩和が行われています。
それはFRB(米国連邦準備制度理事会)が高金利の資金を買い取り、低金利の資金を放出するオペレーションを行っているためです。
このため、利上げや量的引き締めではなく、実質的な緩和が行われていると考えられます。
日本も同様に、2022年末に長期金利の誘導目標を0.25%引き上げたが、実質的な緩和となります。そのため、この状況で株価が下がることはないとされています。
ただし、企業の資金調達コストがマイナスとなっているため、実質的な借入金利はゼロ以下。これは、リーマンショックやITバブル崩壊前の状況に似ており、今後の株価バブル崩壊の兆候とされています。
日本の金融政策も同様で、過去にもリーマンショックや東日本大震災時に経験した状況です。ただし、日本企業の研究開発費は年々減少しており、政策による削減が企業の競争力低下につながっています。
例えば、日本製のテレビには、安いものでも高いものでも目に見えて良くなる機能がないといった問題もあります。そのため、今後の株価バブル崩壊に備えて、政策の見直しが求められています。
金の価格はドル、金利、GDP、需給などの要素によって形成される。景気が良くなるとGDPが上昇し需要が高まる傾向にあるため金価格は上昇する可能性があります。

















