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去年から金の購入を推奨していた当コラム。
とうとう金相場が2021年のビットコインのように極端に跳ね上がる、つまりはフェーズ1からフェーズ2に移行する材料が出揃ってきました。
この記事の要約
今回の記事では、米国発の金融不安を材料とし、金相場がかつてのビットコイン暴騰のようになる、フェーズ2に移行したことを確認。
つまり金融不安の本場はアメリカなのでドルは低下、金利も低下。
これだけでも金にとっては強い材料な上に、中銀の金買い付けが続いているのでさらなる価格上昇が見込める。
ここまでがフェーズ2。
ここからG7会合での表明「金融不安解消のために適切な行動を取っていく」、すなわち利下げが実行へと移されれば、急騰が現実的なものとなるフェーズ3に到達。
それでは、その原理を見ていきましょう。
ビットコインが暴騰した理由
2020年のコロナショックで、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)をはじめとする世界の中銀が大量の資金を供給しました。
しかし、景気はそれほどよくなかったので、行き場を失った資金がビットコインなどの暗号資産に流れたことが急騰の理由でした。
下記のグラフは、ビットコインの過去10年の価格推移です。

コロナショックのあった2020年はおおよそ保合いでしたが、景気が回復してきた2020年の後半から暴騰、1万ドルだった価格が6倍強の6万ドルオーバーになりました。
これに対して、FRBの資金供給は下記のようになっています。

2020年3月から大幅にドルの供給が増え、2020年後半にはその激増が止まりました。
これは、融資や株価の上昇が十分に行き渡ったというFRBの判断によるでしょう。
本当に景気が回復してきたのか懐疑的な雰囲気の中、積極的に株式に投資しづらい環境があり、投資家たちが他に適当な投資先を探し求めた結果、ビットコインなどの暗号資産や不動産に資金が集中し、バブルになったことがわかるでしょう。
金相場のフェーズ2への移行とは?
ビットコインの場合、株をこれ以上買うにしても上昇し過ぎたゆえに、高過ぎて買えない、という背景がありました。
今回の場合は、先般紹介した米国発の「金融不安」です。
https://kinkaimasu.jp/lounge/what_are_the_key_messages_from_the_g7_to_the_market/
自分の選挙のために成果を強調しがちなG7の首脳がこぞって、「金融不安はまだ続く」と失敗を認める発言をしました。
つまり選挙や成果よりも、危機への対処が優先であることを政治家が認めざるを得ない状況です。
この金融不安の原因は後述しますが、実際に起こった場合は経済が停滞します。
となると、前年比で変わらずくらいの株式を積極的に買うわけにはいきません。
それに対してビットコインがなぜあんなにも上伸したのかといえば、株式や債券市場と比較して圧倒的に規模が小さかったことが挙げられます。
つまり金のマーケットも同様に非常に小さいことから、ここで資金が流れ込めば、ビットコインのような状況になってもおかしくはありません。
金融不安が金の価格を押し上げる!
金価格には、上がってもよい基準があります。
それは、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
です。
これらが仮に金融危機が起こった場合、どうなるかを考えてみましょう。
金融不安の本場はアメリカなので、ドルは低下、金利も低下、これだけで金にとっては強い材料です。
さらには需給は中央銀行が金を買っている上に、まだまだ価格が上昇する見込みです。
であれば、金の保有者は値上がりを期待して市場にモノを出しません。
余計に需給がタイトになると考えられます。
わずかにGDPだけが経済不安定によって下がりますが、その幅はおそらくドルや金利、需給の上昇幅を大きく下回るでしょう。
今、金融不安という材料が金の価格を押し上げていることに気づかなくてはいけません。
今回の金融不安の原理

SVB(シリコンバレー銀行)とクレディスイス問題が清算されたので、危機が終わったのではないのかと考える向きもあるでしょう。
ここでアメリカの金利は、銀行によって異なることに言及しなければなりません。
仮にSVBクラスの中小銀行が預金者に年間5%の金利を付与していたとしましょう。
その場合、銀行は、融資金利と預金金利の利ザヤで利益を上げているので、「融資金利>預金金利」でないと利益が出ません。
現状は、政策誘導目標金利であるFFレートが4.75-5.00なので、預金金利は通常4%程度が妥当な水準、預金を多く集めたい銀行は5%近くの金利を掲げているでしょう。
一方で、貸出金利は10年もので3.5%。
借金をする人皆が1年で返済するわけもなく、10年で返済すると1年で5%の預金金利を付与しないと預金が集まらない状態で、融資金利が4%であれば、銀行経営は成り立ちません。
SVBは特殊な経営状況で倒産したのではなく、預金金利で顧客を引き付けて融資を行おうとしたところ、期間の長い返済を選択されればされるほど経営が成り立たなくなり、破綻したのです。
つまり、SVBに限らず現在のアメリカの中小銀行は、「融資金利<預金金利」となっており、経営が成り立たない状況に陥っていることは、想像に難くないでしょう。
ゆえにG7首脳も言うように、金融不安はまだまだ続くということになるのです。
G7で示された方向性が意味すること

G7は今回の会合で、「金融不安解消のために適切な行動を取っていく」と表明しました。
これは今後、銀行がお金を貸せない状況になっていくことを示唆しています。
預金者はFFレート近傍の預金金利を求めるので、利息を下げることはできません。
一方で貸し出し金利は期待インフレ率が低下しているので、期間の長い返済ほど金利は下がっていきます。
しかし、その金利では銀行は融資ができない、という状態に陥るのです。
ゆえに、リーマンショック時に金融機関が軒並み破綻して、大不景気なのに誰もお金を貸すような状態にならなかった、という失敗の繰り返しになる可能性があります。
ただし、この認識がマーケットのコンセンサスになればひどいことにはならないでしょう。
危機や暴落は、認知されていないから起こることであり、今回のように認知されていると衝撃的なことは起こらないでしょう。
なぜなら、それを避けるために関係者が努力をするからです。
金価格がフェーズ3に移行するためには?

では、この金融危機回避の処方箋は何かといえば、利下げの他ありません。
リーマンショックもコロナショックも緩和を大量に行い、ゼロ金利にした結果、危機を克服しました。
今回の金融不安では、大きくお金を供給しましたが、金利はそのままです。
ゆえに金利を下げるほかないのです。
大量にドル供給を行い、金利を下げ、需給はタイト、思っているほどGDPは下がらない、となると、金の価格は嫌でも上がらざるを得ません。
これは、白金(プラチナ)やパラジウム、ダイヤモンドの価格も同様になります。
今は利下げの可能性があるという段階で、まだフェーズ2。
利下げが実行されればフェーズ3に移行し、金は確信的に急騰することになるでしょう。
















