ブルーダイヤモンドについて【処理石と天然石の違いや、処理方法。】

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4月のサザビーズオークション、終わりました。
目玉商品は、「デビアス・ミレニアム・ジュエル4」と名付けられたブルーダイヤモンド。オークションにかけられる楕円形=オーバルシェイプのブルーダイヤとしては10.10カラットは過去最大級となります。前予想落札金額は、3,000〜3,500万ドル!!で、結果3180万ドルでの落札。日本円にして約35億円です。

こう言った高額なダイヤモンドは、殆どが資産家の所有物になっていたり、博物館に収められていたり、クリスティーズやサザビーズなどの大手オークションなどでしかお目にかかる事が無かったりするのですが、そもそものブルーダイヤ自体が市場では流通量が本当に少ないんです。だからこそ10ctで35億円もする。ホワイトダイヤのAクラスでもせいぜい数千万です。

天然のファンシーカラーダイヤですと、ピンクやイエローが一般的で、ブルーになると僕ら買取業の手には個人の方から渡って来るのは皆無と言っていいでしょう。

それでも小さめのブルーダイヤがセットされてる商品をお目にかける事があります。それらはほぼ99%人為的に色を改変したダイヤモンドとなります。

この宝石全般に対する改変を目的にした処理を、処理の内容によりエンハンスメントトリートメントと呼びます。

さてこれらの聞き慣れない「エンハンスメント」と「トリートメント」とは一体何か。今日はこれをご説明していきます。

▼処理の仕方、程度にて変わってくる。

簡単に言うとエンハンスメントとは、傷に対して絆創膏を貼るだけ。トリートメントは手術を施す様なイメージです。
昔はあいまいに表記しても問題はありませんでしたが、このご時世それでは駄目になり、AGL(宝石鑑別団体協議会)と言う日本の一番大きな鑑別団体に加盟している宝石鑑別法人の発行する鑑別書には、エンハンスメントトリートメントと言うだけの記載方法を改め、その宝石にカット、研磨以外にどのような人的手段が施されているかを具体的に記載する開示コメント方法が行われています。
※但し所属していない鑑別機関の場合には記載方法については自由なんですね。ある程度は「鑑別機関」と言う冠を付けている法人機関はしっかりと記載しますが、店が出す鑑別書はそう言う商品に対してのマイナス情報を書かない事も多く、良くヤフーオークションなどで見受けられる悪質な業者も多くいるので注意が必要です。
エンハンスメント …日本では天然と言って良いものがある。
トリートメント …日本では処理石の中の過激なモノ=価値の低いものとして扱われる。

そこで前出のブルーダイヤですが、トリートメントダイヤ=処理石となります。天然のダイヤモンドに、放射線処理(電子線照射=エレクトロン照射)をして色を付ける技術です。現在ではブルーからピンク、グリーンなど多くの色も作り出す事が出来ます。
※”放射線処理”とは言っても、現在では電子線照射となり、トリートダイヤ自体に放射能はありません。昔は原子炉を用いた時があり、その際にダイヤ自体が放射線物質に変わり大変危険な為名前だけが残り中身が変わったのです。
この処理をする理由は、殆どが『質の悪いダイヤモンド(=ブラウンやイエローなど)の価値を上げるため』だと思ってください。カラーレスのダイヤをわざわざ処理はしないんですね。その方が価値が下がってします。

▼その他にも様々な処理がある。

ダイヤモンドのみならず、宝石には様々な処理を行っています。

時にはそれが必要だと言う範疇のためにエンハンスメント処理即ち【天然】と言うものを付けたままでも良いとなります。

▼含浸処理(オイルやエポキシ樹脂)

代表的なものと言えば『エメラルド』。
非常に空洞が多い鉱物のためにオイル(主にシダーウッドオイル)を含浸させる事により、不用意な取り扱いによる空洞を更に大きくする事を防ぎます。この処理は軽度の処理=エンハンスメント処理として認められておりますが、欠点として『オイルのため流れ出す、揮発する』と言う事。80度前後で流れ出したり、経年と共に揮発し無くなって行ってしまう。10年振りに見たら色が汚い或いは薄くなったと感じるのはこのためです。そのために1980年代後半から普及したのが、エポキシ樹脂の含浸処理です。オイルより更に屈折率がエメラルドに近く、また簡単には流れで無いと言う特性から見た目が非常に綺麗になります。

参考までに、


↑コチラが綺麗なエメラルド。しかしながら前出の樹脂では無い、ガラスの含浸処理です。市場ではゼロに近い価格で取引されてしましますが、一般流通価格はかなりの金額で出回ります。(注意!)


↑コチラはオイル処理が経年劣化により無くなり、中のフラクチャー(孔隙)が目立ち、尚且つ昔のオイルが酸化し黒くなっている。

その他含浸処理に近いのが充填処理で、有名なのは鉛ガラスやビスマスガラスを充填する方法。翡翠などに多く行われており、僕ら査定人を現場で困惑させるものです。稀にダイヤモンドにもあるのですが(イフューダ処理)、顕微鏡で見れば容易に発見可能な処理です。

▼加熱処理(通常)

ルビーやサファイアに多くあるエンハンスメント処理。色の改善を目的としたもので、天然の範疇内として一般に普及しています。

逆にこの加熱をしていない物を、『非加熱処理=ノーヒート』等と呼び、価値が格段に上がります。

ただ海外鑑別機関と、AGLでは加熱温度の差があり、日本では加熱処理と出ても海外では非加熱と処理される場合が多くあるので一概に『加熱』『非加熱』と言っても現場では区別が付き難いんですね。

▼加熱処理(拡散)

通常加熱よりタチが悪い処理。処理の段階でベリリウムを入れる事により桃色や橙色に変化させる処理。

『パパラチアサファイア』が有名で、2002年1月のIJTに出品目的で2001年9月頃に国内に大量に入荷され、その期間に全宝協や中宝研に大量に持ち込まれた経緯がある悪名高い処理方法です。その間に発行された鑑別書の”パパラチアサファイア”は殆どが処理石と見て間違いないと言われています。
※『パパラチア』と言う冠名はフォールスネーム=商標名であり、正式名はオレンジピンクサファイアとなります。

↑余りお目にかかれない天然のパパラチアサファイアのセッティングリング。

▼色の改変処理(ペインティング(染色)やコーティング(蒸着)や前出の放射線処理(エレクトロン)

様々な色の改変処理がありますが、近年多いのが金属酸化物薄膜を用いる蒸着方法。タンザナイトやトパーズ、珊瑚やクォーツなどに多く用いられている処理でもあります。真珠にもその殆どは硬質コーティングを施されています。ここまでのコーティング処理は「天然」と言う範疇なんですが、次の写真は範疇外。汚いベリルを着色処理したグリーンベリル。エメラルドの定義は酸化クロムで緑になった物を指す為、この場合はベリルはベリルでも、エメラルドでは無く”グリーンベリル”と呼びます。

この様に染み込ます着色処理もあれば、簡単な着色処理=ペインティングですと、単純にダイヤモンドにピンクの油性マジックで着色すればピンク色に見えてしまう。強く拭けば直ぐに表面の色が取れる為容易に判別が可能となります。
※カラーダイヤはルースの状態であれば容易に判別可能ですが、製品にセットされていると中々判りづらいものです。

▼その他処理

ダイヤモンドに限った処理となりますが、有名なのはレーザードリルホール(略称:LDH)。
SI以下の暗色インクリュージョンにレーザーで穴を開け、王水(硝酸と塩酸の混合物)を流し込み一晩ボイルして無色に漂泊してしまう方法です。傾けてダイヤを見ると判る方法で、20~50%程の価値減少となります。

その後に出たのがKMプロセス(Kiduah Meyuhad,Special drill)(略称:ILD)と言われる処理方法。LDHの様にドリルホールを造らず、レーザー光線を使い黒色インクリュージョン目掛けて直接クリベージ(割れの様な物)を作り強酸を流し込むと言う方法。ムカデ状の階段インクリュージョンが出来る為、当初の目的であったインクリュージョンは白くなるものの、逆にクラリティグレードが下がる為に、この処理が為されている物は殆どが価値の無いダイヤモンドとなってしまいます。

▼最後に。

最近では、様々な方法の処理が開発され、僕ら査定人もリスクヘッジを取りがちになる程危険にさらされている。

『天然』と思って買取をしたけど『合成』だった…、含浸処理が為されていた…などなど。合成ダイヤモンドも現段階では、ダイヤモンドを買うより高いコストのために作られていない、現在の技術では天然のダイヤモンドと同じ組成を作る事は出来ない為に市場に出回っていませんが、それもいつ何時技術革新にてクリアするかも判りません。

宝石とは『天然』でも『合成』でも、その宝石を付ける人がどう言うモチベーションで購入するかと言う事が肝心なんですが、それを上手く隠して販売しようとする業者が多いのが現実です。

例えば『ダイヤモンドブルートパーズネックレス』『ダイヤモンドジルコニアリング』。

頭に『ダイヤモンド』と付けてはいるが、それは『単純にダイヤモンドの様に美しい』と言う事を表す表現であり、それに続く宝石名がそのものの名称となります。

AGLやJJAが推奨している『消費者が紛らわしい』言葉は本来販売する方は避けるべきであって、堂々と『処理石』と書いた上で消費者が納得して購入をすれば何も問題ない訳です。

これからジュエリーの購入を検討している方は、こう言った宝石への処理の中に『軽度のものと重度のものがある』と認識した上で宝石を選ばれた方が良いと思います。

勿論処理があからさまなモノは安く購入できる代わりに売却時にはタダ同然に。

無処理の宝石であれば高い購入金額の代わりに最高のモチベーションでジュエリーを楽しむ事が出来る。

自分の心と財布に相談しながら、最高の宝石・ジュエリー・アクセサリーに出逢えれば幸せですね。

そして売却の際には弊社リファスタを是非お選びくださいませ。

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