国内では保有も流通も禁止されていますが、ビットコインのオーナーの9割は中国人です。今回は中国市場からビットコインを見ていきます。
この記事の要約
今回の記事では、人民元との関係性からビットコインの騰落について解説。
- 現状の人民元の価値は?
- 通常とは異なる中国人投資家の現在の投資行動とは?
- 人民元とビットコインの関係性の裏にある中国人の中国経済に対する評価とは?
では、見ていきましょう。
中国の金利が過去最低を更新
現在、アメリカでは政権の中国制裁強化の流れから、中国市場衰退説が優勢のようです。
これはトランプ政権に交代しても同じ流れでしょう。
こうした中、中国の金利が以下のように過去最低を更新しました。

産業からの資金需要がないから金利が下がっていると考えられる反面、資金調達を容易にするために中国政府が金利を低めに誘導していると考えることも可能です。
これを受けて人民元は、対ドルレートで大きく値段を下げています。

通貨の計算式は「人民元×金利」であり、金利が最安値になれば人民元が安くなるのは必然です。
加えて、アメリカの長期金利が4.6、対して中国の市場金利が1.6なので人民元安は必然と言えるでしょう。
参考までに金利(左軸のメモリは反転)とドル人民元レートを重ね合わせると以下のようになります。

通常と異なる今の中国人の投資傾向
通常の考えでは、通貨安に加えて金利安であれば、株価などのリスク資産が上昇するはずです。
しかし中国の上海株は以下のとおり、9月に急騰した後、年明けから急落しています。

年初からこれだけ金利も通貨も下がっているのに株価が下がるということは、中国人投資家は何を買っているのかという疑問が発生します。
その答えは、以下のビットコインの値動きを見れば明白です。

ビットコインは昨年末には10万ドルを達成して調整しましたが、反転して再び10万ドルを実現しています。
これを人民元のチャートに貼り付けると以下のようになります。

昨年4月以降、ビットコインの騰落と人民元の騰落が非常に似ており、特に年明けは顕著であることがわかるでしょう。
自国を信用できない中国人
中国人投資家は、人民元が下がれば中国株を買うのが王道です。
しかし、それを買わずにビットコインを買っているということは、中国人がいまだに共産党政府を信用していないことの証左でしょう。
中国人投資家の主体は、おそらく共産党員だと考えられます。
共産党内部の人間が中国株に見込みがないと判断しているということです。
前回解説したように、アメリカ政府の意向は中国人にビットコインでアメリカに投資させ、資本の移動を企図しているように思われます。
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だからビットコインの準備金化などの議論が流行るのでしょう。
ただし、実在しないものが準備金になるのには、それなりの時間がまだ必要だと考えられます。
この記事のまとめ
以上、中国人投資家の中心である共産党員が本当に中央政府の指導を信用しているのであれば中国株を買うはず。
にもかかわらずビットコインを買いに走っているということは、欧米人や日本人のみならず、中国人自体が中国を信用していない証拠のようなもの。
これによってビットコインを世界で最も多く保有しているのは中国という結果に。
ビットコインの値動きは、人民元レートの上下と相関性があることを把握して置かなければならない。
という内容の記事でした。