本コラムでは、中国が金を購入している事実が明るみになった時点で、強気に転じました。では、今後どこまで上昇するのでしょうか。
この記事の要約
今回の記事では、強気に転じた金価格が中国による金買付を前提にどこまで上がっていくかを読み解く。
- なぜ中国は金の買い付けを再開し、今後も持続することが考えられるのか?
- 今回の金の高値をチャートで分析した際に見えてくる、価格上昇継続のサインとは?
- 具体的に金価格は、今後どこまで上がるのか?
では、見ていきましょう。
中国の金買いとウクライナ支援の関係

前々回のコラムで、中国が金の買い付けを再開したことを示す証拠を紹介しました。
中国が金を買い付けている背景には、ロシアによるウクライナ侵攻が関係しています。
中国はロシアを支援し、一方でアメリカはウクライナを支援中です。
アメリカは米国債の一部をウクライナ支援に充てており、中国にとって米国債の購入は非常に非合理的な投資になります。
その中国は、アメリカから莫大な貿易黒字を稼いでいますが、アメリカの同盟国であれば、米国債に投資することによってこれを相殺します。
しかし中国には、安全保障の側面から米国債を購入する必要がありません。
ゆえに報復関税を掛けられても米国債を購入せず、稼いだ貿易黒字を金に投資するのです。
ほかに金に投資する理由として、2000年以降、金を保有しているだけで外貨準備高が膨れ上がっていくことも挙げられます。
米国債に投資するよりもパフォーマンスが数倍よいのです。
中国の金買いはいつまで続く?

上記を踏まえると、中国が金の購入をストップする前提条件はウクライナ侵攻の終結になります。
結果次第では、中国による金の購買の停止と米国債の購入がセットになってくるでしょう。
ゆえにトランプ大統領は、停戦のために動いているという判断も成り立ちます。
中国はアメリカへの輸出がなければ成立し得ず、アメリカの衰退も困るわけです。
ただし現状ではロシアとウクライナの停戦交渉はもたついており、当面、中国の金購入は続くと思われます。
ゆえに金の価格は当面高いと言えるでしょう。
今回の金の高値をチャートで分析すると…
金の価格が3000ドルを超え、3050ドルから3100ドルまで行くのが非常に早かったです。
この理由はドル建て金価格を青線(右軸)、その価格の前年比を緑線(左軸)、為替や金利の影響を除いた前年比をオレンジ線(左軸)で表したグラフで説明できます。
オレンジ線で表した為替や金利の影響を除いた金価格の前年比が緑線の単純な金価格前年比に先行して上昇し始めたら高騰すると以前解説しました。
今回も実際に、3月30日からオレンジの線が緑線よりも上に来て上昇し始めています。
となると、これからも上昇していくでしょう。
金価格の目標値は4650ドル?

ゴールドマンサックスなどの投資会社やシンクタンクは軒並み、今回の金の目標価格は3300ドルとしています。
これは以前、今年の目標は7月くらいまでは3300ドルと記したことと一致しています。
そして弊社は、7月以降は目標値が上昇するとも指摘しました。
実際にゴールドマンサックスなどの会社も、目標を上げてくるでしょう。
さらにほとんどの会社の予想は、2026年中には4650ドルとしています。
この根拠は、1年前の3月は価格が2200ドル前後で、この50%増しが3300ドルだからです。
つまり4650ドルとは3300÷2=1650、3300+1650=4650ドルという計算によって成り立っています。
あくまでも上記は見通しですが、目先は3300ドルまでは買いたいところです。
この記事のまとめ
以上、まず現在の金の高騰の背景にあると考えられる中国の金買付について理由をまとめると、
1. 米国債は中国が支援するロシアの敵国、ウクライナ支援に援用されている
2. 貿易黒字を米国債に投資する安全保障上の理由が存在しない
3. 金準備は米国債よりも数段パフォーマンスがよい
ウクライナ戦の停戦は当面まとまりそうもないので、今の金の高値は持続すると考えるのが自然。
チャート分析からも、まだまだ金価格は上昇しそう。
投資会社やシンクタンクからも、弊社の見通しを後押しするような予測がなされているが、とりあえずは3300ドルまでは買いたいと考えよう。
という内容の記事でした。