中国が金を買い付けている限りは金の高値は維持されます。今現在の中国の金買いの有無について、証拠と思われるデータを示します。
この記事の要約
今回の記事では、中国の金買付が再開したことを示す証拠を紹介。
- その前提となる現物と先物の金の価格差とは?
- 中国の現物市場と国際価格の乖離に注目した時に見えてくる傾向とは?
- ズバリ、中国の金買いを裏付けるデータとは?
では、順をおって説明をしていきますね。
中国の金準備の推移
金準備とは外貨準備の一部であり、中国の通貨である人民元が万が一大きく売られた時の防衛手段です。
大部分はドル、他に人民元やユーロ、円、スイスフランなどでも積み立てられ、その中には金も含みます。
これを金準備と言うのです。
まずは中国の準備金の総量の推移を見てみましょう。

次に中国の準備金の変化量をご覧ください。

2022年の第4四半期から2024年の1〜3月期まで増やし、2024年の10〜12月期に再び金準備を増やしていることがわかります。
現物と先物の金の価格差を知ろう!

中国が金の積み立てを増やしている間、金価格は上昇しています。
ただしその価格差は、マーケットでは一瞬で消えてしまいます。
例えばニューヨーク(NY)の金の在庫が過剰で香港では不足していれば、価格差が生じるのは自然なことです。
昔の投資家なら、余っている市場から不足している市場に金を運び、その値段差で儲けることができました。
現代でも、アメリカから飛行機で中国に金塊を運ぶのに数時間はかかります。
ここで重要になるのが、NY市場が主に先行きの受け渡しを行う先物市場であるのに対し、香港市場はロコ香港と言い、現物市場になる点です。
先物市場では1ヵ月先の受け渡しを前提としているのに対し、現物市場はその場限りの売買であり、市場の設計が異なります。
ゆえに現物市場では、先物市場のように一瞬で値段差が消えることはあり得ない前提があるのです。
もちろん、数日経てば投資家が現物を運んでくるので、最終的には同一価格になります。
中国の現物市場と国際価格の乖離に注目!
過去3年間の中国の現物市場の金価格と国際価格(先物市場)の乖離を示したチャートが以下になります。
左軸0が国際価格と価格差がないことを示し、0より上に行くと国際価格よりも高い、0よりも下だと国際価格よりも安いことを示しています。

冒頭のグラフで、中国は2022年10〜12月期から金を買っていることを示しました。
実際に2022年9月あたりから中国国内の現物価格は国際価格よりも上昇しており、大きい時には100ドル以上の価格差がありました。
2024年3月には買付が終わり、同年6月あたりに0以下になっています。
つまり中国が買い付けをしている時には、中国の現物価格が世界価格よりも高い状態になっているのです。
今回の中国による金買いの証拠
今回の中国は2024年の12月中旬以降、大きく金を買い付けています。
その時の金価格は以下のとおりです。

2024年の年末は大して上昇していませんが、2025年に入ると金価格が急騰しています。
つまり中国の国内市場に遅れて、国際価格が上昇することがわかるのです。
実際に1月末から2月上旬にかけて中国国内の金価格が下がった際には、2月末から3月上旬にかけて国際価格が調整しました。
上記のチャートの最終日、3月21日がマイナスになろうとしています。
つまり、これからそれなりに価格の調整がある可能性が高いことが見て取れるのです。
この記事のまとめ
以上、現物市場と先物市場には金価格の価格差があり、中国が買い付けをしている時には、中国の現物価格が世界価格よりも高い状態になる。
国際(先物)価格は、この中国の国内市場に遅れて反応が表れる傾向がある。
2025年に入ると金価格が急速に高騰しているが、実際に2024年の12月中旬以降、中国の国内市場の金価格は国際価格より高い状態にあった。
上記に示した資料は、下記から参照可能。
Local gold price premium/discount
引用元:WORLD GOLD COUNCIL
今後の金価格予想の参考にしてみてください。