マーケットでは白金(プラチナ)が飛び始めています。一方で、パラジウムはまだおとなしい動きです。
この記事の要約
今回の記事では、パラジウムの価格展望について解説。
- 白金とパラジウムの関係性にある大前提とは?
- パラジウムの需要と供給とは?
- 果たしてパラジウムに高騰の可能性はあるのか?
では、見ていきましょう。
白金とパラジウムの関係性

最初に押さえておかなければならないこととして、白金を掘り出す際の副産物としてパラジウムが発掘されるということです。
そして、白金が1発掘されればパラジウムは0.25しか取れません。
つまり、白金の価値<パラジウムの価値ということになります。
ところが6月5日の引け時点、白金価格1139ドルに対してパラジウムは998ドルです。
これは、白金の需要の方がパラジウムの需要よりも大きいからになります。
白金には自動車の触媒などの用途のほか、投資や宝飾など世界経済の動向によって使用量が上下する項目があります。
現在はコロナ禍が終わり経済の拡大局面なので、白金にとって需要が大きい局面です。
対してパラジウムの需要は、白金と同様に自動車の触媒のほか、歯の詰め物などがあります。
しかし白金と比較すると需要は少ないために、白金価格>パラジウム価格となっているのです。
パラジウムの需要と供給
パラジウムの生産量はロシアが世界1位です。
ところがそのロシアはウクライナ侵攻の制裁として、イギリスからパラジウムの輸入禁止が始まり、今では西側陣営に波及しています。
つまり実質、ロシア産のパラジウムを手に入れることはほぼ不可能です。
ただし、ソ連時代からのロシアのやり口として、迂回輸出をしていると思われます。
では、ロシアの主要輸出品目を見てみましょう。
ロシアの輸出品目別で貴金属は3位、6.4%を占有しており、パラジウムも主要な輸出製品になります。
ただし正規ルートで輸出できるのは中国です。
主要な自動車生産国のほとんどが西側にあり、輸出が規制される中、中国は自動車生産が世界1位であり、世界最大のパラジウム販売のお得意先になります。
パラジウム高騰の法則性とは?

中国に輸出規制を行うことは、中ロ同盟でイニシアチブを握る中国の機嫌を損ねることになるのであり得ません。
むしろ、安定供給と安定的な価格を中国側に求められることになるでしょう。
その見返りに、欧米の制裁対処やウクライナ戦争への支援ということになるのです。
ここで注目されるのが、過去のパラジウム急騰の事例であるフォードショックになります。
この事件は20世紀後半から21世紀初頭にかけて起こりました。
触媒機能として高騰する白金対策として、同じ効果のあるパラジウムをフォードが採用した結果、パラジウムが大急騰しました。
つまり今後、白金が高くなり過ぎた場合にパラジウムが高くなるということです。
ロシアとしては白金が高くなっているので、パラジウムを高く中国に販売する正当な理由となり得るでしょう。
パラジウムの高騰はあるか?
それでは、白金価格のチャートを確認してみましょう。

次にパラジウム価格です。

弊社的にはパラジウムのチャートの方に可能性は感じます。
毎年のように供給不足が言われている白金が今まで安値で放置されてきたのは、おそらくリサイクルが相応に進化した結果でしょう。
しかし、いつまでもリサイクルで白金が足りるわけはありません。
どこかで値段が飛ぶでしょうが、今回の白金急騰が本物なのかもまだわかりません。
なお、6月6日時点で年間で12.48%しか上昇しておらず、まだまだ急騰の余地はあります。
金は同日の段階で41.25%の上昇と高すぎる状態で、ここから夢を見ても仕方がありません。
パラジウムは8.47%の上昇です。
この記事のまとめ
以上、パラジウムの価格を引き上げるのは白金であり、その白金は年間で12.48%しか価格が上昇しておらず、まだまだ急騰の余地があります。
まだこの白金の上昇が本格的なものかどうかは、状況を見守る必要がありますが、少なくともすでに年間で41.25%も上昇している金よりは夢を託せる数字と言えるでしょう。
パラジウム価格の年間上昇は8.47%。
これからに注目です。
という内容の記事でした。