中国が貿易統計を発表した4月14日、ドル高にもかわわらず、セオリーに反して金が続伸の動きを見せました。
この記事の要約
今回の記事では4月14日の金続伸の背景と今後の価格展望について解説。
- 4月14日に発表された中国の貿易統計の実態とは?
- 金価格続伸の背景にある米中「関税戦争」の実際の影響とは?
- 今後この関税戦争が金価格にどのような影響を与えていくか?
では、始めましょう。
ドルが上昇したのに金が下落の謎
金の価格はドルの裏返しであり、ドルが下落すると金が上昇し、ドルが上昇すれば金は下落します。
しかし、4月14日は0.51%もドル高が進行したのに金は続伸しました。
これは中国の輸出が伸びたためです。
では、その中国の貿易統計、主に輸出を見てみましょう。

一見減少しているように見えますが、これは中国の季節性によります。
ご存知のように中国の年末年始は暦の旧正月、つまり2月は生産活動や輸出作業が停止しているので3月が減ったように見えるのです。
そこで年間比で見てみましょう。

去年より12.4%も上昇していることからもわかるように、実際には大きく輸出額が増えているのです。
米中貿易の実態
次に中国の国別の輸出を見てみましょう。
https://d7c1siplh0qmu.cloudfront.net/comtrade/share?r=chn&c=0000&v=treemapmarkets&t=2&title=
アメリカがダントツの1位ですが、このグラフは2023年の割合になります。
上記では、輸出割合の年間比を確認できないので、報道を見てみましょう。
中国、輸出先の多角化加速 トランプ米政権と貿易戦争で
引用元:時事通信
アメリカの輸出割合が15%から12.8%まで低下した一方、アメリカ向けの輸出は9.1%の増加とあります。
これは中国がアメリカから資金を流失させ、中国国内に還流した額が増えたことを意味します。
金続伸の理由と今後の展望

従来中国は、アメリカから稼いだ外貨を米国債に投資していました。
ところが現在、米中は関税を巡り対立中であるため、米国債の投資割合を減らし、その分を金購入に回しています。
これが4月14日の中国の貿易統計発表後、ドル高でも金価格が上昇した理由と推測されます。
この対立が続く限り、中国が米国債の購入を増額することはないでしょうから、金価格はまだまだ上がるということです。
裏を返せば、米中の和解が金価格の調整や天井のサインになるでしょう。
ただし米中が和解しても今度はドル安の問題が持ち上がってくるので、調整になる可能性が高いと思われます。
この記事のまとめ
以上、今回の記事では、いわゆる「関税戦争」の中でも中国の輸出額は年間比で12.4%上昇していることを確認。
一方、アメリカの輸出割合が15%から12.8%まで低下した反面、中国のアメリカ向け輸出は9.1%の増加。
中国はアメリカから稼いだ貿易黒字を外貨準備の一環として、従来の米国債から金購入に注ぎ込んでいることが4月14日にドル高にもかわわらず、金が続伸した理由と考えられる。
中国によるこの金買付は、この「関税戦争」が続く限り継続するものと考えられる。
すなわち金はまだまだ高い!
という内容の記事でした。