銀や白金(プラチナ)、銅も高騰していますが、今回は貴金属の王者、金の高騰がやってくる理由について説明します。
この記事の要約
今回の記事では、米金利の展望を見定めながら、金価格急騰のタイミングが近づいていることを考察。
- 現在、金価格と米金利は密接な関係にある。
- つまり米金利が下落すれば金価格は上昇し、逆に金利が上昇すれば金価格が下落する関係性が顕著。
- そして、その米金利の動向を探っていくと、一つ目のターニングポイントは6月の米卸売物価指数(CPI)の発表であり、さらに大きなポイントは7月に来ると予想!
では、具体的に見ていきましょう。
金高騰の理由と米金利の関係
下記のグラフは、アメリカ国債10年物利回りの1年間の推移です。

5月に入り大幅に金利が低下した結果、金の価格は以下のようになりました。

緑色の線で表された金価格が、金利が下がり始めた右端の方で一気に下がるのがわかります。
これは以下の金の価格構成要因のうち、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
【2】金利の低下が金価格を押し上げていることは明白です。
なお、3月から金利上昇でも金価格が上昇しているのは、+需給の部分に理由があります。
これは中国の金需要、そしてビットコインが頭を打ったことによって、ビットコイン売り-金買いのポジション構築によるものです。
米金利の利下げと金価格の上昇
去年から金利は0.8〜1.0と高く、この状態で金が大幅に買われることはありません。
今回買われたのは、実は先月から金利が安くなったことが原因です。
以下は米金利の1ヵ月間の推移で、左端が4月17日で、右端が5月16日になっています。

4.7程度の金利がこの1ヵ月で4.3まで下がったので、金の価格が上昇したのです。
以下は、上記のグラフに緑色の線で金価格を張り付けてみましょう。

4月26日あたりに青線の金利が頭を打っても、金価格は反応しませんでした。
しかし、今回の5月13日あたりからの金利上昇にははっきりと反応し、金利の下落に伴い金価格が上昇していることがわかります。
今回の金、白金、銀、銅などの高騰は、この金利の下落からスタートしていることになります。
であるのならば、その終わりを予測すれば高騰が終わるタイミングがわかるはずです。
金利が反転するのはいつ?
おそらく6月の米CPI(消費者物価指数)が金利低下のピークになる、と考えます。
理由は、今回の金利低下がはっきりしたのは5月15日発表の米CPIで、これが予想以上にインフレの低下が確認されたからです。
つまりインフレの低下が確認できなければ、金利はまた上昇を始める、ということです。
そして現時点でドル安、金利安なので、6月に発表される5月のインフレ率が低下することは目に見えています。
ただし、だったら金利は上昇しない、というのは早計です。
以下は、ドルインデックスの1年間のチャートになります。

ドルは去年の10〜11月にかけて頭を打ち、下落しています。
ドル高が解消しているので、去年の11月からインフレが進行しているはずです。
ところが、これらには時間差が生じ、具体的にはPPI(卸売物価指数)は3ヵ月遅れ、CPIは半年遅れとなります。
まずはPPIを見てみましょう。

PPIは、ドル高を受けて去年の3月から年末にかけて下がってきました。
ところが2024年年初にいきなり急騰しています。
2月にはさらに上昇し、4月にもさらに急騰している状態です。
これは、PPIが為替レートに3ヵ月遅れで反応することと整合します。
では、CPIを見てみましょう。

CPIは月日を経るごとに低下しています。
CPIの反映は6ヵ月遅れであり、4月に低下しますが、5月にはPPIと同様、反転上昇することが予測されます。
5月のCPIは6月に発表されますので、ご注意ください。
つまり来月のCPIは突然高になる可能性があり、そこまでで金利の下落が上昇に反転する可能性が高い、ということです。
金の爆上げはいつか?
現在、順調に金、白金、銀、銅が上昇していますが、これは6月13日頃のCPIまでです。
ただし、そこから急落するかといえば、そうでもありません。
根拠は、6月1日からFRBは量的緩和の減少幅を減らすことを5月会合で発表しています。
さらに利上げの最終は、2024年7月です。
その金利は5.25で、現在は5.00の政策金利です。
それが7月まで行くと、2022年に利上げして以来、金利が前年と変わらずという世界に突入するのです。
本当の爆上げは7月からだと考えます。
この記事のまとめ
以上、米金利と金価格が密接に関係する状況の中、6月のCPIの発表からの金利上昇で、金価格は一時的な押し目を作る可能性が高い。
ただし、その押し目を完了すると、7月に入って大きく上昇する公算が高い。
という内容の記事でした。