おそらくFRB(連邦準備制度理事会)の9月会合で、利下げは確実だろうと言われています。今回はこれに関連して、ドル円相場の展望と金相場についてです。
この記事の要約
今回の記事では、米利下げが確実視される中、ドル円は「日米の金利差で動く」というコンセンサスが発動されるのか否かと金相場への影響を考察。
- ドル円は「日米の金利差で動く」の本当の意味とは?
- 昨年のジャクソンホールの「利下げ開始」と今年の「利下げ検討開始」の違いは?
- 金相場への影響は?
では、始めましょう。
ドル円は「日米の金利差で動く」は本当?
8月20日にFRBのパウエル議長が「利下げを検討する」と発言して以降、労働市場の軟化が進行し、利下げが確実視されています。
そこで東京市場には、アメリカが利上げをすると円安、利下げをすると円高というコンセンサスがあります。
これは日銀首脳や財務省の首脳によって、ドル円は主に「日米の金利差によって動く」という言質があり、ほぼドル円はこの通りに動いていました。
今回も9月会合でFRBが利下げに踏み切ることがほぼ確実という見込みで、マーケットは動いています。
しかし、ドル円が日米の金利差で動くというコンセンサスは、アメリカのみが金利の上下動を行う場合が前提です。
その一方である日銀は、2024年4月にそれまで長らく続けてきたマイナス金利を解除し、その後も利上げを続けている段階になります。

つまり、ドル円は「日米の金利差で動く」というコンセンサスが摘要されるか否かは、実際には未知数なのです。
「利下げ検討を開始」で円高になる?
米国10年債利回りの3年間の推移を見てみましょう。
2本の赤い線は、2024年と2025年のジャクソンホール会議が開催された日程です。

2024年、パウエル議長がジャクソンホールで「利下げを開始する」と宣言し、その後に金利は下がりました。
一方で2025年は、「利下げの検討を開始」すると言ったのが細かな相違になります。
では、ジャクソンホール後に金利が下がるのは必然ですが、問題はその後で、2024年は反転しています。
これは、すでに利下げを多く織り込んでおり、9月会合直後の下げ過ぎの反動で上昇しました。
下記のグラフはドル円の過去3年間の推移で、同じくジャクソンホールの開催日に赤線を引いています。

つまり去年はアメリカが利下げをしても円高にならなかったのに、今年は円高になると騒いでいるに過ぎないのです。
金は下がる可能性が高い!

最後に、話題を金に移しましょう。
ドル円相場の展望は、今回も去年同様にFOMC(連邦公開市場委員)直後は円高になっても、その後は円安になる可能性が高いと言えます。
円安ということは、すなわちドル高です。
そして現在の金の高値は、ドル安が根拠です。
つまり、金は下がる可能性が高いと言えるでしょう。
この記事のまとめ
以上、まずは2024年のジャンソンホールでは「利下げする」と言い、2025年は「利下げを検討」としたことが細かな違い。
米利下げ後の金利の動きをまとめると、
2024年 米国 金利下げ → 金利上昇
日本 金利上昇 → 金利上昇
金利差 拡大(円高)→縮小(円安)
つまり去年の場合、日本の金利は上昇、米金利も9月会合直後は下落しましたが、反転して上昇傾向をたどっています。
結果、今回の同様の動きとなり、これを受けて金価格は下がることになるでしょう。
という内容の記事でした。














