少し前にSNSで金ETFは100%現物に紐づけされているのか、という論争が起こりました。この件に関して、疑問に答えていきます。
この記事の要約
今回の記事では金のETF残高に関して、現物との紐づけの有無等について解説。
- 金ETF残高と中国の金買いとの間に見える矛盾とは?
- 金の現物保管はなぜ難しいのか?
- 金ETF残高の実際のところは?
では、始めますよ。
金ETFの推移
まずは以下の金のETFの推移をご覧ください。

注目してほしいのは右端のメモリの単位が「米ドル/オンス」になっている点です。
日本の表示だと「円/グラム」ですが、このオンスとグラムに何の違いがあるのかがポイントになります。
では、上記グラフのリンク先である大元のグラフを見てください。
右端にカーソルをかざせば詳細な数字が出てきます。
1月9日の週は、世界で発売されている金ETFの総量が先週と比較して1.6トンの買付があったことが示されています。
さらに上記グラフのリンクを月次、つまり12月の総量を見てみると、45.5トンの買付がありました。
中国の買付と金ETFを比較すると…
2025年前半は、中国の買付によって金価格が上昇したと言われます。

中国の買付は2025年、しかも3ヶ月(四半期)で10トン強を買っただけで世界を揺るがすような金相場の上昇になりました。
しかしETFは去年の12月の1ヶ月で45トン、これを3ヶ月に換算すれば135トンも買ったのに上げ幅は大したことがありません。
さらに月次を見れば最大で150トンも買っているのに、マーケットに与える影響がわずかという点には納得いかない人が多いでしょう。
金の現物保管の難しさ
金のETFの目論見書には、法律的には現物への紐づけが明示されているでしょう。
ただし、実際にそのETFファンドが顧客が購入した量を保有しているかは疑問が残ります。
なぜならETFの保有は以下のようになっているからです。

例によって、右端の総保有量は4000トン弱です。
世界で一番金を保有しているアメリカの金準備は以下のとおりETFの倍、8000トン程度を保有しています。

これだけの量の金を持っていれば、いくらアメリカが借金大国だとしても、時価換算にすれば相当な金持ちになるのは想像できるでしょう。
さて、この金は一般的にはニューヨーク(NY)連銀の地下に保有されていると言われています。
しかし、本当のところはわかりません。
なにせ世界一の保有なので盗難の可能性もあります。
参考までに、日本の準備金がどこにあるのかは部外秘になっており、もしかしたらNYにあるかもしれないというウワサも飛び交っています。
これも保安上の理由から明かすことはできないのでしょうが、40、50年前から言われていることです。
金ETFの現物はいずこに?

では、ETFが実際に4000トンの金をどこに保有しているのでしょうか。
日本のETFの保有はいくらかはわかりませんが、通常は指定倉庫という倉庫に積まれています。
日本で言えば住友倉庫や三菱倉庫などで、各地にあります。
これは海外でも同じことで、ロンドンやNYの取引所には指定倉庫があり、そこに保管するのが通常のように思われます。
この指定倉庫在庫は定期的に数量が発表されますが、ETF残高に比例するような在庫は、世界の倉庫残高を足してもおそらくないという感覚があります。
さらに言えば、中国が10トン買い付けると言っても、売ってくれる人がいて初めて購入が成り立ちます。
今の価格の高騰からして、金銭的に余裕のある人が金の現物を売却してくれるでしょうか。
10キロ、20キロ程度なら売ってくれる人は存在するでしょうが、1トンを売却する人を探すのは容易ではありません。
ところがETFにはそういう売り手がいないのに、購入者に対してどんどん株を割り当てるのです。
つまり法律上、金とETFは紐づけられていても、売ってくれる人がほとんどいないからこの高値を付けるわけです。
にもかかわらず、ETFでは無制限に買いを受け付ける、話がおかしいと思いませんか。
金ETF残高の実際

日本の場合、証券事業は金融庁、金の取次に関しては経産省と、おそらく複数の省庁の管轄になっています。
この横わたりが弊害なのでしょう。
どう考えてもETFの購入に見合う量が割り当てられないのですから、おそらく監督官庁が黙認しています。
そして皆さんが知っている以上に、おかしな金融商品があります。
それは純金積み立てです。
これには法的な拘束力はありませんが、一般的にETFよりも残高があると言われています。
もし純金積み立ての解約が殺到すれば、20年前の話ですが、日本から金が消えてしまうと言われました。
いざこのような取り付け騒ぎになれば、監督官庁と言えどもなす術がありません。
要するに、かなり監査がゆるゆるになっているのが実態だろうというのが弊社の読みになります。
この記事のまとめ
以上、2025年の前期に中国が10トン程度買っただけであれだけの高騰したのに、ETFは1ヶ月で45トンも買っています。
にもかかわらず、金相場へのインパクトはそこそこに留まっています。
現にETFは金を売る人がいるとは思えないのに、大量に買いを受け付けています。
つまり、ETFは法的に預かり金額と金の残高を紐づけることを義務付けているが、実際は監査がゆるゆるなのでしょう。
という内容の記事でした。














