円建ての金価格はなかなか下がらないようです。今回は、円建て金価格の大きな要因を占めるドル円相場の基本と見通しを記します。
この記事の要約
今回の記事では、ドル円レートのゆくえを考えることで、円建て金価格の展望を解説。
- まずドル円レートの基本とは?
- 日米の金利やGDPの比較から見てみると、ドル円相場はどう動くか?
- 上記を踏まえた上で円建て金価格の展望は?
では、始めましょう。
ドル円レートの基本
ドル円とは、1ドルあたりの円の価値になります。
これを計算式に当てはめると、
ドル÷円=ドル円レート
となります。
このドルや円を金の価格決定要因に当てはめると、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
になり、為替レートはドルと円、それぞれ【1】から【3】および+需給を分析して、それを除すれば適切な値が出てきます。
これはドル円に限らず、ユーロドルならユーロ÷ドルですし、豪ドル円なら豪ドル÷円になります。
供給の観点からドル円を見ると…
金の価格決定要因として「+需給」としているのは、価格の変動が一番大きくなるのが需給だからです。
まず、ドルの供給は以下のとおりコロナ禍で増えて最近は減らしています。

円の供給も以下のとおり最近では減っていますが、米ドルよりも減っていません。

供給で見れば「ドル>円」になり、「ドル÷円」の計算式で円が小さくなっていくと答えは大きくなる、つまり円安になります。
この需要は、ドルや円を必要とするか否かの問題と言えるでしょう。
単純にアメリカは世界最大の消費国なので、当然円よりもドルの方が強くなります。
さらに誘導目標金利でも4.5と0.35なので、圧倒的にドルの方が強いと言えます。
需給でドルが強い、それは円安を意味します。
金利やGDPから見ると…
次に2025年1月17日の引けの金利を見てみましょう。
Actual Chg %Chg
USA 4.6300 0.013 0.01%
Japan 1.2071 0.003 0.00%
「アメリカ4.63>日本1.2071」になるので、金利も円安を示しています。
最後にGDPを比べてみましょう。
アメリカのGDPは、以下のグラフのとおり最新のもので3.0%。

以下は日本のGDPになります。

結果、アメリカの方が強く日本の方が弱いので、しばらくは円安と言えるでしょう。
この記事のまとめ
以上、両通貨の供給や金利、GDPの動向を勘案すると、結論は円安になる。
ただし日銀が1月会合で利上げを検討していることから、直近は円高になりやすいと考えられる。
また、金利の前年比はアメリカが0.5ほどしか上昇していないのに対して、日本が0.6も上昇しているので、円高になりやすい傾向あり。
とは言え、価格決定要因全て計算していくと円安という状態は変わりありません。
やはり、円建ての金価格はなかなか下がらないでしょう。
という内容の記事でした。