共和党候補のトランプ前大統領と民主党の候補のハリス副大統領が争う米大統領選。そのゆくえと金価格への影響についてです。
この記事の要約
今回の記事では、米大統領選挙の展望と金価格への影響について解説。
- そもそも米民主党と共和党の違いとは何か?
- 再びトランプ大統領が誕生したら、あるいはハリス候補が選挙戦に勝利したら、それぞれ金価格への影響はどうなるのか?
- そして実際の大統領選のゆくえは?
それでは、実際に見ていきましょう。
米民主党と共和党の違いとは?
米民主党は人権や環境問題を扱う政党であり、人権問題はカーター政権が主張を始め、クリントン政権が完成させたという歴史があります。
環境問題はゴア元副大統領が主張を始め、それがメインストリームになってきています。
これらの主張をする人たちをニューリベラルと呼び、新しい人権を主張する人たち、環境問題を提唱する人たちという意味です。
民主党の中でも、中道と言われているのはバイデン大統領を中心とする集団になります。
一方で共和党は、アメリカの伝統的な考え方を支持し、人工中絶や銃規制に反対しています。
また、人権を大事にする民主党は、オバマケアに代表される国民皆保険のほか、移民や貧困層への施しを増やそうとし、大きな予算配分をもって財政を執行する「大きな政府」を作ろうとします。
対する共和党が尊重するのは個人の自由であり、その結果は本人が負うという自己責任の考え方です。
仮に貧乏になっても富豪になっても、それは本人の問題であり、その中で命を落とすことになるような貧困層には施しをするという「小さな政府」を訴求することになります。
カマラ候補が勝ったら金価格はどうなる?
民主党は、困ったような人がいないような社会の実現を目指しているわけですから、財政規模の大きい政府を目指します。
この結果がアメリカの債務削減問題の先延ばしです。
本来はGDP(国内総生産)以上の借金は政府としてしないということですが、コロナで何度もその上限が引き上げられた結果、過去最大の借金額になりました。
ハリス大統領候補の政策は発表されていませんが、バイデン大統領にも勝るとも劣らない大規模なバラマキを実施することになるでしょう。
つまり財政赤字が膨らみ、長期金利の上昇が見込まれます。
これは金価格にはネガティブな結果となるでしょう。
トランプ前大統領が勝った場合の金価格への影響
一方の共和党のトランプ候補が勝利した場合、どうなるでしょうか?
トランプ前大統領の経済政策には定評があり、その基本的な姿勢は、大統領在職時にパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長に対して「金利を下げろ」と恫喝したように、ドル安・金利安です。
前回は大規模なバラマキを実施したのですが、今回はどうなるのかわかりません。
言えることは、共和党全体の目標がティーパーティーに代表されるように「小さな政府」なので、予算の削減は避けられないところ。
つまりトランプ施政下ではドル安・金利安の政策をもってくる可能性が高く、金にはポジティブな結果になるでしょう。
大統領選挙のゆくえは?
アメリカの有権者の基本的な考え方として、今回は共和党に政権を任せたのであれば次回は民主党というように、交互に政権を取らせようとします。
つまりバイデン政権が4年続いたので、順当に行けば次回はトランプ大統領がコンセンサスです。
トランプ銃撃事件やバイデン大統領の撤退とハリス候補の躍進など、衝撃的な事件が続いていますが、基本的な流れは変わっていないと考えます。
経済と世の中を明るくしてほしいという願望がアメリカにはあるはずで、通常であればトランプ大統領になるでしょう。
ハリス候補の勝利は、民主党のトランプ候補への悪口作戦がどこまで奏功するか次第ではないでしょうか。
この記事の要約
以上、順当に考えれば次期アメリカ大統領はトランプ前大統領の返り咲きとなる。
となれば、共和党は「小さな政府」を標榜していることから、金価格にはポジティブな影響となる。
一方で、「大きな政府」を推進する民主党のハリス候補が勝利すれば、金価格にはネガティブな方向へ…。
という内容の記事でした。