前回の米大統領選挙とドル建て金というテーマに引き続き、今回は日本の自民党総裁選と円建て金がテーマです。
この記事の要約
今回の記事では、9月27日に投開票が行われる自民党総裁選と円建て金について解説。
- 岸田総理・総裁の総裁選不出馬の理由と、その背景にある国民のバラマキ疲れとは?
- 自民党総裁選のシステムとは?
- そして総裁選後の円建て金の展望とは?
では、見ていきましょう。
岸田総理の総裁選不出馬と国民のバラマキ疲れ
お盆の最中に岸田総裁が自民党総裁選不出馬を表明しました。
この意図は、仮に総裁選挙に当選したとしても、次回の衆議院選挙での負けは必至であり、どのみち責任問題が浮上して首相を辞任する羽目になるのが必至だからです。
低支持率は自民党の問題であり、岸田総理個人の資質にはあまり関係がなく、むしろ安倍元首相の路線を引き継ぎよくやったと言えました。
今回は裏金問題に派生するもの、そしてコロナ禍が終わっても国民生活が思いのほかよくならなかったことに起因があると考えられます。
これだけ株価も賃金も上昇して、バラマキも過去最大規模で行いながら、低支持率という政権は過去に例を見ません。
おそらく国民が援助疲れを起こしているのではないでしょうか。
これは、実のところ国民はそれほど生活に困っておらず、援助や補助など意味がないことを示していると考えられます。
つまり今後の日本政治において、過剰な援助や補助が必要ではない時代に突入したと言えるでしょう。
自民党総裁選挙のシステム
自民党総裁選挙のシステムは、まず総裁候補の際に自民党国会議員から推薦人20人を集めなければいけないという規定があります。
さらに、国会議員票と自民党員票が半々によって決定されるという流れです。
国会議員に関しては、総裁選挙を経て自身が次回の選挙でも当選できるような総裁候補を神輿として担がなければなりません。
推薦人に名を連ねると、総裁になった暁には次回の選挙で応援に入るというバーター取引が自民党では伝統になっているからです。
推薦人を簡単に集められる総裁候補こそ、次期総裁にふさわしいという意味でもあります。
裏を返せば、推薦人集めに必死の候補は、立候補表明の時点ですでに当選の目はなくなっていると言えるでしょう。
一方で地方の自民党員とは、地方自治体の首長や議員、そして地方の有力自民党支持者で、具体的な代表格は農協や農家、都市部では大手企業になります。
自治体の長や議員は、やはり選挙に勝てる候補に流れ、有力自民党支持者らは、自分たちの業界に有利に政策を調整してくれる候補へと流れることになります。
総裁選のゆくえと金価格
現在、これと言った有力な候補がいない乱立状態であると言えます。
言えることは、日銀や財務省が言う「円の価値を上昇させる」ことは、困難だけど長年かけてやっていくほかないということです。
これは誰が総裁・総理になっても確実に実行されるでしょう。
目先はまだ円安に行きますが、日銀は次回の政策金利の上昇も明言しており、10〜11月にかけて円高になるでしょう。
ここ最近、円建ての金価格が高騰したのは、結局、円の価値が低下したからです。
円の価値が大きく上昇すれば、円建て金高騰の要因はなくなることになります。
円建て金は頭を打った?
以下のサイトで、円の価値を示す日本の名目実効為替レートを確認してみましょう。
Nominal effective exchange rate, Japan / Broad basket
引用元:BIS Date Portal
仮に日本政府がデフォルトした場合、政府の信用と共に円の価値もゼロになり、相対的に円建ての金の価格が上昇することになります。
それとは逆に、円の価値を上昇させると財務省と日銀は言っているのですから、長期の円建て金の傾向は頭を打ったと言えるでしょう。
ただし植田日銀総裁は、円の供給を減らすとは言っていません。
供給は増やしたまま超緩和的な政策を進め、円安にすると言っているので、短期的には、円の価値は下がる余地があるということです。
この記事のまとめ
以上、自民党総裁選において自民党国会議員や自治体の首長らは、選挙の顔になってくれる候補に総裁になってほしいと考える。
地方票の場合は、農協や企業らは自分たちに有利な政策を望む候補へと流れる。
現状、どの総裁候補も帯に短したすきに長しの顔ぶれではあるが、一つ確実なのは懸案である「円の価値を上昇させる」方向へと向かうということ。
これは、相対的に円建て金の価格にとってネガティブに働く。
一方で国民の間にはバラマキ疲れ、もはや補助や援助を有難がらない傾向が見えてきたことも見逃せない。
バラマキが縮小すれば、やはり円の価値は高まることとなり、金にはネガティブに働くことになる。
という内容の記事でした。