ドル建て金は高値が続いています。まだ金に夢を見る人が多いようですが、おそらく一度下がらなければ上昇しないでしょう。
この記事の要約
今回の記事では、金相場が一度下がる理由と、その後の展開について解説。
- チャートに見る金相場が一度下がる理由とは?
- ドルの価格と金の価格の関係がアンバランスになっている理由とは?
- 今後の金価格の展望と円建て金に関する注意点とは?
では、始めましょう。
チャートに見る金が下がる理由
以下のチャートは青線がドル建て金価格で左軸、オレンジの線が価格の前年比、緑の線が金利と為替を除いた価格の前年比で右軸になります。
右軸のオレンジの線が45%を超えたところで大きく下がっている点に注目してください。
6月6日現在44.35%と、その45%まであと0.65%にまで迫っています。
マーケットには行き過ぎの水準があり、通常は前年比で30%を超えると高値警戒になります。
ただしドル建て金はこの1年程度、45~50%を超えてくるとは大きく下がる傾向があるのです。
つまり現在の状態なら0.75〜5.75%上昇すれば頭を打ち、大きく下がる可能性があることになります。
単純計算で6月6日の引けが3309ドルなので、3333ドルから3500ドルくらいになれば頭を打つ可能性が高いのです。
ドルと金の関係がアンバランスなワケ
金の価格の上下には、ドルの価格が大きく影響しています。
以下はドル円の理論値の推移で、オレンジ線が実際のドル円レート、青線がドルの前年比÷円の前年比を除した値になります。
前年比でドル円を計算したら、本来はもっと円高になっていなければいけません。
しかし、実際には大きく円安・ドル高になっています。
必要以上にドルが強くなっていることは、本来ならば金の弱さを示すものです。
しかし実際には、金は強くなってしまっています。
このドルと金とに見られるアンバランスな関係について考えるときに、まず現在のアメリカは世界に投資を求めているため、「ドルは強い」と言わなければならないという事情があります。
ユーロが年間で10%も上昇していれば、本来ドルはそれ相応に下がるはずです。
つまりドルが強いのに金も強いというおかしな状態は、表面上はドルが強く見えても、実際には相当弱い状態であることを反映しているのです。
今後の展開

ドルは弱く、さらにFRB(連邦準備制度理事会)が利下げ姿勢を示しています。
この2つの要素は、金の上昇要因です。
金は金利面では高くなる上に、ドルの弱さからも強い状態になります。
以前の金高騰の際には、中国買いという強力な材料があり、仮にこれが復活すれば、金は前年比で70とか100%買われるでしょう。
しかし現在のところ、50%越えのような価格は過去の水準からはあり得ないと判断します。
そして昨今、中国銘柄と言われる白金が高騰していることから、中国経済がよくなってきていることがうかがわれます。
そうなれば、対中依存の強い日本の円も強くなり、ドルの弱さが際立つことになるでしょう。
結果ドル安は変わらないので、金の価格は高いまま維持されます。
ただし、円建ての金は円高の影響を受けて大きく下がる可能性が考えられるので要注意です。
この記事のまとめ
以上、差し当たって金価格は、3333〜3500ドルあたりで頭を打つ可能性が高い。
次に、金価格の構成要因であるドルは、アメリカが海外から投資を呼び込まなければならないことから、「強いドル」を標榜しなければならない。
ただし実際には、円に対しては強すぎる状態ではあるが、ユーロに対してものすごく弱い。
ゆえに一見ドル高に見えても、その実はドル安であり、金は下がらない状態であると言える。
今後は円高傾向になると考えられることから、このドルの弱さが一層際立ち、金の高値は維持されるだろう。
ただし、円建ての場合は円高からの下落の可能性を考慮に入れておきたい。
という内容の記事でした。