今回は、金の価格の4つの変動要因をデータで検証して現在の金価格の妥当性を探ります。
この記事の要約
今回の記事では、金の価格構成要因を検証して現在の金価格の妥当性を判断。
- まず検証にあたって前提となるデータの使用方法とは?
- 米金利、米ドル、米GDPを検証してみると?
- 需給面から本当に金ETF残高が増えているのかを検証してみると?
これらから導き出される結論を順を追って説明していきます。
金の価格変動要因と検証方法
金の価格変動は、
【1】米金利
【2】米ドル
【3】米GDP
【4】需給
上記4つの項目を見ていけば、現在の価格の妥当性が判断できます。
この検証に関しての注意は、全て前年、前週、前月からという数字を使い、名目値(金は現在2700ドルというような普遍性のある数字)は使いません。
理由は、単位を統一しないとその数字に妥当性があるかわからず、比較検討のしようがないからです。
米ドル、金利、GDPを検証すると…
金価格 36.02%高
ドル 4.15%高 ドル高なので金価格にはマイナス要因
金利 0.45%高 金利高なので金価格にはマイナス要因
GDP 2.7%成長 成長しているので金価格にプラス要因計算
-4.15-0.45+2.7=-1.9%
現実には金価格は年間36.02%高になるので大きなズレがあります。
残りの【4】需給によって価格が上昇している可能性があるでしょう。
金ETF残高は増えているのか?
現在、ETFの需要が増えているとのことなので、過去1年間のETFの推移を見てみましょう。
引用元:WORLD GOLD COUNCIL
2025年1月はまだ確定していないので、2024年12月期のデータで読み込みます。
2023年12月のETF残高はトータルで-9.5トンのマイナス
2024年12月のETF残高はトータルで3.6トンのプラス
差っ引きで13.1トンのプラスです。
ここでの注意点は、上記のトン数のプラスとマイナスは前月比の数字であり、前年比の数字ではありません。
上記のグラフの下線部に表示されているアドレスをクリックして、大きなグラフで見てください。
2023年12月と2024年12月を比較した場合、後者の方が低いのがわかります。
つまり一般的に増えていると言われますが、実際のETF残高は減っているのです。
現在の金の価格は割高過ぎる!
上記の分析から、現在の金価格は割高過ぎるということが言えます。
この状態を一般的には「バブル」と言います。
最近ではCOMEX(世界最大の金の先物市場)の指定在庫が増えていることが買いの材料と言われています。
しかし、倉庫料を取られる保管場所にわざわざ移し替えることはあり得ません。
納会に向けて渡すための指定在庫を準備しているという見方が当然になります。
この記事のまとめ
以上、金の価格構成要因である米金利、米ドル、米GDPおよび金の需給を検証。
結果、現在の金価格の高騰を合理的に説明できる根拠はないということ。
つまり結論は、今の金は割高過ぎて投資の対象にはならない、ということです。