今回は、金ETF残高の推移に関してです。ここ最近の主な売り手は欧州勢でした。今回はその点を中心に解説していきます。
この記事の要約
今回の記事では、金ETF残高の推移に関して、主にEUおよび米金利の動向との関係から解説。
- まず、金ETFのほとんどを保有しているのは欧米。
- そして、その残高の上下動は、世界金利の指標と言える米金利の動向に連動している。
- 現状、アメリカではインフレ抑止の観点から利下げを見込むことができない。
- 一方でアメリカに比肩するEUは、6月に政策金利の利下げを行った。
- つまり、この影響を受けて他の各国も金利を下げやすい状況にあると言える。
- そうともなれば、金の新たな買い材料になる。
では、見ていきましょう。
ETFの残高推移上下動の犯人は?
下記のグラフは棒線がETFの残高、黄金線が金価格の推移になります。

2024年4月に大きくETF残高は減っています。
この理由は、下記の米国債10年物利回り推移をご覧ください。

2024年4月に金利が大きく上昇したことが原因だとわかります。
金利の上昇は金の価格にネガティブになるので、ETFも大きく売られたのです。
2024年は年初から金利が買われており、最初のETF残高も減少傾向にあることがわかるでしょう。
反対に2023年10〜12月は金利が低迷しているので、ETFの残高は上昇傾向にあります。
それ以前の2023年7月から金利は上昇傾向にあるので、ETFの残高は減少傾向になるということです。
これらのことから、ETFの残高は金利が安ければ増え、金利が高いと下がるという法則性が見えてきます。
金ETFの売却動向と欧州情勢
金ETFのほとんどは欧米で所有されています。
以下のグラフは、金ETFの地域別保有です。

水色と青の部分はそれぞれ、ヨーロッパ、アメリカになります。
2024年4月は水色の線が目立ち、主に欧州勢が金ETFを売却したことがわかります。
では、欧州の状況はどうなっているでしょうか。
最近では、イギリスのスナク首相が解散総選挙を行い、フランスでは欧州議会選挙での敗北を受けて、解散総選挙と政治的には荒れています。
一方EUでは、6月に利下げが行われました。
下記は、EUにおける政策金利になります。

この利下げはEU域内の指標金利になるので、加盟国の金利は下がる傾向にあると言えるでしょう。
さらにECB(ヨーロッパ中央銀行)の理事たちからは、追加利下げの話が出ており、EU各国では利下げの傾向が鮮明になってきている状態です。
イギリスでもEUと同様にインフレが落ち着いてきており、利下げの議論が活発化しています。
しかし、もう一方のETF大国であるアメリカの金利が下がれば、世界の金利も下がるのが常ですが、インフレ抑止が緩慢であり、利下げの議論には至っていません。
となると世界の金利も下がりにくい状況と言えますが、世界第2位の経済圏であるユーロ圏ではECBの利下げによって、各国の金利が下がりやすい状況になっています。
下記のグラフは、ECBの政策金利(青線)とドイツの市場金利になります。

ドイツ金利は政策金利とともに上昇しましたが、利下げ前から金利は停滞、利下げ後は一緒に金利が下がっている状況です。
今後の金利と金価格の展望
コロナショックによって、世界各国は一斉に利下げと緩和を行ってきました。
これは金の価格構成要因
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
のうち【1】を大量に供給し、【2】を下げたので金の高騰が存在したのです。
そしてコロナ禍が終わる前から世界は利上げを開始、結果、金安材料となったのですが、今度は中国の大量買いが需給を圧迫して金が高騰しました。
さらには、今度は中国の需要が減少したと思われる中、利下げがスタートし始めたのです。
今の状況はアメリカの利下げが見込めないので、現状、世界の金利は高いままで徹底的な買い材料とはなりません。
ただし、そのアメリカ経済と比肩するヨーロッパ経済が金利を下げ始めたことによって、再び金の上昇が見込まれるという展開が成り立ちます。
この記事のまとめ
以上、今年3月くらいまでは金利高、中国の金需要によって価格が押し上げられたのが4月以降、そして現状は中国の金買いが減少した可能性がある。
ところが、その買い需要がなくなれば今度は金利安という材料が台頭し始めたということ。
1つの材料が消えていくと、新たな買い材料が出てくるという循環になっています。
このような相場は、まだまだ金は高いということを経験上言えるという内容の記事でした。

















