目次
今、目に見えて金の買い主体が変化をしてきているようです。
この記事の要約
今回の記事では、今の金の高値を支えている買い主体に変化があったことを解説。今後の金価格の展望についても言及します。
- 中国の金買いに変化があったのはなぜ?
- アメリカ人投資家が金を買っている理由は?
- 今後、金価格はどう動くか?
では、始めましょう。
中国の金買いに変化あり!
まずは中国国内の金価格をご覧ください。

中国国内の金価格は、左軸の標準価格より下がってきています。
今までは中国の国内価格が上昇しているときには標準価格、つまりCOMEX金価格やロンドンスポットと比較して大きく上ザヤを買っていました。
しかし、9月から大きく下回り始めています。
これは中国の買い需要が減っていることを意味していると思われます。
なぜ中国は金買いを減少させた?
中国の金買い減少の要因は、ドル人民元のレートを見れば明らかです。

人民元安のピークは2025年初頭で、5月に元高が進行し、9月にはさらに元高が進行しています。
次に金の価格は2022年年初に上昇し始め、その後下落しましたが、2023年からは本格的な上昇に入っています。
これについて、中国の準備金を見てみましょう。

2022年、中国の投資家は国内投資をあきらめて金を買ったのですが、一過性のブームに終わり、その後はおそらく米国株などを買い始めていました。
しかし、2022年の末から中国共産党が猛烈に金を購入したので、中国人投資家が金買いに走った結果が今回の金急騰の原因になります。
そこに人民元高が来るということは、海外に投資していた中国人投資家が国内投資に回帰してくることを意味します。
そして人民元高とは金の価格が安くなることを意味します。
中国人投資家は金を買わず、代わりに株が新値を取っている状態なのです。

今の金の新値は誰が買っているのか?
金は中国人投資家が撤退して、今までの買い要因が消えている状態です。
一方で誰が買っているのかもデータから明らかです。
ETFの購入金額をご覧ください。

次にアメリカだけにフォーカスしてみると、以下のとおり今年に入ってからETF購入は激増しており、9月に入ってからさらに増えています。

反対に中国を見るとETF購入は5月がピークで、その後は低調になっています。
アメリカ人投資家が金を購入する理由
アメリカの投資家が金を購入する理由は、中国の投資家同様に通貨、すなわちドルにあります。

年初からドル安が進行し、5月には下げ止まりがありました。
これはドル安の極端な進行が5月に止まったこと、5月に中国のETF購入が止まったことと関連があるでしょう。
つまりドル安の進行が極度だったので、金の値上がりも極度だったということと関連があると考えられるのです。
米で金ETF購入が極端になったのはなぜ?

9月からアメリカ人投資家の金ETF購入が極端になったのは、9月20日頃にトランプ大統領が「10月の債務上限の期限で政府閉鎖の『可能性』は十分にある」と発言したことにあります。
米政府閉鎖は金利の急騰を生み出し、さらなるドル安が見込まれるからです。
つまり最近の金はドルの上下を基本に動いているのであり、債務上限に達して政府閉鎖になった場合、ドルがさらに下落する用意があるということです。
中国人が2025年まで猛烈に金を購入したのは人民元安の結果で、人民元高になったら金購入を徐々にやめていることと一緒です。
アメリカ人も、万が一政府閉鎖になった場合に備えて金を購入しているものと考えられます。
政府封鎖からのドル安・金高はあり得るか?

オバマ政権時代から何度も政府閉鎖危機を経験していますが、結局のところ議会が和解し、最終的には解決してきました。
今回もそうなるでしょう。
またこの問題だけではなく、今のトランプ大統領の看板政策である関税を最高裁が違法であると決定を下していることもあります。
トランプ政権における最大の税収は関税で、それが取り消しになれば簡単に政府閉鎖の憂き目に合いかねません。
しかし裁判所は違法と判断するかもしれませんが、その差し止めが三権分立の精神からできないでしょう。
つまり何の問題もない、となるものと思われます。
金が最終的に下がるという判断は覆ることはないでしょう。
この記事のまとめ
以上、海外市場や金に投資をしていた中国人投資家が、国内の株式投資に回帰したという構図です。
一方で、中国という材料がなくなり急落するのではなく、今度はアメリカという材料が誕生しました。
このように、材料が日替わりメニューになることはマーケットが強いことを示している可能性があり、買い方には心強い材料と言えます。
しかし、これは偶然の産物で、ドル安が元安にとって代わっただけに過ぎません。
ただし、このまま米中の低調がいつまでも続くわけはないでしょう。
結果、金は最終的に下がるという判断に変化はありません。
という内容の記事でした。
















