今回はトランプ政権の関税政策の経済への影響、そして金価格への影響について考えます。
この記事の要約
今回の記事ではトランプ関税について、世間で言われるような経済への悪影響はあるのか、金価格への影響はどうなのかについて解説。
- 実際にトランプ関税の影響が経済に表れるのはいつ頃か、そしてどの程度のものか?
- 仮に関税によって米経済が停滞した際にトランプ大統領が打つ手は?
- 金価格への影響について、どのようなシナリオが考えられるか?
では、始めましょう。
トランプ関税は米経済に悪影響か?

2月からのトランプ政権の中国に対する関税政策によって米経済はインフレに落ち込み、世界経済はある程度の失速するというのが現在のコンセンサスです。
このような予想は、第一次政権の時も乱立しました。
ただし、本当にこのとおりになったのかは誰も分析していません。
トランプ大統領自身やベッセント財務長官は、関税による物価上昇や経済停滞は第一次政権では確認できなかったと言っています。
言えることは複雑な要因が絡み合っており、真相は誰にもわからないということです。
実際に関税の影響が出るのはいつ?

関税の影響について、結果が出るのは早くても3ヵ月後になります。
具体的に輸入が減った、増えたという経済指標はアメリカでは2ヵ月かかるからです。
今年2月から対中関税を開始しているので、結果が出るのは4月くらいになります。
一番懸念される物価への影響を示す工場出荷価格、つまり輸入価格への影響が出るのは5月になり、この5月の指標が発表されるのは翌6月の中旬です。
上記は企業への影響ですが、消費者への影響はさらに時間がかかり6ヵ月後、つまり8月であり指標の発表は9月です。
トランプ関税の本格化は4月2日からなので、この結果が出るのは11月、つまり感謝祭の前後でアメリカ最大の休日に当たります。
ジングルベルの音が町に響く頃であり、あまり関係なくなっているというのが弊社の見立てになります。
仮に関税で物価が上昇したら?

仮に関税によって物価が上昇したら、当然トランプ政権の支持率も低下するでしょう。
トランプ大統領も民意の動向には注意を払うでしょうから、仮に悪影響が甚大であれば関税を撤回する可能性があります。
この場合、現状でも史上最大の貿易赤字がさらに拡大することは確実です。
そこでトランプ大統領は、ドルの「切り下げ」を行ってくる可能性が高いと考えます。
ドルの切り下げで近年、想起されるのは1985年のプラザ合意です。
この時は1ドル200円近くだったドル円レートが150円程度まで円高になりました。
金にとって最高のシナリオもある?

現在の金価格は中国による買いで高騰しています。
ただし、これは中国の外貨準備に派生した買いであり、規制がうまくいけば中国は輸出を減らし、金準備も減らすでしょう。
しかし規制がうまくいかない場合には、余計に金を買ってくる可能性があります。
その上にドル切り下げを行えば当然、金は大暴騰必至です。
ただし円高なので円建て価格は大して上昇しませんし、反対に値下がりする可能性がある点には留意してください。
この記事のまとめ
以上、トランプ関税の影響について世間で言われているほど悪影響はないものと考える。
ただし、仮に物価上昇からの米経済の停滞が確認されることになったら、トランプ大統領は関税を撤回する可能性は否定できない。
その際にはドルの切り下げに踏み切るだろう。
結果、金価格はドル安を理由とした高騰に向かうだろう。
さらにこれに中国による金の買付も加われば大高騰は必至!
という内容の記事でした。