金は相次ぐ新値ラッシュ。世間は、まだまだ高値が続くのではないのかというコンセンサスになっているようですが…。
この記事の要約
当コラムは今の状態はドル安からの高値であり、この高値は何れ終わるという姿勢はくずしていません。
- 金が高すぎる理由と買い手は?
- どんなところに金バブル崩壊の兆候が見えるのか?
- 今後の金価格の展望は?
では、始めましょう。
金価格前年比に見えるパターン
まずは2024年7月1日から2025年9月30日までの金価格とその前年比の推移を見てみましょう。
青線・右軸がドル建て金価格、左軸は緑線が為替と金利の影響を排除した価格前年比、オレンジ線がそのままの価格前年比になります。

注目はオレンジの線(純粋な価格前年比)で、左軸の45%のラインを見てください。
ここから上に行くと、ことごとく売られています。
直近でもその前も抜けているように見えますが、実際は抜けていません。
9月8日は44.97%で45%を僅かに抜いていませんが、押し目を形成しただけで再び高値を取っています。
そして9月29日に45.23%を叩き出し、翌30日には「寄り3833、高値3871、安値3792、引値3858」と高値と安値の間で79ドルも乱高下を記録しました。
この前年比で45%を超えるといったん利食いが行われるのは、過去の経験則に基づき手仕舞いが行われた結果でしょう。
過去45%を超えた時も、1週間程度乱高下した後に急落しているので、今回も大幅に切り返しましたが、同じような結果になるのではないのかと推測しています。
今の金の高値を支えているのは?

今回の金急騰の背景にはドル安のほか、2022年の中国の不動産バブル崩壊後、行き場を失ったお金が中国国内を出たことがあります。
これが日米の市場、そして金を買ったことがあると考えられるのです。
ところが2025年9月から中国勢の金ETF買いも減少し、中国国内の金価格も下がってきたことから、中国の買いが大幅に減少したことが確認できます。
つまり中国勢が買っていないので、価格が下がるはずと見ていましたが、そのようなことはなく、オルタナティブな勢力の台頭によって価格が維持されていると考えています。
具体的には、ETFの買いを支えているのはアメリカです。
そのアメリカで話題になっているのは4月からは関税、そして10月1日には米政府が債務上限に達し、閉鎖される可能性があります。
関税に関しては、今までほとんどコストがかからなかった対米輸出が15〜25%の関税が摘要されているわけですから、アメリカの輸出は減って当然です。
その結果、ドル需給の緩和からドル安になり、ドルの裏返しである金が上昇したということで説明ができます。
また政府閉鎖によって、アメリカの借金が本当に返済されるのかという疑心暗鬼が生まれ、金利が急騰します。
金利の急騰は、ドルに対する信用がなくなっていることになります。
つまり、2つの要因によって金の急騰が実現したということです。
今は金バブルの末期?

今、金はずっと買いだと思っている投資家も多いようです。
しかし、ほとんどの方が高いから買いだという言質であり、つまりよくわからないけど買いだと言っているに等しいかたちです。
バブル末期になると、なんでもいいから買っておけとなり、永遠に買いだという雰囲気になります。
金が最安値を付けた1990年代末、ある評論家が「金など石ころよりも安くなる」と放言しました。
この発言を皮切りに、300ドルだった金が一気に500ドルになり、ひいては現在のマーケットになっています。
つまり永遠に安いとか、永遠に買いだといった言質が生まれるような状況は、本当に脆いものになる可能性があるのです。
30年も続いたマーケットの終わりが、半年くらい荒れても不思議ではないでしょう。
この記事のまとめ
以上、中国の買いで始まった最近の急騰。
しかし、現在では中国はそれほど大きく金を買っていません。
その代わりにドル安を背景としたアメリカが金を多く購入しています。
彼らの買いの根拠は、
1. 関税
2. 政府閉鎖
しかし、これは永遠に続くでしょうか?
アメリカが信用できないからドル安になった結果、金が高いわけで、つまり今金を上げている要因は、いつか終わるというような事象です。
おそらく関税と政府閉鎖の問題が片付けば、金は大きく下がる!
という内容の記事でした。
















