金の売却を検討する人が増えています。インフレや円安の影響で金価格が急騰し、「今が売り時なのでは?」と感じる人もいるでしょう。ただし、金といっても現物、ETF(上場投資信託)、投資信託、アクセサリーなど保有形態が異なり、売却方法や税金の扱いも変わります。本記事では、「金を売却するなら知っておくべき基礎知識・税金・売却先の選び方・注意点」まで、初心者向けに詳しく解説します。
金を売却する前に知っておきたい基礎知識
金は古来より「価値を守る資産」として人々に選ばれてきました。株式や不動産と違って企業業績や経済情勢に左右されにくいため、有事の資産として注目されています。特に最近は、世界的なインフレや円安、国際情勢の不安定さから安全資産としての需要が高まり、国内の金価格は過去最高水準まで上昇しています。
金の保有形態は大きく3つに分かれます。
- 現物の金(地金・コイン・アクセサリー)
実物を手元に置ける安心感があり、相場次第では値上がり益を期待できます。売却は店舗や業者を通じて行われ手数料に差が出やすい点が特徴です。 - 金融商品(ETF・金投資信託)
証券口座から株のように売買でき、流動性が高いのがメリット。課税は株式や投資信託と同じ金融商品取引のルールが適用されます。NISA口座を利用すれば利益は非課税です。 - アクセサリーとしての金
使わなくなったネックレスや指輪などは、「資産」としての金と同じ扱いで売却可能です。ただし貴金属の純度やデザインによって買い取り価格が変わるため、ブランド買取店を利用することも選択肢の一つです。
まずは、自分が保有している金の種類を正しく把握することが、売却を考える第一歩です。
現物の金を売却するならどこがベスト?
現物を売却する際には、主に「貴金属店」「ブランド買取店」「オンライン買取サービス」が利用されます。
- 貴金属店・ブランド買取店
その日の相場をもとに査定してもらえるため、現金化がスムーズです。ただし店舗によって手数料や買い取り価格に差があるため、複数の店舗で査定を比較すると有利です。アクセサリーの場合はブランド要素も加味されるため、ブランド買取店の方が高値になることもあります。 - オンライン買取サービス
自宅から宅配便で送るだけで簡単に売却できます。忙しい人に人気ですが、送付中の紛失リスクや査定金額の不透明さに注意が必要です。送付前には「補償制度の有無」「査定明細の開示」「スプレッド(純金相場との差)の確認」を必ず行いましょう。
なお、宅配便の紛失における責任は、原則として運送業者の過失によるものと判断された場合、運送業者が負います。
ヤマト運輸:宅急便の荷物の紛失・破損に対する補償(責任限度額)は、いくらですか?
金を売却したときにかかる税金と確定申告
金を売却して利益が出た場合は「譲渡所得」として課税対象になります。
- 特別控除(50万円)
年間売却益が50万円以下なら課税されません。 - 短期・長期の区分
保有期間が5年以下は短期譲渡、5年以上は長期譲渡。長期譲渡は課税対象額が半分に軽減されるため有利です。 - 課税方式
総合課税として給与所得などと合算され、所得税・住民税が計算されます。給与所得者の場合は確定申告が必要なケースもあります。
金を売却するメリットとデメリット
- メリット
相場が高いときに売れば利益を得られる。得た資金を生活費や新たな投資に活用できる。 - デメリット
将来さらに価格が高騰した場合、その利益を取り逃がす可能性がある。
売却のタイミングを見極めるのは難しいため、「大幅に値上がりしたとき」や「生活資金が必要になったとき」を一つの目安にすると良いでしょう。
金を売却した後に考えるべき資産運用
売却して得た資金を何に活かすかも重要です。消費で終わらせず、資産形成につなげる方法を検討しましょう。
- 株式投資や投資信託での分散投資
- NISAを利用した金投信や純金積立
- 債券や不動産クラウドファンディングなど安定資産への再投資
金の売却はゴールではなく、新しい資産運用のスタートラインと捉えることが大切です。















