老後のお金の相談をしていると、「公的年金を増やしたい」という声をよく聞きます。厚生年金に加入していない方の場合、年金は決められた制度だから金額もすべて決まっていると思われがちですが、実はそうとは限りません。制度を知っているだけで、将来受け取る年金を増やせる可能性があります。
まずは国民年金の「満額」を知る
国民年金の基本を確認しておきましょう。 国民年金は、20歳から60歳までの40年間保険料を納める制度です。この40年間すべて納めると、老齢基礎年金は満額となります。
- 2026年度の満額: 年額84万7,300円(月額7万608円)
ただし、実際には40年間欠かさず納めている人ばかりではありません。学生時代の未納や、転職・独立時の空白期間があることも珍しくありません。私自身も学生時代は制度を知らず、払っていませんでした。このように満額に届かない期間がある方は、実は少なくないのです。
60歳からの「任意加入制度」という選択肢
そこで知っておきたいのが、国民年金の「任意加入制度」です。 通常、国民年金の加入は60歳までですが、保険料の納付期間が40年に満たない場合は、60歳から65歳までの間、任意で加入を継続することができます。
つまり、足りない期間を最大5年間(60ヶ月)まで追加して納め、将来の年金額を満額に近づけることができるわけです。
任意加入は「お得」なのか?
国民年金保険料は、1カ月あたり17,920円(令和8年度)です。決して安くはないため、「任意加入はお得なんですか?」と聞かれることがあります。
もちろん、支払った保険料と将来増える年金額を計算して比較することもできますが、私は少し違う捉え方をしています。公的年金は「一生枯れない財布」のようなものです。貯蓄はいつか底をつくことがありますが、年金は生きている限り受け取れるお金です。
土台を整えることが老後の安心につながる
老後の生活を支える「毎月の確実な収入」を少しでも増やしておくことは、長い人生において大きな安心感を生みます。60歳が近づいたとき、もし納付期間が40年に満たない場合は、この任意加入という選択肢を思い出してみてください。
老後資金の準備というと資産運用や貯蓄に目が向きがちですが、まずは公的年金という土台をしっかり整えることが先決です。
なお、今ある資産の整理や売却を検討されている方も、こうした年金制度の活用と併用することで、より安定した老後の家計を築くことができるでしょう。


















