ロイター通信のインタビューでベルギー高官は、ロシア産ダイヤモンドの禁輸が今後2〜3週間の間にG7によって決定される可能性を答えました。この影響と評価について解説します。
この記事の要約
今回の記事では、ダイヤモンド価格の低迷の理由は以下の4点。
- コロナ禍による需要の低下。
- 人工物の増加。
- 戦費調達を目的としたロシア産の攻勢。
- 人工物と自然結実の品質の差が今後も縮小していくと見られていること。
- 人工ダイヤモンドの消費が拡大しているが、景気の回復に応じて今後は天然物の需要も回復してくるだろう。
では、具体的に見ていきましょう。
ロシア産ダイヤモンドの特徴と禁輸説の背景

ダイヤモンドといえば、世界的に有名な会社はデビアス社ですが、近年はロシア産も注目されています。
ロシア産の特徴は結晶格子が整い、研磨しやすいという評価がある一方、環境問題に配慮した採掘ができていないという批判もあります。
そして、価格がデビアスが提供するダイヤモンドよりも安いことが一番の問題になるでしょう。
G7はウクライナ侵攻を続けるロシアに対して、戦費を枯渇させたいという思惑から石油やガス、農産物の禁輸などの制裁を課しています。
しかし、思うようには行っていないというのが現実であり、今回はその対象をダイヤモンドにも広げたという話でしょう。
ベルギーにとってダイヤモンドとは?

さて、そのベルギーとはどういう国かといえば、主な輸出品では2022年で真珠やダイヤモンドが全体の4.7%あります。
これは、ベルギーが世界的に有名なダイヤモンド研磨技術を持つ国と知られているからです。
この結果、デビアス社もロシア産もダイヤモンドはベルギーに持ち込まれ、研磨されて輸出されています。
今回、ベルギーの高官がG7でロシア産ダイヤモンドが禁輸になることを表明した背景には、ダイヤモンド価格の低迷によって国益が脅かされることがあると推測されます。
ダイヤモンド価格の推移
ダイヤモンド価格は、昨年9月の同時期と比較して3割ほど低下しています。
この価格低下は、ダイヤモンドを主力の輸出品とするベルギーの外貨獲得にとって喫緊の問題です。
そこに廉価なロシア産が輸出されると、ベルギーにとって非常に迷惑な話になります。
この価格低迷は、コロナ禍によって宝飾品需要が大きく減少したことと人工ダイヤモンドのダブルの材料によって示現したものと考えられます。
加えて、戦費調達のためにロシアが輸出攻勢をかけたこともあるでしょう。
さらにG7は、ロシアのダイヤモンド採掘会社にも制裁をかけています。
その株価は以下の通りです。

制裁を受けて株価は急落しましたが、最近の上昇基調から、今回のベルギーの制裁発表を受けてまた急落しています。
参考までに、これはルーブル建ての株価であり、ルーブルの最近の安さを見ればドル建てでの株価はさらに上昇しています。
今後のダイヤモンド価格の見通し
以下はアメリカのダイヤモンド小売価格の推移です。

ロシア産の輸出攻勢と人工物によって低迷しているダイヤモンド価格ですが、コロナ前よりも高い状態です。
もちろんドル価格が低迷していることも要因ですが、おそらく人工ダイヤモンドと自然結実の品質の差が今後も縮小していくと見られることも価格低迷の要因でしょう。
しかし、世界ナンバー1の石油輸出のロシア産原油を規制しても価格が低迷するどころかむしろ高くなっている事実を見れば、ダイヤモンド価格もいったんは上昇に向かうことになるでしょう。
そしてロシアはその間、制裁逃れのあらゆる手段を講じてくると思います。
供給側には過剰供給の問題が残りますが、需要が問題になります。
需要は人工ダイヤモンドの消費が拡大していますが、おそらく今後はコロナ復興によって天然物も回復してくるでしょう。
結果、高騰もしないが急落もしないという需給構造になってくると思われます。

















