過去には原油価格が150ドルということもありましたが、2020年4月21日の5月限(ぎり)では10ドルを割り込む事態になっています。
これはどういうことなのかを解説します。
原油価格に需給など関係ない
はっきりと申し上げると、「価格というのは需給がすべてに優先する」は真っ赤なウソです。
例えば金の価格予測(当コラムではほかの専門家などよりも多くが当たっていると認識していますが)、それほど需給に詳しいかといえば、世間との知識差などはありません。
つまり、需給などでは金の価格は決まっていないのです。
何度も言うように金価格は、
【1】ドルの上下動
【2】金利の上下動
で決まっており、需給は多くの材料の一つに過ぎません。
原油の場合も同様で【1】がドルの上下、【2】と【3】がなくて【4】に金利となります。
ドルの上下によって原油価格が決まっているのであり、ドルにさえ注目しておけば、今回の大急落はわかって当然のことでした。
実際に、前に原油に触れた際には将来的には10ドルを割り込むであろうと書いています。
https://kinkaimasu.jp/lounge/2020/04/25/the_origin_of_the_new_corona_the_current_state_and_outlook_of_the_chinese_economy/
これは需給を見て言っているのではなく、ドルがまだまだ強くなるから原油が安くなると言っていたのです。
原油価格の推移と在庫を確認
今回の場合、10ドルを割り込むのがあまりにも早かったので驚いています。
この急落は需給になりますが、根本的な原因はドル高です。
以下のグラフは原油価格の推移になります。

そして、以下は直近の石油価格の動きです。

価格がマイナス40ドルまで行っています。
次に上げるグラフは原油在庫、CME指定倉庫ですが過去最高の水準です。

つまり、過去最高水準の在庫が今回の価格の急落を示現したように映ります。
今回の原油急落も根本原因はドル高
世間ではこのように原油在庫がだぶついていますので、価格が急落したと知ったかぶりをしている人が多数いらっしゃいます。
しかし、そんなものは一時的な材料であり、根本的な原因はドル高です。
以下のグラフは上が2020年4月22日までのドル実効レートの推移、下が原油価格の推移になります。


ドルの強さと原油価格の推移を比較すれば、ドルが強くなるたびに原油価格が下がっていることが明らかです。
需給など関係がないとまでは言いませんが、大勢的な流れはドルの強さで動いているのです。
つまり、在庫が急増しても急増しなくてもドルの続伸が続いている以上、原油が10ドル割れをするのは時間の問題であり、今回のNY原油5月限が急落をしても何の不思議もありませんでした。
産油各国の状況

産油国について言及すれば、中東の産油コストなどたかが1ドル以下にすぎません。
ですから、サウジアラビアやイラン、イラクなどは痛くもかゆくもないのです。
そのほかロシアは壊滅的な打撃を受けています。
原油の受け取り代金はルーブル建てですので影響は知れているのですが、ドル高ルーブル安なので国力の低下を免れない状態です。
アメリカのシェールなどはコストが30ドル程度と一般的に言われており、これは作れば作るほど赤字なのでどうしようもない状態です。
ただし、アメリカのシェール企業は数が多すぎ、整理淘汰のチャンスになっています。
さらにいえば、サウジなどの中東はドルが上昇していますので、原油が50%以上下がってもそれほど痛手はありません。
仮にドルが10%上昇しても、そのドルをアメリカで運用していますので、その実損は10%程度にしかならないのです。
こうやって見ると、実損が大きいのはアメリカのシェールやOPEC(石油輸出国機構)の協調減産を断ったメキシコ、そのほかカナダや南米のブラジルやベネズエラなどが甚大の影響を受けています。
現在の原油価格はフェイク

こういった被害に目がいきがちですが、原油価格とはドルに沿っているだけの話であり、現在の価格はドルの上昇以上に下がってしまっています。
要するにこの価格はフェイクであり、いずれもとのレンジの20-30ドルに戻るでしょう。
多分ドルが強くなることは避けられないので、将来は10-15ドルに収れんをすることになると思われます。
金価格への影響

原油の価格変動要因は【1】ドルだけでしたが、金は【1】ドル、【2】金利です。
このうち【2】の金利はすでにアメリカはゼロ金利ですので、これ以上下がりません。
つまり、金利は動かないのです。
ただ、ゼロ金利は金の買い条件になりますので、いまだに高値を保っているのです。
そして、ドルは今後上昇していくことを考えれば、金利が1ミリでも上昇し始めると安くなる傾向があるのです。
新型コロナ感染が終息するか否かは神のみぞ知るような状況ですが、どこかでは終わるはずです。
そのときには市場金利は必ず上昇します。
そのときにドルが高いままで金利が上昇すれば、金は暴落です。
現在は、この条件にまだ当てはまらないだけにすぎません。














