12月も下旬になりましたので、今回は金相場について今年起こったことを分析し、そこから未来を見ていきましょう。
この記事の要約
今回の記事では、2019年の世界経済が好調、2020年は新型コロナで壊滅的、2021年は復興とすれば、2022年は好調の始まりのような一年。
ただし、好不調の瀬戸際に今あるとも言える。
本格的に経済が上向くのは、真に新型コロナを克服できた時。
そして、ドル高で金が下がる典型的な一年だった。
では、2013年は?
2022年のドル建て金相場の推移
今年1年のドル建て金相場のチャートをご覧ください。

株価のように1年の騰落で見ると、12月16日現在わずかに年初の値段を下回っている状態になります。
ここのところ毎年のように金価格が上昇していたのに、安いのは久しぶりです。
これは主にGDP(国内総生産)に起因するところが大きいでしょう。
2020年にはコロナショックがあり、結果として経済がゼロからスタートした2021年は大幅に上昇、2022年はわずかに上回ることになりました。
その結果が今の値段でしょう。
この帰結から、現状の経済は不景気感が漂っているので、2023年は2022年よりも少し成長するか、それともマイナスになるか、という瀬戸際になると思われます。
2023年の経済は「?」
2019年から2023年までの経済を俯瞰すると、
2019年は好調
2020年は壊滅的
2021年は復興
2022年は好調
2023年は?
2019年が100とすれば、2020年は0、2021年が70、2022年が100、2023年が「?」となります。
2022年で元に戻ったとすれば、2023年はテクニカル的に下押しとなる可能性が高いことになります。
その下押しを年後半には覆して、大きく成長する可能性も否定できませんし、一年を通して調整経済になるかもしれません。
これは今後の展開次第です。
本格的経済成長はいつ来るのか?

現状、コロナ禍によって経済が壊滅的になって、本格的な成長はまだ起こっていないのではないでしょうか。
大きく屈伸して次のジャンプ、すなわち来たるべき大きな成長に備えている段階です。
2011年の東日本大震災は、民主党政権のゴタゴタで大きくもたつきましたが、2012年末に第二次安倍政権が発足し、アベノミクスで異次元緩和を行ったことによって大きく飛躍しました。
2022年から翌23年にかけては、東日本大震災後の民主党政権のゴタゴタのような時期になっているのではないでしょうか。
どのような形になるのかはわかりませんが、おそらく大きく飛躍するだろうと思います。
忘れないでいただきたいのは、コロナ禍はまだ続いているということです。
これが終わると本格的な成長ではないか、と考えています。
ドル高で金が下がる典型の一年
以下は今年1年の金とドルのチャートです。
青線、左軸のドルインデックスは、反転させてあります。

年初はドルが動かなくても高かった金は、2月のウクライナ侵攻後、ドルが高くなると(青線が上方に行く)金の価格が上昇していくという関係になっています。
つまり2022年は、ドル高で金が下がる年の典型でした。
今年の金利と金価格の相関
金利と金の関係もドルとの関係と同じです。

3月くらいから金利が上昇していくと金の価格も下がり、11月に金利の高騰が終了すると金の価格は反転上昇しています。
2023年の金価格の展望

2022年の金は、ドルと金利との反相関関係によって動いていた、ということになります。
これが続くか続かないかを分析してみましょう。
金価格の構成要因は【1】ドル、【2】金利、【3】GDP、+需給です。
このドルと金の反相関関係は基本的に変わらないわけですから、【3】GDPと需給が2023年の変化要因になる可能性があります。
2023年がコロナ前のGDPに戻ったと仮定すれば、チャートのテクニカルでは、この値段の前後でもみ合うことが通常です。
まれに前回の値段に戻っても勢いよく抜けていくケースもありますが、これは強力な材料がある場合です。
良くなるか悪くなるかわからない状態が少なくとも2023年の前半まで続くと思われます。
そこから通常なら大きな材料を伴い、上昇するのであろうと思います。
需給に関しては、中国などの東側諸国の金買い付けが異常に増えていることがかく乱要因になるでしょう。
アメリカの中国・ロシア排除の姿勢は鮮明化しています。
それに対抗して東側諸国はこの高値でも買い増しをしてくる、と考えるのが自然です。
これらの要因を見ても、2023年の金は主に後半にかけて大きく上昇する可能性が高いと考えています。