今回は、ドル高からドル安への転換が到来して金価格が上昇するという解説をしていきます。
ドルが安くなれば金価格は上昇する!

世界の基軸通貨であるドルの価値が下がればその裏の価値である金の価格が上昇する、これが金価格変動の基本ルールです。
ドルの価値の下落とは、根本的にはお金の価値の喪失ということ。
金はそのものに価値があるので、皆が金を保有しようという動きになり、ドルが下がれば金の価値が上昇するのです。
ビットコインほか暗号資産が金になり得ない理由は、実物が存在しないからです。
ネット空間に存在しても、人は実物を見ないと信用しません。
ところが通貨の代表であるドルに人民元が割り込んできました。
人民元を使う中国は、世界2位の経済大国ですから当然です。
原油の取引にはドルを使うのがセオリーですが、原油の輸出大国はロシア、主な輸出先は中国となると、人民元建ての取引が増えるので、ますますドルの立場が弱くなってきます。
そうはいっても各国政府の認識は基軸はドル、ゆえにドルを中心に金価格を見るほかありません。
わからないときは参考までに人民元を見ればいいのです。
ドルと金の相関関係
下記のグラフは青線でドルインデックス、緑線でドル建て金価格の動きを表しています。
ただしドルインデックスは青の線が上に行っていることがドル安、下に行っているときはドル高を意味します。

青線が下がっているということは、見事にドル高です。
ドル高になると金の価格が下がるという見事な相関関係になっています。
つまり現在、ドル高になると金が下がるという相関関係は生きていると判断することができるのです。
ドルの価格はどうなるのか?
上記のグラフが示しているとおり、直近の金の価格動向はドルの動向を見ればよいということになります。
そのドルの価値は、アメリカの雇用によって成り立っています。
下記のグラフは青棒線がアメリカの雇用人数、黒点線がドルの推移です。

2020年にコロナショックがあり、その際に雇用人数もドルも下がっていることがわかります。
雇用が大きく増え始めると、ドルもようやく反転し始めました。
反対に直近では、雇用人数は先月よりも減っています。
そのほか失業保険申請者数も上昇という形になり、雇用はピークを迎えたといえるでしょう。
ここから大きく雇用がダウントレンドを描き始めると、ドルも安くなると予測がつくのです。
もう一つのドル安要因
コロナショックのような大不況が来たときには、まず企業の資金調達を支援し、企業が儲かるようにしなければなりません。
収益の見通しが立つようになれば、企業は雇用を開始し、結果として好循環が生まれるのです。
この資金調達とは利下げのことで、アメリカではゼロ金利のことを指すため利上げを開始したということは、企業が儲かるようになったことを示しています。
その結果、上記のグラフのように雇用が増え始めたのです。
そして雇用が増えても儲からなければ賃上げはありません。
アメリカは企業は問題なしという政策を取っており、今後は雇用者の賃上げが必要となってきているのがわかるでしょう。
では賃上げの上昇よりも、企業がもっと儲かるようになることを示すデータを示します。
下記のグラフはアメリカの小売売上、年間比です。

この小売売上を見ると、企業は儲かっていないという感想が皆さんの直観になるでしょう。
ここに黒点線でドルインデックスを添付します。

ドルインデックスが下に行くごとに売り上げが上昇し、ドルインデックスが上に行くほど小売り売上が減少していることがわかります。
では売り上げを増やすためには、どうすればいいのでしょうか。
答えは、ドルを下げればいいのです。
ゆえにアメリカは去年から今年の5月までドル高政策を取ってきましたが、今後はドル安政策を取る可能性が大だと言えるでしょう。
実際にドル円が130円まで行きましたが、すぐに120円台後半に突入しています。
これは円が上昇していることもありますが、ドルも下がっているからドル安円高でドル円が円高に行っているのです。
総合的に考えると…

総合的には、雇用が完全雇用状態になり、これ以上の雇用増が望めないアメリカは、成長のために賃上げになるのは必然です。
その賃上げのためには企業が儲からなければいけません。
企業が儲かるためには売り上げが必要です。
結果として売り上げが上がるようにするためにはドル高政策を止め、ドル安に転換しなければいけないということになります。
となると雇用の面からも売り上げの面からも、アメリカはドル安政策を取ることが合理的になるということです。
この記事のまとめ
今回の記事では、直近の金価格はドルの動向に連動していることを確認。
そしてそのドルは、米雇用や企業の売上との関係からドル安に転じる可能性が大。
ドル安になれば、金の価格はどうなるか?
言うまでもなく、金の価格は急騰する!
こういう内容の記事でした。