緊迫するウクライナ情勢と金相場のゆくえ

2月12日にアメリカ大統領報道官がウクライナに居住しているアメリカ人に対して48時間以内の退避を勧告。

それに続いて、ヨーロッパや日本などの国々も退避を勧告しました。

緊迫が続くウクライナ情勢ですが、実際はどうなのでしょうか?

ロシアにとってメリットはあるのか?

情勢の悪化を受け、ウクライナ便およびウクライナ上空を飛ぶ航空機を欠航としたオランダのKLM航空

まず先に考えるべきは、ロシアがウクライナに侵攻して何のメリットがあるのかという問題です。

アメリカや西側諸国はロシアがウクライナに侵攻すると騒いでいますが、ロシアがウクライナに侵攻するメリットは感じられません。

かつてのソ連の指導者、ゴルバチョフ議長は、ソ連の崩壊を早めたのはオイルショックで儲かりすぎたことから、アフガニスタン侵攻という愚挙を犯して敗退した結果と過去に言明しました。

その記憶がプーチン大統領にないわけがありません。

つまりウクライナ侵攻によって利益になるものがなく、むしろ西側からまた過大な制裁を課されることで大きな経済的打撃を受けると考えた場合、なぜアメリカは侵攻すると騒ぐのかということなのです。

ウクライナ問題の本質とロシアの言い分

ウクライナ東部の都市、ドネツクでロシアへの編入を求めて独立を宣言したドネツク人民共和国が設置したモニュメント

ロシアにはウクライナ東部のロシア人自治区において独立闘争をするロシア人の援助という名目があります。

それに対してウクライナ軍は、独立阻止のためにその地を攻めているという現実があります。

これは国際社会では合法と見なされる行為であり、過去にはシリア内戦に当たり、ロシア人保護を目的に出兵しました。

例えばIS(「イスラム国」)の支配地域で誘拐された日本人を日本の外務省が救出することに文句を言う人はいないのと同じことです。

国家は自国民がテロなどによって人命の危機がある場合、それを助けるのは極めて大事なことであり、結果として国家が国民を守ってくれるという安心感を与えることになります。

ゆえに今回のロシアの行為は、独立を求めて蜂起したロシア人たちがウクライナ軍に攻撃されるのはウクライナ側に非があることは間違いないことです。

それをNATO(北大西洋条約機構)の東方不拡大という問題に挿げ替えるからわけがわからなくなるのです。

インフレとウクライナ問題

2022年1月22日、ニューヨークのユニオンスクエアで行われた「ウクライナと共に戦う」集会

今回のロシアの行動を非難する前に、ウクライナ東部の独立を求めて蜂起したロシア人たちをウクライナ軍が攻撃する方が余程問題になります。

そしてその問題を勝手に大きくしているのはアメリカであり、西側諸国です。

要は西側には喫緊の課題としてインフレ問題があり、その発端は東欧諸国に冬を越すだけの十分なガスが安定供給されず、去年の夏からガスが買い占められた結果、ガスが高騰したことがアメリカに飛び火し、インフレになっています。

そのインフレをバイデン大統領は、サプライチェーンの混乱が原因としていますが、このインフレが確認されて1年たっても続いているわけで、つまりは原因を見誤っているのです。

原因は、金融緩和のやり過ぎと中国の資源買い占め、それにロシアの加担でしょう。

バイデン大統領にとって、敵であるロシアや中国にいいようにやられているとは口が裂けても言えません。

だから、ウクライナに侵攻しようとしていると非難をしているのでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻の可能性はゼロに近い

2022年1月、ロシア軍の侵攻に備えるウクライナ軍

この勝敗は、短期的にはアメリカら西側の勝利になる可能性があります。

ただし長期的には、間違いなくアメリカの威信は低下するでしょう。

要はアメリカは、世界の資源獲得競争に負けているのです。

電気自動車や風力発電を建設するのに必要なレアアースの中の重希土類と呼ばれる資源のほとんどは中国が握っており、バイデン大統領が進める環境政策は中国の協力なしには成し得ません。

しかし中国に頭を下げることが死ぬほどイヤなだけで、その結果ロシアがウクライナに侵攻するというデタラメを世界に喧伝しているのです。

つまり、本来ロシアがウクライナに侵攻する可能性はゼロに近いのに、挑発して侵攻させようとしている。。。

何のメリットもないプーチン大統領がそんな挑発に乗るとは思えません。

またもロクでもないことをやろうとしているアメリカ

2021年8月14日、タリバン政権の復権を前に、アフガニスタンの首都、カブールの空港に脱出のために集結した航空機

アメリカはロクでもないことをやろうとしています。

思い出してください、イラクのフセイン大統領が大量破壊兵器を保有していると挑発して戦争を仕掛け、いまだにその大量破壊兵器は見つかっていないのに、正義だと叫ぶ盗人猛々しいアメリカの姿を。

正義を自称する根拠は、自由と民主主義を世界に広げたからと言いますが、そのアメリカ自身がウソと虚栄でイラクを攻撃し、イラクはいまだに混迷を極めている状態です。

しかもあろうことか、イラクの統治に失敗するとゼニがないともっともらしいことを言って撤退。

アフガンからも撤退しましたが、迷走の極みでした。

アメリカは挑発し続けるでしょうが、プーチン大統領はおそらく西側の挑発には乗らないでしょう。

第二のアフガンになることはわかりきっているからです。

ウクライナという国は、ソ連が崩壊してから親ロ政権ができたり、西側政権ができたりで政局が不安定です。

この状況は昨今のアフガンと同じで、占領すれば第二のイラクになることはロシアもわかっていますし、アメリカが一番わかっているのです。

なぜアメリカはロシアを挑発するのか?

鉄道にて輸送されるロシアの液化天然ガス

なぜアメリカはロシアを挑発するのかといえば、ロシアに経済制裁をかけたいからと見るのが妥当です。

ガスの産出量世界1位はアメリカですが、議会の反対によってそれはできません。

つまりガスの輸出市場のメインプレーヤーはロシアです。

また世界1位の原油産出国はアメリカですが、これも議会の反対によってできません。

そして2位がロシアです。

つまり原油市場でもロシアは世界市場を把握しています。

アメリカはそのロシアが気に入らないのです。

アメリカの法整備を待っている間にエネルギー市場でのロシアの地位が確立してしまう、それをなんとしても防ぎたいからアメリカがいちゃもんをつけている状態と考えれば、今の推移の予測はほとんど当たるでしょう。

今後のウクライナ情勢と金相場の見通し

どうやらバイデン大統領の思惑通りには事は進まないようだ

上記を理解していれば、今後どうなるのかはわかります。

アメリカの第一の目的は、ロシアにウクライナを侵攻させることですが、それが叶わなければ経済制裁を行うというシナリオのはずです。

しかしロシアがエネルギー市場を握っているので、資源がない日本やドイツやフランスもロシアに頼らざるを得ない状況ゆえに思い切った制裁には賛同できません。

ロシアの強みはエネルギー価格をコントロールできることであり、実際にエネルギー価格を低下させないように必死になるでしょう。

中国は格安で石油やガスの提供をロシアから受けており、被害を受けるのは西側だけというお粗末な結末になるのは見えているのに、「制裁だ」とこぶしを振り上げるバイデン大統領。

言えることはエネルギー価格も資源価格も今後下がる見込みがない、すなわちインフレが加速するということ。

金利もドルも上昇し、GDP(国内総生産)も低下するのが必定。

本来なら金価格は下がらなくてはいけないのに、新値を更新するような勢いになっています。

つまり資源争奪戦が金の足元にも及んでいる状態です。

この記事のまとめ

今回の記事では、ロシアによるウクライナへの侵攻は、国内にインフレ問題を抱え、ロシアに経済制裁を課したいアメリカの差し金。

侵攻すれば第二のアフガンになることをわきまえているプーチン大統領は、この挑発に乗ることはないだろう。

アメリカら西側諸国がロシアに経済制裁を課しても、世界のエネルギー市場をコントロールするロシアは、中国とグルになってエネルギー価格の低下を起こさせない。

よってインフレはますます加速。

以上が現時点での見通し。

こういう内容の記事でした。