知っていますか?実際のFRBの金融緩和の手法とタイミング、金相場への影響

今、金融緩和が縮小される方向に向かっています。

今回は実際に金融緩和が行われている時期をきちんと把握しておくと、より金価格予測の参考になるという説明です。

今回のコラムの注意点

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マーケットの知識がない方に多いのですが、今回のように聞いたこともないような説明を聞くと、それを魔法の杖と考えてしまう傾向があります。

これは大きな間違いであり、今回の説明はあくまでも傾向の話です。

つまり金にとって大事なのは金利やドル、GDP(経済指標)であり、これから説明することはあくまでも付帯的なことになります。

本線からズレないという認識を持って以下の文章を読めば、ある程度、金の値動き予測の参考になるでしょう。

今回の解説の大前提

全国の連邦準備銀行を統括する機関である、ワシントンDCに立つFRB本部

1月26日にFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が表明したように、コロナショックを理由に2020年2月から続いた金融緩和が、3月以降に金融引き締めに転じます。

これは、現在行われているテーパリング(金融緩和の縮小)が3月以降に利上げやQT(量的引き締め)に変じるということです。

ただし今回の解説はこうしたことではなく、FRBが行っている月800億ドルの金融緩和の具体的なやり方の解説になります。

800億ドルというと日本円に換算すると9兆円、すなわち、ものすごい規模の緩和を行っています。

毎月9兆円の緩和、つまり年108兆円、日本の予算の規模に匹敵するような緩和を行って、景気が回復しない方がおかしいのです。

ただ今回はこういう解説ではなく、月間9兆円の緩和を実際にどのようなオペレーションで行っているのかの解説になります。

日銀とFRBの金融調整手法の違い

ニューヨークの33リバティ・ストリートに立つニューヨーク連邦準備銀行ビル

まず9兆円の運用をFRB本体が行っているわけではありません。

なぜかと言えば、FRBには銀行機能がないからです。

日本銀行の場合は銀行口座があり、民間の銀行ならばその口座を持つことができます。

ただし、どこのどなたかもわからない怪しい人物はもとより、総理大臣でも警視庁の総監であっても個人が日銀に口座を持つことはできません。

日銀はその口座を使って、国債の買いオペや融資などの各種金融調整を行っています。

ところがそういった銀行機能を持たないFRBは直接、誘導目標金利の調整や国債買取オペなどができません。

ではどうしているのかといえば、FRBは年に10回の金融政策決定会合、すなわちFOMC(連邦公開市場委員会)を持ちますが、その決定内容の実行は銀行機能を持つニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)に委託しているのです。

NY連銀が実際に買いオペを行っている時期

下記はFRBのバランスシート、すなわち資産規模を表したグラフです。

参照元:TRADING ECONOMICS

毎月9兆円近くのアメリカ国債を買入しているので、右に行くに従い増えています。

しかしその増え方を観察してみると、月の前半に大きく増え、後半になると減っていることがわかります。

参考までに、1月は2日から実質年始の取り引きが開始しましたが、日本と同様で2週目以降に正月休みから職員が復帰するので、第二週に一番多く買入が行われました。

つまり月の前半に各月に割り当てられた9兆円の予算をほぼ使い切り、後半は残った予算を使うというオペレーションを行っているのです。

NY連銀の買いオペが経済に与えた影響

NY連銀の買いオペ手法が経済に与える影響を考えましょう。

まず国債の買取オペレーションとは、銀行の融資枠拡大のために行うものです。

つまりパンデミックによる企業の売上減少分を借金によって賄いたいという思惑があります。

その間、従業員の雇用や不動産の家賃、税金などの支払い資金が不足するので、融資依頼が多くなります。

ところが民間の銀行からは、パンデミックで人々が預金を引き出しています。

融資とは預金を担保に実行するので融資枠が減ってしまい具合が悪い、だったら銀行の保有している国債を買い取ることで現金の量を増やし、融資枠を拡大しようというのが国債買取オペのスキームになります。

その結果、最初は企業を維持するための借金だったのが、経済回復のための再生資金となり、景気拡大の連鎖となることが国債買取オペの目的です。

つまり景気がだんだんと回復している現在、月の前半は融資が極端に多く実施され、企業の業績がよくなります。

ところが月の後半になると融資の実行が減るので、企業の業績もそれに伴い悪くなり、株価は前半は好調、後半は不調ということになるのです。

下記の、FRBのバランスシート(青)に株価(ダウ、点線)を合わせたグラフを見れば、見事にそうなっていることがわかるでしょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

米国債買い取りのタイミングと金価格の関係

景気の変化に従い、企業による銀行の融資の使われ道も変化してきている

金融緩和によって融資が増大して景気がよくなると、ドルが上昇し、金利も上昇し、経済指標も増大することは自明です。

これら3つの要素は、金にとってネガティブな現象になります。

これが今以上に景気が悪かった時期だとどうなるのか?

企業は、パンデミックによって生き残ることが大事になってきます。

これは借金が消費に寄与することを意味し、使い道は不動産や税金、賃金の支払いなどに当てられます。

この消費によって生産性、つまり利益が上がるということではありません。

ところが景気が回復してくると、融資が生産性を高めるための資金に使われることになります。

つまり商品やサービスの製造、従業員の雇用など、のちにお金として返ってくる投資資金に融資が変わってくるのです。

結果として去年のある時期までは月の前半は金が高かったのですが、融資が投資に使われると月の前半にドルが高くなり、金利が高くなり、経済指標も高くなりました。

よって月の前半は金が安くなり、後半になると融資が枯渇するのでドル、金利、GDPが停滞するので金が上昇してくるのです。

つまり去年と今年の金が違うのは、去年までは月の前半まで金が高かったのが、今年は月の前半には金が安くなり、後半になると上昇するというパターンになったのです。

この記事のまとめ

今回の記事では、実際にFRBがどのようにして金融緩和、すなわち米国債の買いオペレーションを行っているのか、どの専門家も解説していないようなことを説明。

NY連銀を通したFRBの買いオペの手法と、民間騎乗による融資の使われ方の変化に則れば、2022年は月の前半に金が安くなり、後半になると上昇するというパターン。

参考にしてほしいが、これをメインシナリオにすると痛い目にあうことには注意が必要。

あくまでもドル、金利、GDPが金価格構成要因のメインシナリオであり、今回の解説は副次的なものであるということを認識あれ!

こういう内容の記事でした。