名目価格と実質価格の観点から考える日米の経済と金価格の展望

今回は、名目価格と実質価格の観点から金価格の展望について考えていきます。

例えば、「皆さんのお給料が去年20万円だったものが今年も20万円だったとして、その価値は同じですか?」というような話です。

名目価格と実質価格の違い

物価が上がる中で額面が変わらないということは、実質的な価格はお給料の額は減っているということ

名目価格とは、皆さんのお給料が今年も20万円、そして去年も20万円だったことを指します。

これは、額面上の金額であることは皆さんにもおわかりでしょう。

一方で実質価格とは、例えば年間で10%コストが上昇した場合、去年は20万円で買うことができた商品が今年は22万円払わないと購入することができないことを言います。

実際にこの1年の間に金利は上昇し、昨今のエネルギー価格の上昇によって電気代やガソリン代、電気を使って作る製品の値段がコストを押し上げています。

すなわち、額面は同じ20万円であっても実質的に買うことができる金額は減少しているのです。

同じ額のお給料をもらっていても、今年はあらゆるものが値上がりしているので、本当は減給なのです。

以上が実質価格と名目価格の違いの説明になります。

日本経済の一番の問題点

今までの日本経済は、実質的なお給料の減少をデフレによる商品の値下げでしのいでいたにすぎない

日本経済の場合、この実質価格と名目価格の乖離が一番の問題です。

ほかの先進国は21世紀に入ってから、お給料が2倍から10倍の金額になっているのですから、生活が豊かになっていると言えます。

一方で日本の場合はほぼ横ばい、つまり庶民の生活は年々苦しくなっているのが実態です。

生活水準は、物価がデフレ気味ということによってかろうじて維持されています。

今年は物価上昇でも不景気なので、賃金は据え置きとなるでしょう。

こうした中、岸田新政権のやろうとしていることは給付だの寄付ばかりです。

しかし、今の日本経済に必要なのは、保護や給付ではなく成長です。

今まで、企業には散々に税制や事業の支援などをしてきた一方で、個人は放置されてきました。

実際に、給料が20年間でほとんど上昇しない中、デフレを脱却してインフレとまではいかないまでも物価は上昇、つまり実質の賃金は下がっているのに、政府は社会保険料の値上げ、消費税増税です。

例えば企業は、法人税の減税によって多くのメリットを感じています。

庶民は大きな負担を強いられ、何かコロナ対策のようにメリットを感じられたかというと、具体的に上げるのは難しいのではないでしょうか。

アメリカの名目価格と実質価格の現状

2021年10月11日ペンシルバニア州ランカスター、ケロッグ社が進める医療保険や退職給付金、休暇などの削減に対して抗議のストライキに入った労働者

アメリカの状況も似たようなものです。

先日発表された消費者物価指数、俗称はインフレ指数では、物価が年間で6.2%上昇していることが発表されました。

これに対してお給料は4.6%しか上伸しておらず、6.2%-4.6%=1.6%、所得が減っていることになります。

アメリカの景気が「よい」と言われますが、庶民の生活は月を経るごとに苦しくなっているのが実態です。

この状態で、GDP(国内総生産)に占める個人消費の割合が7割を超すアメリカの景気が上向いているというのは、誰がどう考えてもあり得ないでしょう。

一方で株価は新値を更新しており、結果として景気はよいということになっています。

しかしこういう状態をバブルといい、バブルはいずれ崩壊するものです。

金はどうなるのか?

金の価格構成要因は、

【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)

です。

上記で説明したように、【2】の金利はインフレが進行しているので上昇します。

【3】のGDPは低下傾向です。

残るドルはここ最近、金利が上昇しています。

金利の計算はドル×金利です。

金利という後ろの項が上昇しているので、ドルの価格は自動的に上昇します。

つまり【1】から【3】の構成要素はすべて金の価格にとってネガティブな形となっているのですが、反対にドル建ての金は上昇しているのです。

これは、ビットコイン買い-金売りの裁定解消の動きが影響していると考えられます。

金とステーブルコインの関係

ビットコインに代表されるステーブルコインは、本来なら金と同じような値動きをするはず

金とビットコインなどのステーブルコインの価格構成要因は同じです。

この2つのリスク資産を比較した場合は、保守が金、リベラルという新しい価値観がビットコインの対立だと言えます。

理由は、今の現金が万が一無効になるとすれば、それ以外の選択肢は以前は金オンリーでしたが、現在はビットコインという選択肢も増えたからです。

この場合、守旧派である金はやはり人間は新しいものが好きですので、人気がすたり、結果としてビットコインに人気が集まるという構図になります。

だからビットコイン買い-金売りというストラドル取引が活発になっているのです。

結果、今まで買っていた方々は、買いの手仕舞いと同時に金売りの手仕舞いを行っていると考えられます。

本来であれば、ビットコインも下がれば金も下がらなければいけないのですが、大量にこのストラドル取引が仕組まれているので、目先、金が上昇していると考えられます。

この記事のまとめ

今回の記事では、日米ともにお給料の名目価格に対して物価が上昇していることから、実質価格は下がっていっていることを確認。

庶民の生活が苦しくなる中、必要なのは支援金等の保護や支援金のバラマキ政策ではなく、成長政策。

金の価格構成要素からこの件を考えると、本来金価格は下がるはずなのに上がっているのは、金と同じ価格変動傾向を持つビットコインをはじめとするステーブルコイン買い-金売りというストラドル取引が活発になっているから。

ただ、本来の価格変動要因に立ち返れば、金も長期的には下がってくるだろう。

こういう内容の記事でした。