9月末から10月のドル円レートの円安の理由と今後の金相場の展開を考える

金の円建て価格は、ドル建て金価格÷31.1035(トロイオンスをグラム換算)×ドル円レートによって算出されます。

つまり円建て金価格はドル円レートの支配を受けるのです。そのドル円レートが9月末から大幅な円安になりました。

今回はこの問題を考えていきます。

7月から10月までのドル円レートの推移

下記は過去3ヵ月間のドル円レートの推移です。

参照元:TRADING ECONOMICS

ご覧のように、9月20日過ぎから大幅に円安になっています。

ドル円レート予測のセオリーの確認

ドル円レートを算出する方法は?

ドル円レートは、ドル÷円の計算式によって成り立ちます。

具体的には、ドルの価格や円の価格は、GDP(国内総生産)や株価などを当てはめて算出する方法があります。

参考までにGDPというのは株価を参考に算出しており、広範な統計を用いているわけではありません。

GDPは株価と比例するケースが非常に多いからです。

ですから、株価の騰落からドル円レートを想像してもよいのです。

あるべきドル円レートを計算してみると…

では、具体的に株価を見てみましょう。

アメリカ株価 7〜9月 2.68%の下落 *指標はNYダウ
日本株価   7〜9月 3%の上昇 *指標は日経225

これらの数字の6月末を100とすれば、アメリカは96.32、日本は103となります。

ドル円はドル÷円ですから、96.32÷103=0.935….となり、6%ほど円高にならなければなりません。

言うまでもなく、数字が大きくなる場合、ドル円は円安、小さくなる場合は円高となります。

今回の場合、0.935に100をかけて93.5とすれば6.5%の下落です。

ですので本来は、10月以降は円高にならなければいけません。

しかし、円安になってしまいました。

10月以降に円安になった理由

10月以降、計算上では円高になるべきところが円安になってしまったことには要因があります。

これは大昔に日本銀行の理事がドル円レートは金利差に支配されているとしているのです。

10月18日現在、日米の10年物国債利回りは以下のようになっています。

アメリカ 1.60
日本   0.92

金利はアメリカの方が0.7ポイント近く高いのです。

そして、金利の計算はドル(円)×金利です。

年間でのドルと円の騰落は10月19日現在、以下のようになっています。

ドル 100.3
円  92.18

この数字は、前年の10月20日と比較してドルは0.3%の上昇、円は7.82%の下落を表現しています。

これにドル×金利を行えば、実質的なドルの価値がわかります。

しかし上記は、ドル×金利の絶対値ではなく相対値(%)ですので、こういう計算では通常足します。

ドル 100.3+1.60 =101.9
円  92.18+0.92  =93.1

このような計算結果になり、その上に今までドルがアップトレンド、つまり今後もドルは上昇し、円はダウントレンド、すなわち今後も下落が続く可能性が強いのです。

ドルと円、どちらを保有した方がよりお得かという問いに、円と答える方はまずいないでしょう。

ゆえにドル円相場はドルを買い、円を売った結果が急激な円安になったのです。

9月20日以降の急激な円安の要因

しかし、9月20日ごろからなぜ急激に円安になったのかという疑問がわくでしょう。

以下のアメリカへの直接投資(FDI)のグラフをご覧ください。

簡単に言うと、どれだけアメリカ人以外の外国人がドルを買ったかのグラフです。

参照元:TRADING ECONOMICS

現在、外国人がアメリカドルやアメリカの資産を大量に、しかも過去最高額を買っている状態です。

しかし、これでは9月20日から急激に円安になった説明にはなりません。

下記はドル円レートの1年分の推移です。

参照元:TRADING ECONOMICS

今回のように、大幅に円安になったのは3月から4月にかけてです。

この時に何が起こったのかといえば、実は日本銀行が大幅にドルを買いました。

その買ったドルで何をしたかといえば、アメリカの国債を買ったのです。

このような円安になる時には大抵の場合、財務省、日本政府の委託を受けた日銀が大量にドルを買っているケースがほとんどです。

つまり、4半期末から4半期初めにこのようなことを行っています。

ともかく今回の円安は、日本銀行によるドル買い介入オペによって示現したのです。

具体的には年間ドルは0.3%上昇し、円は7.82%下落しています。

日銀は、9月20日くらいから円売りを加速させ、ドル買いも同時に加速させたのです。

直近1ヵ月でドルは1.11%上昇し、円は4.59%下落しています。

1.11%の上昇に対して、約4.6%の下落をドル÷円にすると、ドル円が円安に行く理由はわかります。

アメリカによる為替操作国認定の真相

実は人民元も韓国ウォンも日本円も米ドルに対して異常に割安な状態

これは実質、財務省委託による日銀のドル円レートへの介入ではないか思う人がいるかもしれませんが、その通りです。

では、アメリカはなぜ為替操作国として日本を非難しないのでしょうか。

アメリカからすれば、借金まみれのアメリカの債券を買ってくれるというのに、為替操作国と認定すれば、誰がアメリカの国債を買うのかということです。

ゆえに介入ではあっても、アメリカは文句を言えません。

為替操作国として、アメリカがよく韓国や中国に対して文句を言うのは、両国とも、アメリカ債券を買わなければいけない理由が存在するのですが、それを政治的な事情によって中止すると、為替操作国認定をチラつかせておどすというのが真相になります。

為替操作国になるとアメリカへの輸出が極端に不利になるので、日本も中韓もそれを避けようとするため、やむなくアメリカ債券を購入するということです。

そもそも今の人民元、ウォン、円も、ドルに対しては異常に割安な状態なのです。

換算では、日本円はドルに対して現在90円程度が適正値であり、現在の114円は25%も割安です。

それを放置しているのは、借金まみれのアメリカ債券を購入してくれるからになります。

今後の日銀の動きとドル円相場の展開

東京都中央区に立つ日本銀行本店

この日銀という為替市場のメインプレイヤーは、債券購入に必要なドルを購入し終えると、ドル買い円売りオペを終了します。

となると、買い圧力も売り圧力も弱まるので反転します。

ドル買いはドル売りになり、円売りは円買いになり、つまりドル安円高になるのです。

この場合、円の下落幅の方が大きいので、円の買い戻され具合の方が大きくなります。

つまり、ドル安よりも円高の方が勢いが増すということです。

ドル建て金および円建て金への影響は?

最後に、上記のドル円レートの展開をもとに、金相場への影響を考えてみましょう。

まず、ドル建ての金価格の構成要因は、

【1】ドル
【2】金利
【3】GDP

です。

【1】ドルは、安くなりますがそれほど下がらない状態になります。

【2】金利は、1.6%金利になるのでネガティブ要因になります。

【3】GDPは、日本と比較するとアメリカの成長は鈍くなるので、ドル建て金は弱くなります。

次に円建て金の価格構成要因は、

【1】円
【2】金利
【3】GDP

です。

【1】円は強くなり、【2】金利は0.92で以前と比較すれば高いですが世界的な水準から見れば低く、【3】GDPもアメリカと比較すれば強いということです。

これらを総合すると、ドル建ての強気の要因が【1】のわずかのドル安、円建ては【3】のGDPがアメリカよりも強くなっているという現状です。

これでは比較できません。

しかし冒頭で申し上げたように、円建て金の計算式はドル建て金÷31.1035×ドル円レート、この最後の項のドル円レートは円高なので円建て金は下がるということです。

ドル建て金の見通しは上記で記したように、少しドル安になるから0.3%分ということになり、それほど動かないということになります。

この記事のまとめ

金相場は下げ方向へ!?

今回の記事では、ドル円レートをドル÷円で計算すると、株価、GDPともに円高にならなければいけないのは当然の帰結。

ところが、実際には円安になった。

その円安にしたメインプレイヤーは日本銀行。

その日銀は、必要な米国債の購入を終えれば、ドル買い円売りオペを終了する。

つまりドル買いはドル売りになり、円売りは円買いになり、ドル安円高になる。

ドル建て、円建て双方の金価格の構成要因を分析すると、円高なので円建て金は下がる。

ドル建て金は、少しのドル安なのでそれほど動かない。

結果、ドル建てよりも円建ての金の方がが下がることになる。

こういう内容の記事でした。