金の急落は続くのか? | 金の価格構成要因からの検証!

6月18日あたりから続く金市場、株式市場の急落。これが続くのか否かが皆さんの最大の関心事でしょう。

前回は金の価格構成要因を無視して検証しましたが、今回は主に価格構成要因【1】ドル、【2】金利、【3】GDP(国内総生産)で検証していきます。

ドルの検証

FOMC(連邦公開市場委員会)が終了した6月15日前後からドルが急騰

まずは、金の価格構成要因【1】ドルについて考えていきましょう。

ドルはFOMC(連邦公開市場委員会)が終了した6月15日前後から急騰しました。

これは去年、アメリカがドル安の恩恵を受け、他国にさきがけて経済回復をしたことに関係しています。

ほかの国々は自国も通貨安にしたいのが本音で、本来なら遅くとも4月からドル高になり、他国の通貨安になる恩恵を受ける予定でした。

ところが今回は、新興国はドル高や金利高によって借金の返済に困るという理由から、6月からになりました。

これはアメリカにインフレ懸念があり、結果として金利が上昇したためです。

つまりドル建てで借金をしている新興国は、コロナショック初年度がドル安によって返済が緩和されるのに対し、通常2年目はドル高によって返済に苦しむことになります。

今年の場合はさらに金利高ですので、デフォルトになる国が出てくる可能性さえあります。

そこでG7はワクチン支援を決定し、その計画が出る6月まで待ったという経緯があるのです。

ゆえにドル高は1年間、つまり来年の6月まで続く可能性があり、金の価格は下方向になるということができます。

ただし金融緩和は継続する

ただし前回も触れましたが、FRB(連邦準備制度理事会)を筆頭に金融緩和は継続する予定であり、あり余る緩和マネーは市場に残ったままです。

コロナショックから2021年6月中旬までのおカネの流れで金相場を見る

この状態でドル高を維持するためには、アメリカ以外の国がアメリカ以上に緩和を行う必要があります。

実際にオーストラリアは、アメリカ以上に緩和を実施し、結果としてドル高になっています。

今はオーストラリアだけですが、他のG7諸国やアメリカの同盟国もこれに習うでしょう。

ドル高だけど緩和は継続ということは、強弱の材料が入り混じっていることになりますので、ドルでは金や株式市場の強弱は語れないことになります。

金利の検証

金利については、アメリカでインフレ懸念が起こっているのは周知の事実です。

では、ほかの国でもその懸念はないのかといえば、前年比ベースで経済が立ち直っていることを考えると、あると言えます。

日本も消費者物価が1年2ヵ月ぶりに上昇しましたが、原因は去年の同月の物価が異常に安かったからです。

ほかにイギリスやカナダでも同じような現象が起こり、ニュージーランドでは住宅バブルが勃興しています。

こういった観点から考えると、世界的には金利は下がりません。

基軸通貨のアメリカは、6月18日に短期金利も上昇しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記はアメリカ2年債国債の利回りになりますが、6月の半ばから急騰しています。

これは、まずセントルイス連銀総裁が「利上げ計画を前倒しするべき」といったことに起因しています。

そして、バイデン大統領が「経済をロックダウンすることはない」と言明したことによって、運転資金需要が上昇したためと考えられます。

GDPの考察

2021年4月、店頭に求人のお知らせが貼られたルイジアナ州ニューオリンズのレストラン

GDPは企業の決算や法人統計を参考に数字をとりまとめます。

つまり、その内容が悪ければ、GDPは自動的に悪くなるのです。

前回も解説しましたが、今の企業はコスト増に悩まされています。

例えば、人材不足が盛んに言われていますが、人材をかき集めるためには給料を上げるほかありません。

そして物価も上昇しているのですから、商品やサービスを提供する物資も値上がりしています。

不動産価格も上昇で、事務所や店舗、工場などの価格、賃料も上昇しています。

こういう中で企業は売上さえ上がればなんてことはないのですが、売上はコスト増を上回るほど上がっていません。

こういう状態であれば企業の財務内容はどうなるのでしょうか?

「景気がよくなる」は大いなる勘違い

2021年3月、カリフォルニア州コビーナの新型コロナワクチン接種会場

さらに6月21日からの週に長期金利が低下しましたが、短期金利は高騰しました。

ここから読み取れるのは、企業はいまだ設備投資よりも手元の運転資金需要が必要な状態であり、その状況下で短期、長期金利がともに上昇するのは、経済に壊滅的な打撃を与えるということです。

その結果、GDPが悪くなるのは目に見えています。

世間では、ワクチン接種で景気はよくなると唱和されていますが、大いなる勘違いです。

ワクチンを接種して人々が安心して働くためには、少なくとも3ヵ月の期間が必要であり、それが経済統計に出るのはさらに半年後、つまり年末になります。

その間、経済統計の数字はあまりいいものは出ません。

この記事のまとめ

今回の記事では、金の価格構成要因は今、下方向にしか圧力が加わっていない。

わずかにドルだけが大量の資金供給によって高い材料にあるが、現実の数字はドル高なので金安の要因。

つまり6月21日以降は戻る可能性はあるが、下方向の懸念は変わっていないというのが現状の分析になる。

こういう内容の記事でした。