中国、そしてアメリカと金融緩和の縮小の波が続く

重要なイベントであった米雇用統計の発表も終了しました。

内容は、コンセンサスよりは強い状態でしたが、期待していた結果ではありません。

これを受けてドル安になり、金の価格も高くなりました。

そんな中、世界では金融緩和縮小の動きになっています。

金融緩和縮小の第一波は中国

金融緩和縮小の第一弾は中国です。

以下の記事のとおり、中国は外貨準備率を引き上げました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-31/QTYRRAT1UM0W01

引用元:ブルームバーグ

これは、今年3月に行った銀行準備預金とは違います。

銀行準備率とは、市中の銀行が万が一に備えて預金の一部を中央銀行に預けておく制度をいい、銀行預金準備などともいいます。

この預金準備率の引き上げは、市中に出回っているマネーの量を抑え込むという意味があります。

今までコロナ禍によって企業が資金繰りに行き詰まり、融資を依頼するわけですが、その担保になる預金が流出しているのですから、貸し渋りが起こりやすくなります。

その解消のために預金準備率や銀行準備率を引き下げるのを金融緩和といい、そして預金準備率を引き上げるのを金融引き締めといいます。

今回の場合は混同しやすいのですが、外貨預金準備率を引き上げたのです。

貿易が輸出超の場合、外貨が多く流出し、国内にその現金がない場合には、この外貨準備を支払いに充てる制度です。

外貨準備率の引き上げには、預金準備率と同様に市中のマネーを減らす効果があり、実質的には金融引き締めとなります。

このように中国は6月15日から、金融引き締めを実行します。

金融緩和縮小の第二波はアメリカ

第二弾はアメリカです。

以下の記事のとおり、FRB(連邦準備制度理事会)がコロナ禍で融資が銀行に殺到する中、大企業のCP(コマーシャル・ペーパー)、社債を購入することを決定しました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-02/QU3D4MT0AFBB01

引用元:ブルームバーグ

銀行の融資は、預金という担保をもとに実行されます。

コロナ禍で現金収入がなくなった企業は、まず預金を取り崩し、それでも足りない場合に融資をお願いします。

しかし、社債を発行できるような大企業が申し込むと、その融資は預金を担保にしているのですから、額が一気に少なくなります。

それを防ぐために大企業の社債、つまり市場から調達する借金をFRBが買い取り、銀行の融資資金を温存させようという方策の一つになります。

結果、中小企業に潤沢な融資資金が残り融資が実行されやすくなるという政策です。

ETF(上場投資信託)の購入も同様の意味であり、預金がなくなれば融資、そしてそれも尽きたら自身が保有している自社株を売却する行動になります。

この自社株の売却も流動性が足りないと株価が急落する可能性があり、これをFRBが買い支えるという制度になります。

つまり、FRBはこのCPやETFの買取を年末までで取りやめ、保有しているCPやETFを今後売却する方針を表明したということです。

当面の資金繰りによるETFの売却が終了し、投資家も落ち着いて投資できる環境にあるので、FRBがCPを売却してもマーケットは荒れない、つまり暴落はしないということが前提条件でこの決定を下しました。

次の金融緩和の縮小は日本?

日銀も中国、アメリカに続き金融緩和縮小の流れに乗るだろう

ここまでは、今年3月末に起こったことと同じことです。

まず中国金融当局が預金準備率の引き上げを実行し、続いてはアメリカが銀行の債券保有に対する規制の緩和を廃止(SLR)したという順番でした。

そして、最後に日銀が3月の最終営業日から二営業日前に、4月以降は国債買取オペの減額を市場にわからないように減額すると発表したのです。

結果、3月までは日経平均も上伸し、ドル円も上伸していましたが、4月以降は株価もドル円も下方向に向かいました。

順番から行けば、今回も次は日銀の番ですが、日銀の黒田総裁は以下のように言明しました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-04/QU6AX8T0G1LO01?srnd=cojp-v2

引用元:ブルームバーグ

気候変動と経済政策の変動リスクを金融政策によって解消するという内容ですが、具体的に何をやるのかは不明です。

黒田総裁の最後にいっている言葉「協調」とは、おそらく国際的な協調を指すと考えられ、これは日銀が今後発表するテーパリングになるのかと思われます。

G7と米雇用統計および緩和縮小への動きについて

フランス、イタリア、カナダ、日本、イギリス、ドイツ、アメリカからなるG7。今年はロンドンで開催

まず、G7の討議の内容は事前に決まっていますが、声明と各国代表のコメントがまだ出ていない状況です。

このコメントによってマーケットが上下する可能性があります。

次に雇用統計ですが、雇用統計の前提として雇用が増えれば、ドルは上昇します。

逆に悪化するとドルは下落します。

今回は雇用統計直後にドルが下落したということは、雇用統計の結果は悪かったというのがマーケットの捉え方です。

そして、今回解説した金融緩和縮小の動きが現実的になってきています。

これらの材料は、G7の内容はドル高への修正へのコメントですが、実際はなされていません。

そして雇用統計はドル安の材料、最後の材料は緩和縮小への動き、すなわちドル高の材料です。

市場の材料を整理して考えると…

ビットコインが下がっているが、これは金融緩和縮小を織り込んだもの

上記のように材料が混在しており、ややこしいので整理してみましょう。

まず株価や金が上昇した背景は、不景気でもなくインフレでもなく、コロナ対策という名目での金融緩和の結果です。

そのほかの雇用統計やインフレ懸念などは、派生的な要因になります。

そして、金融緩和で通貨の価値が下がれば、金利が上昇します。

その金利の上昇を中央銀行が国債買取で抑え込んだのが去年でした。

ところが、インフレ懸念によって長期金利が上昇しました。

長期金利の上昇は、緩和の縮小の結果として起こっています。

なぜなら緩和の目的には、金利の低下も意味しているからです。

しかし、株や金の高騰の最大の原因は、ジャブジャブになっているマネーが原因です。

このうち金利は去年の8月に低下のピークを打ち、結果として上昇したので金が最高値を打ったのです。

流れは金融緩和縮小の方向で間違いない

ワシントンDCに立つFRB本部

以上、今の最優先の注目は、雇用統計の悪化やビットコインの下落ではなく、緩和マネーの縮小なのです。

ですから、G7でドル高への方向転換のコメント、そして緩和縮小の流れが本当に各国に伝播するのかという問題です。

流れは緩和縮小の方向で間違いないでしょう。

なぜなら中国とアメリカがすでに緩和縮小の政策を打ち出しているからです。

FRBはこれを緩和縮小ではなく、マーケットへの影響は最小限に留めると言っています。

ただし、中国の準備率の引き上げは6月15日以降、FRBは「近々に」と言っているので、すぐに金や株価の下落があるわけではないということに留意する必要があります。

この記事のまとめ

今回の記事では、6月発表の米雇用統計は期待されていたほどの数字ではなく、ドル安、金高に。

しかし世界では中国、そしてアメリカと金融緩和縮小の方向となり、多分その次は日本の番になる。

この流れは、その他の国々へと波及していくと考えられ、結果、ドル高、金安への流れとなるだろう。

こういう内容の記事でした。