2020年3月16日のFRBの緊急利下げで金価格は上昇するのか?

FRBが2020年3月16日の早朝、FFレートの誘導目標を1.25から0.25に緊急利下げを決定しました。

これは、新型コロナウイルスの世界的な蔓延を受けての緊急利下げになります。

今回は、この利下げについての解説です。

金価格の変動要因のおさらい

まずは、金の値動きの要因をおさらいします。

【1】ドル上下動
【2】金利上下動

です。

今回の金利利下げは本来、金の上昇要因になります。

が!

3月16日朝7時の時点でドル建て金は1570ドル、11時で1530ドルと急落しています。

なぜ金価格が下がったのか、この原因を説明するのが本日の趣旨です。

何もわかっていない報道ばかり

お金がからむことなのに、なんで報道は兵器でデタラメを言えるのか不思議…

3月16日は、朝からFRBの緊急利下げについての報道ばかりですが、FRBの発表を垂れ流しているだけで、必ず出てくる金融専門家は「この対策では不十分だ」などと言っています。

本当にコレで合っているのでしょうか?

実はすでに利下げをしている!?

以下はアメリカ国債1年物の金利です。

参照元:TRADING ECONOMICS

現在のアメリカ国債1年物金利利回りは0.37になります。

このアメリカ国債1年物金利とFFレートが実質同じものだということを理解していません。

だから、3月16日の早朝にFRBが緊急利下げをしたときに「大変だ」と叫んだのです。

FFレート=アメリカ国債1年物なのですから、本来ならこんな発表には意味がないと考えても良いのです。

FFレートとアメリカ国債1年物の関係

その理由は、以下のアメリカのFFレート誘導目標のレートを見ればわかります。

参照元:TRADING ECONOMICS

3月3日に1.75だった誘導目標を0.5下げて1.25にし、3月16日に1.25だった誘導目標を1.0下げて0.25にしました。

FFレートは、3月16日に下げる前にすでに0.38でしたので、今回のFRBの緊急利下げはすでにFFレートに織り込んでいたのです。

つまり、緊急利下げは実勢のアメリカ国債1年物金利に合わせただけで、発表などに何も意味がないということです。

間違ったのはマーケット

ワシントンDCに立つアメリカの中央銀行であるFRB

金の市場は、3月14日の大引けでは1520ドル近辺で引けたものが、16日のFRBの発表によって金利が下がったのですから、金の買いということで1570ドルまで急騰してしまいました。

これは、マーケットが間違っています。

金利は前からずっと変わらずなのですから、金の値段が急騰するのが間違いなのです。

ですから信用取引を行っている個人トレーダーは、この値段を見て「ありがとうございます」と言って売ればいいのです。

10:30くらいにはすでに前週末の値段1520ドルには達していますので、そこまでノーリスクで相場からお金が頂戴できるのですから、こんなおいしいマーケットは無く、無料で儲けられる大きなチャンスでした。

つまり、金の下げトレンドはドル高によってまだ継続します。

3月16日のFRBの緊急利下げの意味

3月16日早朝のFRBの緊急利下げの意味はなんだったのでしょう。

付帯して次のことが発表されています。

【1】ドルのカウンターリスクを軽減するためにドル資金の供給
【2】アメリカ国内では融資資金を拡充するために国債の買いオペを行う

重要なのは【1】であり、【2】に関しては3月9日の週も行っていますので目新しいことではありません。

この【1】のカウンターリスクとは、マーケットで値段が約定するためには売り方と買い方がいなければ成立をしません。

これを相対取引といいます。

どんなインターネット取引、電子取引でも、売り方と買い方が値段に同意しなければ売買は成立しないという意味です。

カウンターリスク

カウンターリスクとは、売り買いのバランスが取れずに売買が成立しないリスクのこと

今回の場合はコロナの蔓延によって、皆一斉に売りたいわけです。

その売り方に対する買い方がいない場合、売買は成立しません。

その売買を成立させるために、ドルの資金を供給するという意味なのです。

つまり、買い方(「すけべ買い」とマーケットではいいますが)がこれだけ下がったのだから上がるのではないかという思惑を引き出させるために、お金を供給して売買を成立させるのです。

このコロナウイルスによって商売が傾きかけている会社経営者は、一斉に手持ちの株式や債券を売りに出します。

そのときに売りモノばかりで売買が成立しなかったら、その経営者は必要な現金が手に入りません。

それを防ぐ目的なのです。

ゆえにドルの供給を拡大するのですから、ドル安になると判断してドル円相場も円高になったのです。

最後に

FRBは最後に、

この政策を各国で協調して行う

と宣言しています。

つまりアメリカの株式、債券市場だけではなく、日本やヨーロッパの市場でも各国が行うということです。

ただ、日本の市場にドルを供給しても意味がありません。

日本の日経平均は円建ての取引ですから、日本銀行は円を供給し、ヨーロッパ時間になれば、ECB(欧州中央銀行)はユーロを供給します。

実際に日本時間の本日ETF12兆円の積極的な国債買い入れ等の発表をしています。

株価はここからゆっくり上昇に転じる

下値リスクは多少あるが、これからは株価は上昇へ

そこで「株安の連鎖を止めますよ」と言っているのに、自称専門家たちは「株はまだまだ安い」とやる…。

株がこの対策に対してまだ下がるようでしたら、もっともっとドル資金を供給して株の売買を成立させるでしょう。

「多少の下値リスクはありますが、ここからゆっくりと株価は上昇に転じるでしょう」と言うのが普通だと思います。

そう言っている金融専門家は個人的には信用できますが、「まだまだ対策が足りない」「まだまだ下がる」という声は信用に値しないと考えています。