リスク回避の円高の原因は?本当の理由を解説!

弊社コラムの解説通りに事態は展開

利用者の大多数がマスクを着用しているマレーシアのクアラルンプール空港の様子

中国での新型コロナウィルス騒動は、今まで当コラムが解説してきた通りに推移しています。

2月3日から中国市場が再開しましたが、おおよそ大急落からスタートするという見方が支配的でした。

おそらく円がまた買われるでしょう。

円が買われるということは短絡的にはドル安、その上にリスク回避モードですので金利低下になります。

要するに金は急騰することになりますが、マーケットはある時点から現金化の動きになります。

よく株価が大急落したときに「株式市場から○兆円の資金が消えた」と報道されますが、これを曲解する人が非常に多く、単に株式市場などのリスク市場から投資家が撤退し、現金化したことを「〇兆円消えた」と報道しているのです。

このように誤解の多い表現をメディア各社は変更するべきだと考えています。

今回は、リスク回避傾向になるとなぜ円が買われるのかを解説します。

リスク回避の円高は円の特殊性にあり

円の特殊性を確認しよう

通常の外国為替市場は自国通貨、例えばユーロならば1ユーロが〇ドルというように表記します。

つまり、本来ドル円を欧米流に表記すると、1円が〇ドルとならなければいけないのです。

戦後、円は1ドル360円の固定レートからスタートしたので、1円〇ドルと表記にすると小数点が多くなりすぎるため、1ドル110円のように表記したほうが計算しやすいのです。

各国で異なるレート表記

下記のように各国の通貨レート、主にアメリカやイギリスの同盟国はほとんどが自国通貨+USドルのペアになっています。

各国の主要通貨レート
Actual    Chg    %Chg
EURUSD  1.10950  0.0065 0.59%
GBPUSD  1.32050  0.0119 0.91%
AUDUSD  0.66910    0.0025 -0.37%
NZDUSD  0.64630    0.0025 -0.39%
USDJPY   108.36    0.5440 -0.50%
USDCNY  6.99830   0.0128 0.18%
USDCHF   0.96340  0.0060 -0.62%
USDCAD  1.32340   0.0024 0.18%
USDMXN  18.8508   0.0602 0.32%
USDINR    71.5400    0.0000 0.00%
USDBRL   4.2820   0.0390 0.92%
USDRUB  64.0000    0.7131 1.13%
DXY    97.390    0.4770 -0.49%
USDKRW    1,197.58  7.2381 0.61%

ところがNZD(ニュージーランドドル)以下のUSDJPN(ドル円)からは、USドルが頭になって1ドルが〇円という表記になっています。

このように各国によってレートの表記は違うのです。

注目すべき点

注目すべき点は、例えばユーロドルであれば、ユーロ経済を1とした場合、ドルはいくらになるかの計算を為替レートは行っており、その計算式は以下のようになります。

ユーロ÷ドル

これを分数で表記すると、

ユーロ/ドル

になります。

すなわちドルが分母であり、分子がユーロです。

この場合、分母が下がると分母にある国のほうがその答えは小さくなります。

意味が分からない人が多いと思いますが、例えばアメリカが10、ユーロが8の場合、計算式は8÷10になりますので、答えは0.8です。

反対にユーロドルではなくドルユーロだと計算式は10÷8になります。

答えは1.25です。

同じことを表現しているのに答えが違うのですが、このことに気づいていない為替トレーダーが数多くいます。

さらに分母が100の場合と1の場合、そして分子は変わらず10とした場合、レートはどうなるかを考えればよくわかるでしょう。

分母100÷10(固定)=10
分母1÷10(固定)=0.1

になります。

同じ計算を分母と分子をひっくり返してみましょう。

10(固定)÷100=0.1
10(固定)÷1=10

欧米の規準によると、自国通貨が分子、ドルが分母にあるわけですから、上記の計算式ではユーロドルやポンドドルなどは計算式の下の計算になります。

リスク回避の局面になると…

ユーロとドル、中国と結びつきの強いユーロのほうがドルよりも下がる

ところがいったんリスク回避、今回のようなコロナウィルス騒動が起こった場合、分母のドルはアメリカが当事国ではありませんからそれほど下がりません。

むしろ、当事国である中国のほうが下がるでしょう。

通貨の世界はドルが基準になり、いわゆる基軸通貨ですので、ドルに相対する通貨のほうが下がる確率が高くなります。

上記のほうであれば、中国と結びつきの強いユーロのほうがドルよりも下がります。

この場合、分子と分母、どちらの答えのほうが小さくなるかといえば、分母にあるほうが答えが小さくなるのです。

つまり、ユーロドルでユーロ<ドルの関係であればユーロ÷ドル、その答えはドル÷ユーロよりも大きくなってしまいます。

このように分母にある通貨ペアのほうがよく下がるから、リスクが回避ではドル円が買われるのです。

他国通貨が買われない理由

人民元は信用に値せず、カナダドルは結局米ドルと同じように動く

上記の表でいけば、分母に通貨ペアがあるのはUSDJPY(ドル円)以下です。

このそれぞれの国を見ていきましょう。

日本から中国、スイス、カナダ、メキシコ、インド、ブラジル、ルーブルになります。

これらの国で一番経済規模が大きいのは中国ですが、ご存知のよう自由市場ではありません。

なぜなら、共産党が為替相場を意図的に動かしていますので、本来下がるべきときに下がりません。

つまりインチキをされる可能性があるので、リスク回避通貨としては採用されないのです。

カナダが選ばれないのはさまざまな要因がありますが、要するに基軸通貨であるアメリカに近すぎ、もとの基軸通貨であるイギリスとも近すぎるので、米英の経済危機が発生した場合には同じテンポで下がる可能性が高いのです。

つまり、儲からないので選好されません。

そうなると先進国で自由市場なのは日本とスイスだけになります。

リスクを回避として円やスイスを買えば、それなりの値動きがあるのです。

まずスイスフランが選ばれる理由

米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドに次ぐ取引規模を有するとされるスイスフラン

今回の震源地はアメリカではなく中国です。

この場合、米ドルが買われることが多いのですが、アメリカの株価が高すぎ、そしてアメリカ経済は中国経済にも依存しており、結果としてドルも下がってしまうことになります。

だったら、そのほかのリスク回避通貨である円やスイスフランを選択すればいいのです。

では、どちらがよいかと問われれば、中国と近い日本は中国と一緒に下がる可能性がある一方、ある程度経済関係は緊密でも日本ほどではないスイスが買われることになります。

今回スイスが買われる理由をまとめると、

1. スイスフランがドルに対して分母にある
2. 日本よりもスイスのほうが中国経済に依存していない

日本円が買われる展開へ

武漢で新型肺炎専門病院を建設する様子。わずか10日ほどで完成した

今後の展開次第になりますが、万が一大規模急落になった場合、スイスの経済規模であれば実力以上のスイスフラン買いを引き起こしてしまうので、極限まで買われた場合は円に投機資金が向かってきます。

つまり、今の円高などまだ生やさしいもので、スイスが明らかに買われ過ぎた場合には円も強烈に買われる可能性があるのです。

今後、コロナウィルスは終息しないでしょう。

医者と医療機関が圧倒的に不足している中国でそれは無理で、飛沫感染で2次、3次感染もするような状態では、春になるまでは収まらないでしょう。

となると、どこまで円高が進み、ある時点で金が急落することは間違いないと考えています。

ドルスイスフランとドル円

参考                       
USDCHF    0.9634  -0.0060 -0.62% -3.44% Jan/31
USDJPY 108.3630  -0.5440 -0.50% -0.99% Jan/31

ドル円は年間0.99%しか下がっていませんが、スイスはすでに3.44%下がっています。

すでにスイスフランは買いすぎている可能性のほうが高いものと思われます。