金利の変動要因に企業決算を追加

貴金属,相場関連

企業決算を金利の変動要因に加えた背景

かねてから金利の変動要因とは、

① 物価
② 財政
③ 政策金利

と説明してきましたが、今回はこれに企業決算を加えた解説です。

11月7日大引けの金価格は、26ドル安の大幅安で引けてきました。

これは金利が上昇したことが大きな要因です。

このチャートだけを見ていると、金は下方向に向かう可能性があるのではないかと思う方がほとんどでしょう。

そして、同日の金利は以下のようになります。

以前から説明しているように、金の価格は金利で動いています。

金利が1日間で0.11%も上昇しましたので、この日のように26ドルも急落して入電するのです。

日本の市場金利と金価格

日本市場の金利を見てみましょう。

日本市場の金利は、アメリカの金利市場よりも急騰しているように見えますが、実際はアメリカの金利が0.11%急騰したのに対して、日本は11月7日に0.01%しか上昇していません。

ゆえに円建て金価格は、金利が0.01%しか上昇していませんので、アメリカ市場ほどは急落しないのがわかります。

つまり、今年からずっと言い続けている金と金利が相関関係にあることは変化していません。

今回の金利の変動要因はなんだったのか?

金利は、

① 物価
② 財政
③ 政策金利

によって変化しますが、実際にこれだけ金利が急騰しているのであれば、この①~③に重要な変化があったのではないかと考えるのがセオリーです。

しかし、実際には物価指標も財政指標も政策金利に関する発言もありません。

では、なぜ金利が急騰したのでしょうか?

つまり、①~③に当てはまる以外の何かで動いたと考えるべきなのです。

日本の企業決算と決算発表日

ほとんどの上場企業が同じ日に株主総会を開催する

日本には実に上場会社が1000社以上あると言われていますが、4半期に一度、決算発表をしなければいけないという法律があり、その期限は当該決算月が終了してから45日以内です。

今回は7〜9月期の決算発表になりますので、9月30日を〆とすると、11月15日までに発表しなければいけません。

日本の上場会社は、かつての総会屋対策のために、決算日がほとんどの会社で同じ日になります。

総会屋が利益供与を求めるケースがあるのですが、決算日が集中していると、その総会屋の目がくらむという意味になるのです。

実際には、総会屋は株主総会が重複しているとすべてに出席することは不可能ですので、上場企業は株主総会や決算発表を同じ日にする傾向があるのです。

アメリカの決算発表の場合

アメリカの場合、上場企業が4半期ごとに決算を発表するのは日本と同様ですが、その期限は30日以内になります。

9月30日〆ですと、10月30日までに決算発表しなければいけません。

実際には10月30日にFOMCの開催があり、利下げが濃厚という状態でしたが、10月中は好決算を期待して金利は上昇傾向にありました。

好決算を期待していれば、資金のニーズが広がる結果、資金の需給がタイトになり、金利が上昇することになります。

参考までに政策金利は1年になりますので、1年物の金利を見ていくと上昇していません。

年末の今年最後のFOMCは、現時点で据え置きが濃厚です。

日本は1年物金利も上昇していますので、年末の日銀金融政策決定会合になんらかの変化があるかもしれないと書き加えておきます。

さらに言っておけば、日銀の金融政策は金利のイールドカーブを見ても何がやりたいのかさっぱりわかりませんので、金利を見れば何か変更するのではないかと思います。

しかし、実際どうするのかを考えた場合、予測不能になるのです。

なぜ企業決算が重要な金利変化指標になるのか

国債を除けば、資金需要が一番多いのは日本もアメリカも住宅ローン

資金需要が一番多いのは、日本もアメリカも住宅ローンです。

憧れのマイホームを買おうとするとき、ほとんどの人は銀行からお金を借り入れてローンで購入します。

もちろん、この上を行くのが国債になりますが、今回はそのことは省きます。

例えば日本の国家予算は100兆円くらいになりますが、その4割ほどは国債の借り換えや新規発行でまかなっています。

毎年の国債発行額は40兆円となっており、まさか住宅ローンで40兆円の新規融資を行う人もいません。

国の資金需要が一番大きいのは当然ですから、これを除外します。

住宅ローンは資金需要が多いのですが、国の40兆円から見ると個人の住宅ローンなどはせいぜい多くても5000万円程度が上限であり、小口は1000万円程度になるでしょう。

小口の需要を集めると民間レベルでは最高の資金需要になりますが、その実態の推移はなかなか把握しづらいのです。

住宅需要の傾向

広大なアメリカに比べ日本は季節による住宅需要の変化が少ない

アメリカの住宅需要のほとんどは、南部で発生しています。

その結果、冬場の住宅需要などは腰折れするので、アメリカの住宅資金需要は春から夏、秋にかけてまでです。

冬にはほとんど住宅ローン需要などがありません。

日本も北海道であるならば、冬に住宅ローン需要が減るのは想像がつきますが、結局住んでいる人が東京に比べれば極端に少ないので、金額ベースでは北海道や東北を住宅需要にカウントするのは無意味になるのです。

大都市である東京で冬に住宅建設ができないわけではないので、資金需要は年中あります。

しかし、その金額は何千万円単位であり、国のように40兆円単位ではないということです。

企業の資金需要

今まで経済には3主体があるとお話ししたように、

① 政府
② 企業
③ 家計

になります。

このうち、上記では①と③に関しては触れましたが、②の企業については触れていません。

この企業の資金需要は住宅のロットとは違い、何千億円単位になりますので、資金の需給を大きく変化させるのです。

日本で1兆円の売り上げがあるのはトヨタ自動車になりますが、そのトヨタ自動車が住宅ローンが30年払いのように、収入の30倍の新規の資金需要があってもちっともおかしくありません。

昨今注目されたのは、タケダ薬品工業が海外企業を5兆円で買収していますが、その資金需要などはかなり大きいものです。

トヨタ自動車などは現金を持っていますので、30兆円の資金需要などは出てきません。

国が40兆円の資金需要が毎年のようにあるのに対して、民間では5兆円程度でも大きい資金需要なのです。

ただ住宅ローンの何千万円という額と比較すれば、かなり大きな数字であることはおわかりになるでしょう。

設備投資と金利の関係

トヨタのように自前の資金で調達するところもあるが、ほとんどの会社は銀行や株式市場などから資金を調達する

その企業が儲かっているのであれば、今後、設備投資が活発になることを意味し、そのほとんどが銀行や株式市場などから資金を調達します。

そこで、企業の大量の決算発表があるときに、その決算書の中に新規の事業計画から巨大な資金調達計画がある可能性が高いので、決算日前に大きく金利が上昇する傾向にあります。

ただ誰がどう見ても、これほど大きな資金需要が日本もアメリカもないと思われますので、決算が一通り終了すると、この金利は下がる可能性のほうが高いと思います。

まさに相場格言でいう「うわさで買って事実で売る」状態になるでしょう。

つまり、金利が下がるのだから、金の本日の押し目というのは絶好の買い場となる可能性が高いと言えます。

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