金の価格変動に変化

貴金属,相場関連

金とドルの関係

今まで、金の価格はドルに連動しているという話をしてきました。

しかし、近年では、金の価格はアメリカの金利に最も連動していることが判明してきています。

今回は、その解説をしていきます。

上記は、1994年からの金とドルの値動きです。

オレンジの線(左軸)は金のドル建て価格、青い線(右軸)はドルの実効為替レートになります。

2007年くらいまでは、ドル(青い線)が上昇するたびに金の価格(オレンジの線)は下落していました。

反対にリーマンショック(2008年)以降は、ドルの価格(青い線)は下がり、金の価格(オレンジ)は上昇しています。

つまり、金とドルには反相関、反比例の関係が成立していたのです。

ところが2014年(南欧債務危機、チャイナショック)ころから、ドルは急上昇しているのですが、反対に金の価格も上昇していっています。

今まででしたら、ドルが上昇すれば金の価格は下がったはずなのですが、2014年以降はドルが上昇しても金の価格は下がりません。

この原因

下記は、1970年1月から2019年9月26日までの金とアメリカ国債10年物利回りです。

参照元:TRADING ECONOMICS

青い線(左軸)はドル建て金価格、黒い線(右軸)はアメリカ国債10年物利回りになります。

2000年までは、金利が下がろうと上がろうと、金と金利の関係に相関は見て取れません。

すなわち、金利が低下すると金の価格が上昇する、そして金利が上昇すると、金の価格が下落するというような反相関の関係は見られません。

むしろ、1980年のように金の価格が上昇すれば金利も上昇しています。

これは、物価の上昇が大きく、結果としてインフレに強い金、そして物価が上昇したので金利も上昇したことが理由です。

この物価上昇は、オイルショックやイランイラク戦争、湾岸戦争など中東情勢の不安定化が挙げられます。

ところが2000年を境に、黒い線のアメリカ国債10年物金利が5%を切ってくると、金の価格は急騰し始めました。

ここに、金利が下がると金価格が上昇するという反相関が発生したことが観察できます。

今年の金価格と米国債金利の関係

今年に入っての動きを見ていきましょう。

参照元:TRADING ECONOMICS

黒い線(右軸)はアメリカ10年物国債利回り、青い線(左軸)はドル建て金価格です。

5月中旬くらいに黒い線(アメリカ国債金利)が2.4(右軸)を切ってくると、金の価格が上昇しているのがわかります。

3月末に黒い線(金利)が2.4を切っている時点のときに、青い線(ドル建て金価格)が上昇しているのをウォッチしてもわかることです。

8月にはその金利が2%を切ると、さらに青い線(金価格)が上昇しているのが確認できます。

2019年の相場は金価格と金利が反相関になっているのです。

金利が低下をすると金価格が上昇する、という関係性が成り立っています。

そのポイントは、アメリカ国債10年物が2.4%を切ると金価格が急騰し、2.0%を切るとさらに金が急騰するということが言えます。

金利2%と2.4%の意味

なぜ、アメリカ国債10年物が2.4%を切ると金価格が急騰し、2.0%を切るとさらに金が急騰する

2.4%を切ると金が急騰するのは、国債の利回り2.4%に対して、日米ではその金利収入に対して10%課税されます。

クーポン利回り(実際に受け取れる金額、ここでは2.4)で税引きの金額は2.16になりますので、2%という心理的な抵抗は維持しますが、ほとんどの国においてはこういった金利収入に対しては2割の税金が徴収されます。

つまり、2.4%の2割、20%というのは1.92%になりますので、100万ドルに対して年利2.4ですから24,000ドル受け取れるのですが、税金を引くと19,200ドルになり、2万ドルを切ってしまうことで多くの投げモノが出たと推測できます。

クーポン利回りが2%を切ると、これは完全に心理的な抵抗ラインを越えてしまい、国債の投資者が減ったという意味になると思われます。

現在の相場状況というのは、アメリカ国債10年物の利回りが2%に近づくか離れるかによって、相場の状況が動いており、2%に近づいた9月中旬に金価格は急落し、2%から離れた9月下旬は急騰しているという状況になるのです。

近年の金とドルの関係

下記は2019年1月からの金とドルの関係です。

系列1:オレンジの線が金価格(左軸) 系列2:青い線がドル実効為替レート(右軸)

金とドルの関係が反相関、反比例の動きにあるのであれば、上記のように近似したような動きになるわけがなく、むしろ反対方向に動くはずです。

このグラフからわかることは、金とドル実効為替レートは相関関係にあるということです。

ドルと金の関係は反相関関係ではなく、相関関係にあると言えます。

もっと簡単に言えば、ドルが上昇すれば金も上昇するということです。

参考

1994年からのドルと金の関係

系列1:金価格 系列2:ドル実効為替レート

2019年5月からの金とドルの関係

系列1:金価格 系列2:ドル実効為替レート

8月から金と金利の相関関係が強くなっています。

こうなった原因

こうやって考えていくと、金とドル、金と金利の相関関係に変化があったと考えられますが、実に合理的なことではありません。

では、どうやって考えればいいのかということです。

       金価格   金利  ドル実効為替レート
2019/01/01 1279   2.65   122.32
2019/08/30 1528   2.1    125.1

騰落    △19.4  ▼26.1   △2.27

上記の表を見ても、金利が26%動いているのに、ドルの実効為替レートは2%しか動いていません。

近年ではドルの上下動が緩慢になり、金利の動きが動いていますので、マーケットはドルの上下動には注目しなくなり、金利の上下動に注目するようになってしまった結果、金利と金の関係ばかりに注目がいってしまい、誰もドルと金の関係に注目しなくなったのです。

金の価格変化がドルから金利に変化したのではなく、金利が動きすぎるから金利と連動しているように見えるだけです。

そもそも、金とドルの関係が終わったということではなく、ドルが動かなすぎるから連動しているように見えないのです。

まとめ

1994年からのアメリカの実効為替レートになりますが、2018年からのドル実効為替レートの動きは本当に緩慢になります。

こちらは1994年からの10年物国債金利利回りになります。

グラフの特性上、あまり動いているように見えませんが、8%あった金利が2%以下と1/4以下になっているのですから、金利の動きは相当です。

しかも、3%台から1.6%に2018年から動いているのですから相当な動きになります。

金利が動きすぎるから、ドルの動きに注目がいかなくなっただけの話であって、再びドルが激しく上下動すれば、またドルと金の関連性に着目がいくでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました