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中国にインフレ懸念⁈

近いのに全く知られていない国・中国

中国は、先日のGDPで年率6.2%の成長という、リーマンショック以降最低の数字となりました。

今、中国で何が起きているのかを解説していきます。

中国同様、隣国なのにお互いがあまり相手を正確に把握していない日韓

アメリカの歴史や現状はメディアなどでよく報道されますが、お隣の中国や韓国のことは、あまり知らされていないようです。

例えば、昨今の韓国で何が起こっているのかの報道は皆無の状態で、いたずらに不安をあおるような報道が目立ちます。

今の韓国の現状とは単なる国内問題であり、言いやすい日本に文句を言っているにすぎません。

ただし、言われっぱなしではマズいという対応が現状になると思います。

中国はもうダメという報道の背景

中国はもすでにダメ?

中国も同様で、メディアでは中国がもうすでにダメであるという報道がよくなされますが、これも正確ではありません。

では、なぜその手の報道がなされるのかといえば、そういう報道すると関連の書籍や雑誌の売り上げがよくなるからということらしいです。

売り上げのために事実を捻じ曲げるという、およそ報道、言論に携わる者として最低の倫理観さえも持てないメディアの立ち位置が、相対的に下がるのは当然の話で、由々しき事態と言えるでしょう。

今回は、中国に対する懸念を少しでも払拭できたら幸いです。

中国の政治体制

曲がりなりにも一国二制度で民主主義ということになっていることから、最近では反中デモが頻発する香港

中国は何と言っても一党独裁、そして社会主義国である、この前提条件をひっくり返す人をよく見かけます。

社会主義国なのに資本主義、自由主義のように考えを巡らして語る方が非常に多いです。

そもそも一党独裁なのですから、民主主義などではありません。

韓国や香港で大衆のデモが認められるのは民主主義だからであり、中国では本来、民衆の蜂起やデモなど認められません。

なぜなら独裁なのですから、共産党の言うことを聞かない人間は抹殺されるだけです。

ただし、国内で共産党に対して不満を持たない人間などいないわけですから、それをやれば人民は皆殺しになってしまう、そしてガス抜きのために一部の蜂起やデモを認めています。

それだけの話であって、本来、言論の自由などは保証されていないのです。

もちろん、行動の自由、居住の自由なども根源的には認められていません。

勘違いの理由

改革開放路線を推し進めた鄧小平

これは、政治体制は社会主義、経済体制は資本主義を取り入れているから、このような勘違いや誤解を生むのです。

社会主義と言っても指導者、それは共産党のことを指すのですが、それが社会主義の通念に基づくリーダーではなく、独裁者としてのリーダーなのですから、共産党に逆らうことは許されません。

一方で経済は、鄧小平の改革開放路線をとっていますので、欧米や日本と変わらない資本主義になっています。

ここをきちんと認識していないから混乱するのです。

中国の経済政策決定者

中国の最高権力者である習近平

中国で経済政策を決定するのは誰かと言えば、共産党になります。

その共産党の最高の意思決定機関は、習近平を中心とする人民最高会議です。

ここの決定は絶対であり、李克明首相などは共産党の指導を受けて統治するシステムになっています。

その共産党指導部が5年に一度、5ヵ年計画を立てるのですが、その決定は絶対だということを鼓舞するために、李克明以下の政府首脳は全力で計画を実行し、共産党に従うというかたちをとるのです。

中国がメンツを大事にするという意味は、共産党が王さまに当たるのですから、その共産党の指導を政府首脳が果たせないとなると、王さまに恥をかかせるのと一緒のことです。

王さまに恥をかかせない、つまりメンツをつぶさないということにつながっています。

2017年の5ヵ年計画

詳細は省きますが、本日、説明するものに付随する内容を以下に挙げます。

人民の所得を年間7%上昇させる

参照元:TRADING ECONOMICS

人民の受け取り賃金がきれいに7%程度上昇しています

国有企業の改革を進行させる

参照元:TRADING ECONOMICS

人民の給料は上がっているのに企業利益は減っています。

この2つの統計を見れば、ほかの資本主義国では、企業の利益が減ればお給料は減るのが当然なのですが、中国では共産党の指導のもと、企業利益が減っても人民のお給料は上昇させる方針が徹底されているということなのです。

そのくらい、共産党の指導力はものすごいということになります。

2017年に始まったことではないがインフレには注意する

参照元:TRADING ECONOMICS

中国のインフレ率は、ここ数年の上限近辺まできており、この物価上昇は共産党統治を脅かすものになります。

物価が上昇すれば、それだけ食えない人民が増えることになり、結果として民衆の蜂起やデモにつながり、その鎮圧を共産党や政府が行わなければいけなくなるのです。

鎮圧に失敗すれば、香港のように無政府状態になり、結果として共産党政権が崩壊するという帰結になります。

インフレを絶対に進行させてはいけないということが共産党幹部にはあり、このインフレに対しては必ずすぐさま対策案が出てきます。

最近では、米中貿易摩擦下にあってもアメリカ産穀物を輸入すると発表するのは、インフレの進行防止が理由です。

決して、アメリカのプレッシャーに屈したわけではありません。

企業の利益を増やし人民の給料増加も盤石にする

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は、マネーサプライM2になります。

利益は増えていないのに、お給料は増やさなくてはいけないのですから、企業は困るのです。

では、共産党は何をするかといえば、お金の供給を増やすのです。

マネーサプライとは、日本語訳すればお金の供給ですから、この供給量は今後増えてくることになります。

企業はその緩和されたお金を使って投資を行い、新規事業投資を行うのです。

そしてますます儲かり、その結果、従業員のお給料を増やすことができるようになります。

そもそも従業員のお給料が増えるということは、人民の生活が豊かになった結果、物価が上昇するのは当然のことです。

人民のお給料を増やせば、物価は上昇するのは当然のことなのですが、共産党にはその原資である企業利益を増やす算段がないのです。

さて、上記の説明でおわかりになると思いますが、企業の利益を増やさないと中国はインフレによって人民の不満が大きくなり、デモや蜂起が多発するという結果になります。

この解決策として出てきたのが、昨今のアメリカ産穀物の輸入開始になるわけです。

四面楚歌の共産党

ジャック・マー氏が設立したネット通信事業会社である阿里巴巴集団(アリババグループ)

人民のお給料の年7%の上昇を永続させるためには、根幹である企業利益が増えないとお話しにならないのはなんとなく理解できましたか。

しかし、今打ち出ている中国政府の対応は、アメリカ産穀物の輸入を開始し、物価上昇を緩和させるという策です。

これでは根本の解決にはならないのは、おわかりになりますよね。

企業の利益を増やさないと根本的な解決には至りません。

中国の巨大企業というと、最近話題の華為(ファーウェイ)や阿里巴巴(アリババ)などを思い浮かべるでしょう。

しかし、中国には巨大民間企業はせいぜい10社程度しかなく、そのほかは中小とも言えず、日本でいう零細レベルの会社しかありません。

では、そのほかの企業は何かと言えば、ほとんどが国営企業です。

日本で言えば、昔の国鉄や専売公社、電電公社などに当たります。

日本ではこれらの企業群を中曽根内閣以降に次々に民営化し、特に携帯電話会社などは活性化しています。

ところが、中国ではその民営化が一向に進みません。

わずかに1990年代に民営化を試みましたが、国営企業の経営者の中に共産党の幹部がおり、ことごとく民営化に反対されてとん挫しました。

民営化なき国営企業の行く末は…

電電公社はNTTへ、国鉄はJRへと日本では様々な大手国営企業が民営化を果たしたが…

日本で国鉄がつぶれた主な理由はを元国鉄経営幹部に聞くと「労働運動の活発化」と言いますが、根本は生産性の非効率さです。

民営化後に東日本や東海などの利益が飛躍的に伸びましたが、それは生産性が大幅に向上した結果になります。

では、中国でも大規模な国営企業を民営化すれば、発展も大いにあり得るのではないかというご意見を持つのは当然ですが、実際、国営企業の経営者はほとんどが共産党員なので、民営化などが進行するわけがありません。

日本で1989年から92年までバブル景気が続いたのは、国鉄や電電公社の民営化によるところが多いのですが、中国はそれができないのです。

人民のお給料は共産党の言う通り増え続けるが、国営企業の利益はそれに追いつかない状況です。

これがずっと起こっていけば、最終的に国営企業は倒産することになるでしょう。

国営企業の倒産の後に待つもの

盤石と思われる共産党体制にもヒビが!?

国営企業の倒産は、商品の需給をタイト化しさらなるインフレが進行する、の繰り返しになります。

結果的に人民は共産党に不満を持ち、デモや反体制運動、蜂起が起こり、国情が不安になるということです。

これを避けるためには共産党指導部の企業利益を増やすための具体的な方策なのですが、過去の経緯を見ると今後も出る気配がありません。

結果として、中国国内のインフレが進行し、国内の政情不安は高まることになるでしょう。

金は、インフレには強いということになりますが、今回また大きく下げた後、中国や日本、アメリカの物価上昇に伴い価格が上昇することになるでしょう。