ドルの上下動から金価格を知る

貴金属,相場関連

ドル実効為替レートと金価格

今までは金利の面から金の動向を探ってきましたが、今回は久しぶりにドルの動向から金価格を探っていきます。

金は頭を打っていると考えますが、最近の下げ渋りはおそらくドル安からという面がはっきりしてくるでしょう。

上記はアメリカの実効為替レートです。

トランプ大統領がメキシコへの制裁を発表してからドル実効レートは下がっています。

ドル実効レートが下がっているということは、金が強いということになります。

参照元:TRADING ECONOMICS

ドルが下がれば、金の価格は強くなっており、やはり相関していると言えます。

ドルインデックスと金価格

ドルインデックスの欠点は以前触れました。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は青い線が金、黒い点線がドルインデックスです。

ドルインデックスが6月から下落していますが、金は逆に高くなってドルと金の反相関が成立しています。

ところが、7月に入りドルと金が一致して上昇しています。

これはドルインデックスの構成要因であるユーロが大幅に下がっているためで、一番上のグラフ、ドル実効為替レートが下落しているのにもかかわらず、ドルインデックスは上昇しています。

ドルインデックスは相対値であり、ユーロの影響を受けすぎなので、参考にはなるが絶対視してはいけないということになります。

以上のことから、金利の上昇に伴い金が本来なら下がるはずですが、今度は新たな障害であるドル安が台頭しているので、結果的に頭を金が打ってもなかなか下がらないという事態になっているのです。

ドルの金利動向

ドルが存在して初めて金利が成立する

本来、金の価格はドルと反相関の関係にあります。

これは、金利というものはドルが存在して初めて成立するもので、金利はドルなしでは成立しないからです。

ですから、金の変動要因の関係性においては

ドルの上下動>金利の上下動

になります。

ここ最近はドルの動きが緩慢であり、結果として金利の動向に注目が集まったことから、金利の変化に金が反応していました。

本来であれば、ドル不安が起こっているときに、ドルが機能不全に陥ったときのヘッジとして金が買われるのです。

そして、金利の計算は以下のようになります。

ドル価格×金利

この場合、金利が大きければ大きいほど、ドルの価格は増価し、逆に金利が低ければ低いほどドルの価格は減価します。

すなわち、7月末に予定されているFRBによる利下げが実行された場合、「ドル×金利」の計算式では、ドルの価値は減価します。

これは、結局は金の価格が上昇することになります。

では、弊社がずっと主張している、ドルの価値が減価するのですから金の価格は上昇する、つまり7月金天井説を打ち消すことになります。

なぜ金の価格はそれでも下がるのか?

ドルの価値は現在、低下傾向にあるわけです。

結果として金の価値は上昇しますが、現在、金利は実勢の金利よりも下がりすぎの状態にあります。

参照元:TRADING ECONOMICS

まだ利下げもしていないのに、去年の10月から金利は下がり続けています。

これは、ドイツの金利がアメリカの金利を引き下げているということを以前に説明しました。

金価格が下がらない理由
金が下がらない理由はズバリこれ! 7月に金価格が頭を打つと言いましたが、なかなか下がらないじゃないかと感じている方も多いと思います。 そこで今回は、その解説をしていきます。 上記はドイツの10年物国債利回りです。 ...

ドイツの不景気は深刻で、その要因は貿易摩擦、中でも特に対中国輸出の不振があるということです。

上記はドイツの金利です。

アメリカと違い、雪崩式に下がっているのがわかります。

腐ってもユーロはアメリカと経済規模を争う経済圏であり、その筆頭国のドイツの金利がこのような状態になっていれば、アメリカの金利も下げざるを得ないということです。

アメリカの金利はドイツ金利に引っ張られたものであり、実勢の金利ではない上に、メディア等によってFRBが利下げを暗示したことが金利の低下を助長していると言えます。

米中貿易戦争とドイツ不振のゆくえ

自由の国アメリカで勝手し放題の華為。逆にアメリカ企業は中国では…

中国との貿易摩擦は、おそらく年内には解消しないでしょう。

なぜなら今回、トランプ大統領はフランスのIT課税を猛烈に非難し、アメリカを代表するIT企業の権益を守ることを鮮明にしました。

中国でも同様の話であって、アメリカのGAFAは中国に進出しましたが、ほとんど撤退しています。

これは中国の国内事情がネットに不向きだからです。

中国では言論を左右するために日常的に行われる言論監視が、ネットの自由な環境を侵害することが主な理由になります。

こうやってGAFAは中国で商売ができないのに、華為(ファーウェイ)はアメリカでやりたい放題やって、知的所有権さえも露骨に違法収集しているということでしょう。

預金を引き出せない銀行に誰が預ける?

米中貿易戦争は長期化する。よってドイツの不振も長期化が予想される

GAFAなどのアメリカ企業が中国で稼いでも、その資金をアメリカに還流させることができない、これではアメリカがレパトリ減税をやっている意味がないことになります。

こういう処置を資本規制と言っており、中国は資本規制をしなければ、または為替規制をなければ国が成り立たないことに根幹の問題があります。

2012年の5ヵ年計画では、資本規制を2020年を目途に撤廃するのが中国共産党の方針ですが、ここにきてその方針が変更になったことから、貿易戦争が勃発しているのです。

おそらく2017年の5ヵ年計画でも、2020年の方針には変更がありません。

外資が中国国内で稼いでも、それを本国に還流できないことから、撤退せざるを得なくなってきます。

もっと簡単に言えば、預金を引き出すことができない銀行に、お金を預けますか?という問題です。

誰も預けないでしょう。

ということは、貿易摩擦もドイツの不振も長期化ということになります。

ですから、この問題は年内に妥結などしないと言えるのです。

米独金利のゆくえとドル

金利の上昇に伴い、ドルも相乗効果で上昇するだろう

ドイツやアメリカの金利は下がり続けるのかといえば、そうではありません。

金利の決定要因の中で主なものは、政策金利ではなく、やはり物価になります。

つまり物価が上昇してくれば、金利も上昇するという市場経済では当然のことが、現在、アメリカもドイツも物価が下落しているので、低金利に拍車をかけてくるのです。

この物価が去年12月からドル安、ユーロ安になっていますので、この影響は半年後、つまり6月には物価が上昇し始め、そして7月に物価の上昇を確認すれば、金利は自動的に上昇すると言うわけです。

ご存知のようにアメリカ経済は盤石であり、その結果、

ドル×金利

の計算式では金利が上昇するのがほぼ決定的です。

利下げの影響は現在、織り込んでしまっているので、これ以上金利が下がる見込みはありません。

つまり、政策金利を7月末に下げても、市場金利はもうすでに織り込んでしまっているので、下がりようがないのです。

そして、FRBが政策金利を逆に上げなければ、市場金利は爆発的に上昇することになります。

ドル×金利

では、金利は上昇する見込み、そして金利が上昇すれば、主要な先進3ヵ国のうちユーロと日本はマイナス金利ですから、世界中の人が自分の資産をドルで運用したいと考えるのが通常でしょう。

金利の上昇に伴い、ドルも相乗効果で上昇することが7月以降は鮮明になってきます。

つまり、金の天井という方針は変わらないことになります。

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