This is a column of Refasta.

なぜ新興国は金を買い増すか?

ロシアの人権問題

「ロシア、中国、インド、メキシコ、トルコ、イランなど、新興国が金を買い増す理由は何か」というご質問を読者の方からいただきました。

今回は、その解説をしていきます。

2014年、ウクライナ南部のクリミア自治共和国の騒乱に乗じてロシアが侵攻。クリミア半島を支配下に組み入れた

ロシアのウクライナへの侵攻は、ロシア人への迫害という理由も含んでいました。

実際クリミアにはウクライナ人も居住しており、そのウクライナ人がロシア人を迫害していたのです。

そのほか、シリアには旧ソビエトから亡命したロシア人が多数おり、その保護を目的に介入を行っています。

シリアは、少数民族である現政権が多数民族を支配する、人権に問題がある国家です。

インドの人権問題

ケララ州コタキナバルで物乞いをするカースト外の女性

インドはイギリスから独立して以来、まともな人口統計調査を行っていません。

理由は、ブラーミン思想というヒンズー教以外は人ではないという思想があるからです。

つまり、人間と見なされない人たちの実態が国際社会に明るみに出ることを恐れているのです。

実際、ヒンズー教徒で人と見なされない人が人口の5割を占めていると言われています。

メキシコの人権問題

メキシコの伝統衣装に身を包んだ女性。人口の約60%がメスティーソ(白人と先住民の混血)とされる

メキシコはもともとスペインの植民地でした。

スペインが旧宗主国の国は、スペイン人以外は人としての扱いを受けません。

そこに現地住民とスペイン人の混血が生まれ、その人たちの地位確保が近年なされるようになってきましたが、差別は根深く残っています。

トルコの人権問題

トルコ南東のクルド人都市・ディヤルバクルの子どもたち

トルコは、第一次大戦によってオスマントルコ帝国が崩壊し、現在のトルコ共和国が成立しています。

国民はすべてトルコ人であり、国内の最大勢力であるクルド人の人権を否定しました。

これが治安を不安定にし、何度も内戦状態になっています。

現在でもクルド人への迫害が存在しています。

イランの人権問題

2016年にドイツの首都ベルリンで行われた、人権侵害を繰り返すイランのハサン・ロウハーニー大統領らへの抗議集会の一場面

イランは、イスラム教シーア派の国ですが、当然、スンナ派の人間も居住しています。

例えば、お隣のイラクはシーア派の人間が圧倒的に多いのに、支配はスンナ派が行っており、人権問題が国際社会で提起されています。

もちろんトルコやイラク、シリア同様、居住するクルド人への迫害も問題になっています。

中国の人権問題

亡命政府があるインドの首都デリーで、中国による不当な占領に対して抗議活動をするチベット人僧侶

中国は、ノーベル平和賞受賞者たちを軟禁したように、少数民族や思想・文化が違う人たちをたびたび迫害してきました。

またインターネット上にスパイがおり、その数は3000万人とも言われています。

中国共産党にとって都合の悪いことを書き込む人間を統制しているのです。

このように、金を大量に買っているのは、人権を確保しない国であるのが一般的です。

基本的人権に積極的な国

人権に対しては大きく声を張り上げ、ときには拳も振るうアメリカ

平和で安定的な暮らしをしたい、これは人間の基本的な欲求であり、その欲求を制限することができないというのが近代国家の概念になります。

「この基本的な欲求を制限する国はけしからん!」と声を張り上げる国は、皆さんもご存知のようにアメリカです。

実際にロシアのウクライナ侵攻、イラク戦争、トランプ大統領のトルコ大統領への口撃など、人権を確保しない国をさまざまな形で制裁、攻撃、口撃してきました。

ただし、インドやメキシコは、アメリカ経済に過度に依存しており、為政者も従順ですので、攻撃しないというダブルスタンダードの側面もあります。

自由な言論、人種差別のない社会、寛大な移民政策によってアメリカが発展したことは揺るぎのない事実です。

人権問題の改善こそが社会を繁栄へと導く

バージニア州ノーフォークにあるマッカーサー記念館に立つGHQ最高司令官・ダグラス・マッカーサーの像

地域の特性によって治世の方針を決めるのは、現在の常識では内政干渉と言います。

しかし、実際にアメリカは内政干渉と承知しながらも、人権問題の改善を当該国に要求してきました。

例えば戦後、GHQによって日本で何が行われたのかと言えば、農地解放や財閥解体です。

農地開放とは小作人という奴隷の解放ですし、財閥解体によって既得権益が解体され、皆がアメリカンドリームのようにチャンスを享受したことによって、日本が発展したことは事実です。

つまり「奴隷のような制度はけしからん!」、「一部の人間だけが利益を得るような政治体制はけしからん!」というのは当然と言えます。

一党独裁や独裁政権では、一部の人間しか利益を享受できず、国民は支配層から収奪されるのみで、それ以上の発展を望むことができません。

人権のない中国は収奪によって富を蓄積

収奪によって富を築く中国の頂点に立つ男・習近平

中国は完全なる一党独裁というよりも、習近平独裁政権です。

共産党が何をやっているかと言えば、人民の財産を奪って発展しています。

人民から収奪することによって、共産党は肥え太っているのです。

そこに不動産や株式市場を組み込み、共産党の意のままに価格をコントロールし、明らかに高すぎる値段でその富を幹部に分け与えています。

しまいには収奪するものがなくなってきたので、今度はアメリカから奪おうとして、トランプ大統領の逆鱗に触れた結果が米中貿易摩擦です。

その前にも中国は、バイドゥのNY証券上場によって、架空の収支報告書でアメリカ人投資家から多くのお金を巻き上げることに成功しています。

よく戦争にならなかったなと思うほどの巨額の詐欺事件でした。

世界は冷戦の勝者アメリカの方式を導入せよ

1991年、冷戦の東側の盟主であるソビエト連邦が崩壊

アメリカの主張によれば、東西冷戦の終結とは共産主義や社会主義の敗退であり、それらの政治体制は崩壊したのだから、「世界はその収奪型の政治体制を止めよ!」と迫っています。

いささか暴論ですが簡単に説明すれば、東西冷戦はソ連の一方的な敗北なのだから、「アメリカの政治システムを導入せよ!」と世界に迫っているわけです。

一見、横暴のように見えますが、戦前の日本人のほとんどが小作人だったという事実を忘れないでください。

その人たちにアメリカによって人権が与えられた結果、日本が繁栄したという事実です。

横暴ですが、アメリカのやり方は結果を出しています。

アメリカを投資家と考えると、戦争に出資して、今その回収を行っているのです。

敗戦でド貧乏だった日本に出資して、日本が発展したから投資資金を回収している、ということです。

敗戦から70年たった現在でも、アメリカが日本に横暴な態度をとるのはそのせいです。

こういうことを書くと左系の政党が大喜びしそうなので釘を刺しておきますが、アメリカがお金を貸してくれなかったら現在の日本はあり得ないのだから、アメリカを非難するのは筋違いです。

アメリカに逆らった国・トルコの事例

2018年、アメリカとの対立によって通貨のリラが大暴落。トルコ経済は存亡の危機に立たされた

2018年、トルコのエルドアン大統領は無謀にもアメリカに挑戦しました。

契機は、2015年にトルコで起こったクーデターの首謀者がアメリカにいることから、その送還を要求したことです。

もともとクルド人を弾圧していたこともあり、国際社会からも非難されていました。

そして、北朝鮮に抑留されていたアメリカ人留学生の解放を実現したトランプ大統領が、トルコ国内でクーデターの協力者として拘束されていたキリスト教牧師の解放も要求したことが発端になります。

これに猛反発したトルコは、アメリカと対峙しました。

双方ともに様々な言い分があり、ここでは書き切れませんが、発端は人権問題であることは間違いありません。

この対立によってトルコリラは史上空前の大暴落を起こし、国家存亡の危機と当時は言われました。

エルドアン大統領は敗戦寸前でなんとかアメリカと仲直りし、その後に「これから金を中心に国家、通貨問題を組み立てていく」と宣言したのです。

ドルを握るアメリカが他国の生殺与奪権を握る

世界の基軸通貨であるアメリカドル

私たちのお財布に入っている日本円は、日本政府や日本銀行が発行しています。

政府の信用がなくなれば、お金は紙切れになると思っている人は多数でしょう。

また、義務教育で世界の基軸通貨は「アメリカドル」だと学習しています。

この基軸通貨の意味とは、万が一、日本政府に信用がなくなって実際にお金の価値が「ゼロ」になっても、アメリカがドルの信用力を高めて、日本の円を救うということです。

なぜなら、金本位制度では世界中の金をアメリカが持っていたのですから、ドルを持っていれば、必ずアメリカ政府は金と交換してくれたから、ドルが基軸通貨になるのです。

金本位制度が崩壊してもこの状況は続いており、各国政府の信用は、アメリカが通貨体制を保証することによって安定しています。

となると、アメリカに従わない場合はその国の通貨を保証しない、と言っているようなものです。

実際、国際世論はどう見ても人権侵害をしている国を追及するのは火を見るよりも明らかであり、幸せで豊かな生活を送る権利は誰もが欲しいのですから、アメリカの主張が通るでしょう。

「金を中心に国家、通貨を組み立てて行く」の意味

金を中心に国家、通貨を組み立てて行く方針を宣言したトルコのエルドアン大統領

前述のロシア、中国、トルコ、メキシコ、イランなど、どう見ても人権侵害を行っている国は、アメリカと本気で対立した場合にどう見ても負けます。

だったら通貨基軸であるドルに頼らない制度を作ればよい、という考え方になって当然です。

前述の国々は、死んでも人権侵害など認めないでしょうが、アメリカに非難された場合、ドルにリンクしている通貨が崩壊する可能性を否定できません。

仮にアメリカ側が明確な侵害をしても何も言われず、逆に歯向かったら通貨と経済を崩壊されかねないというリスクを常に背負っているのです。

アメリカだって常に正しい方向で外国を非難しているわけではありません。

これがアメリカがダブルスタンダードだ、と言われるゆえんです。

そのリスクを軽減するために、万が一アメリカに理不尽な文句を言われた場合、ケンカしたら負けるのは必至ですから、備えとして金を持つようにしているのです。

そのアメリカとケンカをした当事国が金を大量に保有していれば、通貨は暴落せず、経済も崩壊しなくなります。

去年から大幅にトルコが金を買う理由になったのはそこにあります。

反人権的国家はますます金を買い増す

理由が理由なだけに反人権・反アメリカ国家の金買いは止まらない!?

上記の国々が金を買い増す理由は、アメリカの経済圏ないしはアメリカ頼みのドル経済から逃げようという思惑以外何もありません。

実際にトルコは、アメリカとケンカして経済崩壊の危機にまでさらされているのですから、リスク管理を行うのは当然です。

もっと言えば、新興国、特にアメリカと主張が違う国では、今後ますます金を買い増すでしょう。

これは一時的な現象ではなく、現時点ではほぼ未来永劫、買い増す状態になるだろうというのが普通の見解になります。

あくまでも未来はわかりませんが…。

yuta5555

リファスタ・コラムの管理を担当しています。

金相場を中心に、金にまつわるさまざまなことをご紹介していきます。

関連記事

  1. 金上昇の理由

    EU離脱からの金の高騰。見直される金の価値。

  2. 銀本位制度はなぜ崩壊したのか?

  3. 戦争と金

  4. 元素周期表から見た金の特徴

  5. 金価格とパラジウム価格が均衡する?

  6. トランプ大統領の放言と金相場

  7. 貿易戦争なんて存在しない

  8. 米朝会談と金相場

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

カレンダー【Month Calendar】

2019年3月
« 2月   4月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

▼当コラム運営サイト▼

PAGE TOP