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意外な結末であった第二回米朝交渉

意外ではない今回の米朝交渉の結果

注目の2回目の米朝交渉が行われ、交渉途中でトランプ大統領が席を立ち、合意も共同声明も発表されないという意外な結果に終わりました。

世間ではさまざまなことが言われますが、今回はその検証を行っていきます。

2月27、28両日に開かれた第二回米朝会談は決裂した

実は、よく外交を知っている人間からすれば今回の結果は「意外」ではありません。

なぜなら、決裂の兆候は事前に十分にあったからです。

まず、金委員長とトランプ大統領がトップ会談を行う前には、必ず事務方が事前交渉を行います。

ところが、その事前協議に際しアメリカの政府高官、事務方は軒並み「北朝鮮との合意は難しい」と発言していたのです。

つまり、事務方レベルではすでに合意は難しいという認識が共有されていました。

意外だったのは…!?

スモールディールすらなくトランプ大統領は交渉の席から立った

注意していただきたいのは、アメリカの事務方の話はよくメディアにも登場していましたが、北朝鮮の事務方も同様の認識をたびたび発表していた点です。

にもかかわらず、トランプ大統領はマイケル・コーエン元個人弁護士の議会証言など重要な政治テーマがある中、わざわざワシントンからベトナムのハノイに駆け付け、金委員長も同様に平壌から陸路で駆けつけました。

認知科学では「報酬」と呼びますが、このような手間をかけるのであれば、両者ともに報酬という外交「成果」が欲しいのが必然になります。

そこで、中身はなくても何らかの合意をしたふりはするだろうというのがプロ同士の見方でした。

しかし、昼食も会見も共同声明もすべて蹴って、トランプ大統領の帰国というサプライズになったのです。

交渉の過程は予測通りでしたが、何の成果もなく両者が帰国したことがサプライズでした。

ただし完全な決裂というわけでもなく、交渉は継続と言っています。

周辺国それぞれの立場を解説

日米韓朝それぞれの思惑が…

北朝鮮問題に関しては周辺各国のさまざまな思惑があります。

それを中心に解説していきましょう。

アメリカの思惑

テキサス州ヒューストンのトランプ支持者のショップ

トランプ大統領の最大の関心事は、次回の大統領選挙です。

これは、今までのトランプ大統領の行動を追っていれば明白です。

去年の12月からのかなり大きな景気後退への懸念から、有権者の支持が就任後最低のラインにまで落ち込みました。

これに対して大統領は、自身への疑惑であるロシアンゲートの山場が2月になるため、政府閉鎖、FRB批判、米朝会談、米中交渉とイベントを次々に出してきたという心象です。

そもそも政府閉鎖を35日間もやって、できもしない国境の壁建設予算を組む必要があるのか?

というのが最大の疑問です。

支持者に「私はやるだけやりましたが、民主党が邪魔するのです」と訴えたいがためにここまでやるのか、ということです。

そうなると、日本や韓国では大注目の米朝会談も、トランプ大統領としては、目先の景気の低迷や自身の疑惑をそらすためにやった、と疑われても仕方がありません。

そもそも事前協議が不調に終わっており、不利な合意をするよりも、北朝鮮の要求を毅然と断れるリーダーという心象付けをしたかっただけだと思っています。

北朝鮮の思惑【1】

中朝国境を流れる鴨緑江で洗濯物をする北朝鮮の人民

金委員長がまず考えることは、国家体制の維持です。

アメリカと対立したままの構図では、国家体制の維持が安泰とは言えず、その結果、国家が転覆しても構わないという発想は金王朝三代の歴史にはあり得ないことは誰もが理解できるでしょう。

前回のオバマ大統領の時は、北朝鮮が暴発しても全く相手にされず、その前のブッシュ大統領は上手にだまくらかしました。

次期大統領として、現状はどう見てもトランプ大統領の形成は不利であり、次回、民主党候補が大統領に就任すれば、再び北朝鮮は国際社会から孤立する可能性があります。

ですから、今まで全く相手にされてなかったアメリカ側から秋波を送ってきたのですから、絶好の機会を逃したくないという思惑が金委員長にはあるでしょう。

そして、金王朝を支える人民の生活が危機的レベルにあり、経済制裁を解除することによって、なんとか支援してもらいたいという思惑があるでしょう。

北朝鮮の思惑【2】

祖父である金日成、父である金正日から引き継いだ王朝の維持こそが金正恩の絶対命題

ただし、人民の暮らしは金王朝が成立するための条件の一つで、絶対条件ではないことが重要です。

金王朝の存続と人民の生活のどちらが大事かと言えば、金王朝の方が大切ですから、核関連施設の完全公開と廃棄を拒むということをまだわかっていない方が多すぎるように思います。

アメリカはその辺の事情に理解を示していますので、それが前提の交渉なのです。

ですから、金王朝の存続が命題とすると、アメリカを本当に心から信用してよいのか、という疑念、そして次期政権に北朝鮮の運命をゆだねることはあまりにも危険であることから、完全な核査察や放棄を拒むのは当然と言えます。

つまり、北朝鮮はアメリカを完全に信用していないので核放棄や査察なんかできっこないという立場、一方のアメリカは完全な核武装の解除を求めているのに交渉なんてまとまるわけがありません。

それを進展すると言っているマスコミは何もわかっていないのです。

日本の思惑

ロケットマンのミサイル発射を阻止することが日本の優先課題

日本の重要課題は拉致問題と言っている人が非常に大勢いますが、喉元過ぎれば熱さを忘れる人が多いのには危険なにおいしか感じません。

もちろん、拉致問題も大変重要です。

しかし、2年前のこの時期に東北や北海道、関東では、朝っぱらから非常ベルがけたたましく鳴り、「北朝鮮のミサイルが飛来する可能性があるので避難してください」とやっていたことをもう忘れている人が大半なわけです。

この問題が解消すれば日本政府としてはOKで、もっと期待すれば拉致問題となっているのに、報道は拉致問題一辺倒。

つまり前回のシンガポールの会談以降、日本上空をミサイルが飛行することがなくなり、今回もミサイル飛行による経済停滞が一番の問題です。

拉致問題は、国家の主権や役割としては本当に大事ですが、安倍政権自体が選挙で選ばれた政権で、日本人全員に関係がある経済のほうが優先になります。

再びミサイルを発射して経済活動が停滞することを恐れるわけで、拉致問題はその次ということを確認してほしいです。

韓国の思惑

行き着く先は南国弱者連合?

今回の結果に一番落胆したのは韓国でしょう。

前にも解説しましたが、韓国の文在寅大統領は北朝鮮と対話、太陽政策を掲げる政権で、米朝の歩み寄りを歓迎します。

一方で日本に対しては、前政権が日本問題に対しての抗議デモでつぶれた経緯も理由の一つになりますので、強気一辺倒です。

しかし、今の経済を支えているのは日本であるのは明白なのですから、大統領もこのまま日本と喧嘩しているわけにもいかないが、民衆は日本をもっと叩けと要求してくるので苦しい立場。

ここで北朝鮮との対話が上手くいけば、ある程度、国民の目を日本からそらすこともできたでしょうが、「まさか」の不調に終わりました。

要するに、今日本に行っているさまざまな嫌がらせは当面続きます。

それを「日本人に我慢しろ!」というのです。

はっきり言えば、日本に甘えすぎです。

こんなことばかりやってれば国際的な信用が落ちるのは時間の問題で、ひいては北朝鮮との南北弱者連合が出来上がるのは目に見えています。

今後の米朝の行方

北朝鮮が今後再びミサイルを発射するようなことがあればアメリカの手で握りつぶされることになるだろう

米朝ともに今後も継続を続けると声明を出していますが、上記で説明したように歩みよるにも妥協点がありません。

北朝鮮はブッシュ政権をだまくらかして援助を得たようなやり方を踏襲するほかなく、アメリカは助け船を出さないようにするほかないのです。

ミサイルを発射すれば、おそらく北朝鮮は終わりになる可能性が高いでしょう。

yuta5555

リファスタ・コラムの管理を担当しています。

金相場を中心に、金にまつわるさまざまなことをご紹介していきます。

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