目次
そもそもの問題点
「この問題がどうなっているのか、さっぱりわからない」という方も非常に多いと思いますが、実は簡単なことなのです。
北朝鮮から見たら、アメリカに対してちっとも理不尽な要求をしていないのです。
皆さんは不思議に思うかもしれませんが、朝鮮戦争の休戦協定というのは、お互いに外国の軍隊が撤退することが条件です。
つまり、アメリカ軍が韓国に駐留をしているのは休戦協定違反です。
だから「北朝鮮は世界から非難をされても核開発などを進行させた」、これが北朝鮮の言い分になります。
初めに約束を違反したのがアメリカであり、北朝鮮には中国軍やロシア軍は駐留をしていないのですから、北朝鮮の言い分がわからないでもありません。
個人個人で意見は分かれるでしょうが、人間対人間で相手が約束を守らなかったら、こちらも守らないというロジックは品性が低いとは思います。
つまり米朝の根本的な対立というのは、アメリカが韓国に軍隊を置いていることに問題があって、北朝鮮の主張はこのことにおいてだけは誰から見ても正当性があるのです。
在韓米軍の恩恵
韓国にアメリカ軍が駐留するということは、韓国政府にとっては歓迎をすべきことになると思います。
しかし、韓国で起きている一連の反米・反トランプデモなどを見ると、民衆の理解は得られていないようです。
これは日本にも言えることですが、「自衛隊反対」や「憲法改正反対」、「原子力発電反対」と、デモが行われています。
例えば、「原子力発電反対」と主張しているのにもかかわらず、安定的な電力供給の恩恵を受けているのはデモをしている人たちを含めた国民全員です。
これだけ原油価格が上昇し中東は混乱している状態で、安定的な電力供給が受けられるのか否かは誰にもわからないことです。
この人たちはきっと、震災直後に安定的な電力供給がなくなったら真っ先に文句を言い始める人なのでしょう。
原子力発電の怖さもよくわかりますが、少なくとも電気がない生活をしてみて、政府がなぜこれほどまでに電力の安定供給を求めるのか理解してからデモをしてもおかしくないでしょう。
韓国の人も在韓米軍の恩恵をどれだけ受けているか、理解していないからデモを行っているのです。
在韓米軍の撤退は民主主義の否定
北朝鮮、ロシア、中国は政治思想的に基本的には共産圏になります。
すなわち自由に発言する権利、財産権などが国家の前で冒涜されるのです。
日本やアメリカなどは自由が前面に出るのですが、共産圏では自由に行動することは制限されます。
例えば、中国ではお金持ちになり過ぎると、共産党政府がなんだかんだと言い掛かりをつけて財産を没収します。
なぜなら私有財産の保有は本質的には禁止なのですから。
つまり「あなたのものは国家のもの」という考え方なのです。
それが共産主義。
韓国でその民主主義の体制を保障するシンボルが在韓米軍であって、在韓米軍が出ていくということは、その民主主義を否定することになるのです。
なかなか理解できないでしょうが、これは厳然たる事実になります。
今の韓国政府で歴代の大統領が逮捕されているという事実は、単なる昔の王政と同じと想像することができないでしょうか?
要するに権力を失うと絞首刑になったのと同じことなのです。
民主主義のように見えて、実際には権力を失うとそのプライドも功績もすべて否定されるような社会で抹殺が図られる…、やっていることは非常に前近代的だと誰しもが思うことでしょう。
つまり放っておけば、いつでも共産圏入りする可能性のある国家体制であって、在韓米軍の重しが消えればその可能性はさらに高まります。
その一方で。
その一方で、「在韓米軍、反対」と言いながら、民主主義や資本主義の恩恵は最大限に受けていることは事実なのです。
ずいぶん自分勝手なことをやって、それで世界で通用する訳がありません。
政府は一応、民主主義のかたちをとっていますが、国民の支持がなければ、最終的には逮捕というかたちになりますので、国民の度を越したわがままを聞き入れないといけないような状態です。
例えば従軍慰安婦問題などは、日韓基本条約にて、今後の戦後賠償は一切受けつけないと約束したのにもかかわらず、ことあるたびに蒸し返され、前大統領が日本政府の意向を受けて解決を図ると逮捕されてしまうのですから、どうしようもないという印象しかありません。
「本質的に約束を守らない国家なのだ」と南北ともに思うのが普通になってしまいます。
そもそもこの朝鮮戦争の休戦協定の前提条件である外国軍の撤退が破壊されているのですから、うまく纏まる訳が無いと思うのですが。。。。
お互いの要求が一歩も受け入れられないような状況
一方のアメリカは、「今まで散々援助や支援を続けて、核も放棄すると約束をしたのに何も履行をされていない」と怒りを感じて当然です。
ですからこの問題の根幹は、アメリカ軍から韓国から出ていかなくては話が進まないのに、進展があると期待するほうがおかしいのです。
しかし、国際社会は過去の経緯がどうであろうと、北朝鮮に非核化を求めているのが事実です。
この流れに北朝鮮がいくら孤立していようが、逆らうことができないだろうというのが現実だと思います。
まとめると、
- アメリカの要求→北朝鮮の非核化
- 北朝鮮の要求→在韓米軍の撤退
両者の要求がまるで噛み合っていないような状況なのです。
どちらも受け入れがたい要求なのですから、まとまるわけがないと誰しもが思うことでしょう。
つまりお互いの要求が一歩も受け入れられないような状況で、シンガポールでは何を会談するのか?ということです。
何も合意ができない状態で会談をしても時間の無駄とアメリカが感じても当然です。
トランプ大統領もこの矛盾に対して、体制の保証と経済援助を言っているのですが、それを信用しない北朝鮮なので、なんの進展もありません。
万が一、シンガポールでの会談が無期延期された場合
トランプ大統領は、シンガポールでの会談を「やる」と言ったり「やはり止めた」と言ったように、焦点が見定まらないような状況です。
では皆さん、考えてください。
もしシンガポールでの会談が無期延期された場合、アメリカに弾道ミサイルが届く可能性のある国家を一国の代表は放置できるのかという問題に直面をします。
できるわけがないでしょう。
この問題を解決するのには、国の代表同士が会談して握手をするのが非常に大事なことなのです。
この会談が無期延期となると、選択オプションは戦争しかないのです。
だから「やる」と言ったり、「やらない」と言ったりしているのです。
冒頭の「ニューヨーク・タイムズ」とツイッター
「ニューヨーク・タイムズ」へのリーク記事はトランプウォッチャーであれば誰でも知っていることなのですが、リークをしたのはトランプさん自身です。
「ニューヨーク・タイムズ」もそのことを十分承知しているのですが、本人が「トランプじゃない」と言い張っているので政府高官と書いているだけの話です。
一方でトランプさんはツイッターでは「存在しない、政府高官のことを信用するのか」と書き、そして「政府高官の言うことはうそだ」、「シンガポールでの会談はやるつもりだ」と言っているのです。
北の将軍様もやっていることもめちゃくちゃですが、こちらの御大将もやっていることはめちゃくちゃなのです。
この状況から推察すると、トランプさんは、おそらく戦争をやりたがっているのか、やりたがっていないのかはよくわかりません。
ただ彼の性格を考えるとやりたがっているのでしょうが、側近や国際社会に止められてやむなく「やっぱり会談をする」とか言っているのでしょう。
この状況証拠というのは「ニューヨーク・タイムズ」への彼本人のリークです。
本音では「会談をやりたくない」と言っているのですが、側近に止められて「やっぱりやる」と言っていると推察することができます。
今の状況の理解
報道されているような平和に向けての解決の模索ではなく、もはや一触即発の状況なのです。
その試金石は米朝会談が開催されるか、されないのか、になるのです。
おそらくトランプさん自身はあの短気な性格ですから、「戦争をやってしまえ」と思っているでしょうが、米朝会談が行われないということになれば一気に緊張状態が高まるので、あとで「やっぱりやる」とか言い出すのです。
今後のトランプさんの側近も、また不仲が表面化するのでしょうね。
側近が止めれば、止めるほどトランプさんは機嫌が悪くなるのはいつものことです。
北の大将も面倒くさいですが、こちらの大将も輪をかけて面倒くさいということを認識するべきです。
つまり皆さんが想像しているほど状況は甘くなく、いつドンパチ始まるかわからない状況まで行っているということです。
その時には金が下がる訳が無いのです。
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