今回は、今の金の価格は主に何を見ておけばよいのかという解説です。
リファスタでは重要な指標のコラムとなります。
3月15日、金価格が急落
3月15日、円建て金価格は円安だったのでそれほどは下がらなかったのですが、ドル建て金価格が急落しました。
以下のグラフはドル建て金価格の1年間の推移です。

金の価格は人民元を見ておけばよい
今回の急落はなぜ起きたのでしょうか。
下記のグラフは、3月15日から翌16日にかけてのドル建て金価格(緑)とドル人民元(青)です。

人民元が安くなれば(上方)金の価格は遅れて下落し、反対に高くなれば(下方)金の価格は遅れて上昇しています。
これを原油と対比させれば明らかです。

人民元が下落(上昇)すれば原油価格は下がり、反対であれば原油価格は上昇するということです。
今の穀物、エネルギー、貴金属相場は、人民元の動きを横にらみで動いているのです。
インフレの背景にある人民元高
この要因は以前にも解説したとおり、人民元が高くなればより多くの物品を買えるということです。
つまり今のエネルギー、貴金属、穀物の相場は、中国の買い付け次第で動いていて、中国が買い付けるのはより多くの物品が買える人民元高のときということになります。
下記の1年間の人民元と原油で見れば、人民元高になれば原油高になっている相関関係がよくわかるでしょう。

昨年7月以降に原油価格が上昇してたのは、人民元高が影響しているのはわかると思いますし、また2月24日のウクライナ侵攻以降に原油が急騰したのも人民元高の影響です。
金も同じで、金のドル建て価格は人民元にリンクをしています。
つまり従前の金の価格構成要因【1】ドル、【2】金利、【3】GDP(国内総生産)よりも、人民元の影響がより強くなっているということです。
円建て金価格の場合
下記はドル円の1年間の足です。

見ていただきたいのは期末、つまり3月末、6月末、9月末、12月末、そして現在の3月末です。
気づくことは、非常に明快で期末ごとに円安になっているということです。
わずかに2021年の9月末には円安になっていませんが、ほかの期末は円安になっています。
そして期末が終了すると円高に反転している。。。
これは、毎期末ごとに日本政府、財務省がアメリカ国債を購入するために、その購入資金をドル転するためにドル円市場で円を売ってドルを買う行動に出ているためと考えます。
すなわち、3月であれば4月までは円安になる可能性があり、その間、円の金価格は上昇しやすいが4月には円高によって急落する傾向がある、ということです。
このセオリーを覚えておくとよいでしょう。
参考までに去年の9月末に円安にならなかったのは、東京オリンピックのパラリンピックが開催されていたからだと思っています。
中国の資源の買い付けは莫大

今のインフレをバイデン大統領はプーチン大統領のせいだと喝破していますが、リファスタでは本当は中国の爆買いが原因だと考えています。
環境資源のレアアース、主に重希土類レアアースは中国が資源利権の世界9割を保有しており、環境資源残高は中国が圧倒的な1位。
そして、そのほか一般資源の確保も中国次第となっており、まさに資源大国です。
この資源利権は、今後の環境技術の発展に大きく寄与することになります。
理由は、資源が欧米や日本よりもより多くの資源を確保できるという点では圧倒的な優位を持っているからです。
そしてロシアも原油、天然ガス、小麦などの世界有数の産地であり、こういう一般資源を安く仕入れられる環境は、今回のウクライナへの暴挙につながっているのです。
石油ショックとウクライナ侵攻

1987年に発生したアフガニスタン侵攻は、ソ連がオイルショックで儲けたことが背景にあるという見方が一般的です。
しかしアフガン侵攻の長期化が結局、ソ連の崩壊を早めたことをプーチン大統領が知らないわけがありません。
つまり、ある程度の目的を達成すれば撤退するでしょう。
近年の戦争は平均で97日間、つまり3ヵ月です。
侵攻を開始してから1ヵ月前後でプーチン大統領も決着がつくとは思っていないでしょう。
結局、資源を大量に握る中国、ロシアが長期的には有利になるものと考えられます。
この記事のまとめ
今回の記事では現在、金や原油価格ほか穀物などは人民元に連動していることを確認。
すなわち人民元が高くなれば金価格は上昇、人民元が安くなれば金は下落になっている。
今世界の資源を握っているのはこの中国と現在ウクライナに進行中のロシア。
このウクライナ侵攻には、かつてのソ連のアフガン侵攻の際と似たような背景があるものと見受けられる。
つまりは石油ショック。
今回の侵攻もアフガン同様に泥沼化すれば、国家崩壊につながる可能性がある。
しかし長期的には資源を握る中露が有利になるだろう。
こういう内容の記事でした。