目次
今回は、欧米諸国や日本を中心とした西側諸国と中国を筆頭とした東側諸国の対立によって、経済および金市場がどうなっていくかを解説していきます。
ゼロサムとプラスサムとは?

まず、ゼロサムの世界とプラスサムの世界という思考方式の違いについて考えましょう。
民主主義以前の政体は封建主義でした。
日本でいえば江戸時代です。
江戸時代の統治方式とは、将軍を筆頭に諸大名が各地で政治を行い、領民に税金を課すことで成り立っていました。
農民たちには政治に参加する権利がなく、大名や武士は政治に参加できるという形態です。
農民から税金を取ること、つまり他人から利益を奪うことによって政治が成り立っていたのです。
明治時代から戦後にかけて小作人が解放されたり、婦人の参政権が認められたことによって、国民全員が政治に参加できる権利を得たのが政体の変化になります。
日本は富国強兵によって飛躍的な成長を遂げたという見方もありますが、一方では国民全員が利益を取ろうとした結果、飛躍的な成長ができたという見方も成り立つのです。
江戸時代以前が他者の利益を自分に付け替える社会なのに対し、現代社会は皆で皆の利益を取ろうという社会ということになります。
前者をゼロサム、後者をプラスサムの社会と言うのです。
マーケットにおけるゼロサムゲームとは?

マーケットでは、一般的に信用取引や先物取引がゼロサムゲームと言われます。
これは、各取引参加者がプールした証拠金を互いに奪い合うゲームなのでゼロサムになります。
例えばFXは先物取引の一部であり、勝者になるのか敗者になるのかの色分けがはっきりしています。
そこには勝者総取りの世界観があり、ゼロサムゲームになるのです。
こういうマーケットはよくないというのが議論の中心であり、株式の現物取引のように、株価が上昇すれば皆が儲かるプラスサムが理想だということになるでしょう。
プラスサムとゼロサムを現代社会に当てはめると…
プラスサムとは皆で豊かになろうという社会、ゼロサムとは他人から利益を奪って自身に付け替える社会という理解は進んだでしょうか。
他人の利益を自身に付け替えるゼロサムよりも、皆で豊かになろうというプラスサムの方が圧倒的に明るいのはなんとなく理解できるでしょう。
では、ここでNY株式のチャート50年分をご覧ください。

ソ連とアメリカの東西冷戦が終了したのは1989〜1991年、ベルリンの壁崩壊は1989年11月です。
その前後から株価の上昇が始まっているのはおわかりになるでしょう。
そして経年するたびに株価の上昇は大きくなっています。
これは、上記で説明したプラスサムとゼロサムの違いになります。
東西冷戦とは東側と西側に分かれて、日本の江戸時代のように農家から利益を奪って自身が儲かるようにしたシステムでした。
東と西でそれぞれ異なる経済圏を形成し、その中で経済を回していたのが1990年前後以前の世界で、株価は低迷したままというのがわかるでしょう。
それ以降は世界が一体となって協力し合ったプラスサムの時代となり、大きく株価が上昇したと考えるとどうでしょうか。
ゼロサムの社会は搾取される側にメリットはなく、全体としても豊かになるペースがプラスサムと比較してあまりにも遅くてメリットがありません。
西側の主導でゼロサム化する世界

過去の経緯がわかったら、現状分析に入りましょう。
今、アメリカやEU諸国、日本などの西側同盟が何をやっているのかといえば、世界でロシアを孤立させ、デカップリングしようとしています。
そこに東の盟主である中国も加わろうとしているのです。
つまり今までプラスサムの社会だったのが、以前のようにゼロサムに回帰しようとしているのが現在の流れです。
ロシアの侵攻は許す余地のないことですが、だからといってアメリカがゼロサムの世界を主導しようとするのもまたおかしな話ではないでしょうか。
先日のバイデン大統領訪日の際に、台湾への軍事侵攻を防衛すると明言したように、明らかに中国を仮想敵国として意識しています。
この流れが本当に正しいのか、上記の株価を見れば誰もが思うでしょう。
デカップリング、ゼロサムを続ければ、また昔と同じような変な社会になってしまうのです。
金価格と東西冷戦の関係は?

金は上記のグラフのとおり、株式とは違って1989〜1991年の冷戦終結を境に大きく値段が変わったということはありません。
ただし、ITバブル崩壊や9.11以降に大きく値段が上昇しています。
これは金利が低下したこと、金融緩和を積極的に行ったことと大きく関係しています。
金は再び東西冷戦が勃発したとしても、大きな価格変化はないと考えられるでしょう。
ゼロサム世界で金価格はどうなる?

今までプラスサムだった世界が東西冷戦が再びスタートすることによって、世界的な景気の低迷が予測されることになるのではないかということが今回提起したい問題です。
ロシアを世界経済からデカップリングすることによって、ロシアが長期的に低迷すると一般的に言われていますが、それは私たち西側諸国に跳ね返ってくるということが言いたいのです。
つまりプラスサムという協力体制になったものが、ゼロサムの世界に戻ることで世界の景気が縮小すると言いたいのです。
おそらく金は、現金の価値が高騰することによって値段が下がるのではないかということになります。
ただしこれは将来の話であり、近い未来はまだまだ金価格は高騰するでしょう。
この記事のまとめ
今回の記事では、日米欧を中心とする西側陣営と中ロを中心とする東側陣営の対立の深まりから、世界は再び東西冷戦時代へと逆戻りしようとしていることを確認。
すなわち、現況のプラスサムの世界からゼロサムゲームの世界への後戻りになる。
これが意味することは世界経済の縮小。
ただし金相場に関して言えば、過去の米ソ冷戦時代の価格推移に照らし合わせれば、大きな影響はないものと思われるが、現金の価値高騰によって値段が下がるのではないかと考えられる。
こういう内容の記事でした。

















