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バイデン新大統領の手によってアメリカの分断が解消されるのかという命題は、2021年の関心事の一つに数えられることでしょう。
今回は注目のアメリカ分断の行方について、そして金相場との関連についての解説します。
なぜアメリカで分断が起こるのか?

トランプ政権時から顕著になった政治的分裂、そして人種的分裂がなぜ起こったのかを分析しなければ、その解決など図ることはできません。
そのためには、分断に至った経緯を知るほかないはずですが、ほとんどの専門家は単に現状を分析し、それを担保に議論をしています。
これは痛風が足の痛みの原因なのに、一生懸命がん治療を行うことと一緒です。
痛みの原因を特定することによって完治が実現するのに、ただ現状を分析して解決方法を探ろうとしています。
要するにアメリカが政治的、人種的に分断しているのはその歴史に起源があり、その原因を特定することによって解決する他無いのに、歴史を見ずに現状がこうなっているから解決方法はこうだとやっているのです。
分断の原点

アメリカの分断の原点とは、1964〜65年に制定された公民権法、投票権法に由来すると考えています。
人種差別はよくない、それを法的に禁止した法律が公民権法になり、黒人にも投票権を与えたのが投票権法でした。
この法律が成立して以来、アメリカでは人種差別などが禁止されています。
日本では1980年代に男女雇用均等法、南アフリカでもアパルトヘイトが廃止された流れの源流ともいえる法律です。
これは誰しもが納得の法律であり、人であれば、そしてアメリカ市民であれば誰でも投票権を有すことができるし、肌の色や人種、性別によって差別を行ってはならないということが決まったのです。
ここから分断が始まったというのは不思議だと思う方が多いでしょうが、これが契機と考えるのが妥当と考えます。
南アフリカで今起こっている不条理

南アフリカでは、ネルソン・マンデラが「虹の国」として人種差別を撤廃しました。
しかし、その結果として何が起こったのか?
人種差別を撤廃するために黒人労働者が一斉に白人労働者の職場に乗り込み、その職を奪っていきました。
極端な話、ハイスキルの職場には、長年にわたり職歴を重ねた高学歴な人が就いた方が効率がよいことは言うまでもないのですが、雇用均等を是に白人を一斉に追い出し始めたのです。
結果、企業や役所の効率性は散々たるものです。
しかし、役所や政府の雇用均等を実現するためにできた政権ですので、そのために政令や法律などを制定してさまざまな規制を課す、結果としてますます非効率になり、経済が停滞するという現状になっています。
おそらくトルコでも今、こういったことが起こっていると推察します。
「理想」が生んだ「最悪」の拡大再生産

人種差別撤廃という理想の世界に、現実が着いていっていないことが南アフリカのような例になる原因です。
また人種差別がなくなり、逆に失業する人たちもいます。
今まで人種をはじめとする差別の撤廃を訴えて政治運動を行っていた活動家などです。
この人たちは差別の反対運動という名目の下に支援金を募っていたのですが、それが実現すれば仕事はなくなります。
そこで何かほかの仕事を探すか、もしくは最悪なことを始めるのです。
それは今までの人種差別反対運動の組織を進化させ、さらに黒人などの権利を擁護する団体を作り上げることです。
今まで差別されていた人たちは法律を変えてもすぐに生活が良くなる訳がない、だからその人たちを支援するんだという運動になります。
これが現状のアメリカや南アフリカで起こっていることなのです。
宗教と言語に見るアメリカの根本

アメリカは、バイデン新大統領がバイデン家に伝わる分厚い『聖書』に手を置いて大統領宣誓式を行ったことにも代表されるように、れっきとしたキリスト教国です。
信教の自由は保障されていますが、基本的にはキリスト教の解釈教義によって国家が成り立っています。
そこにムスリムが全くキリスト教の規範に沿わず、イスラム教を信奉すればアメリカ人はなんと思うでしょうか。
そして今、全米で強力に人口を増やしているヒスパニックとはスペイン語を話す人のことを指します。
アメリカは独立戦争や南北戦争などさまざまな経緯があって、英語以外の言語を母国語としないことが決まっています。
ところが最近は、スペイン語しか話せないアメリカ人が増えているのです。
アメリカ人からすれば、そんな人はアメリカ人ではないというのが本音でしょう。
移民と補助プログラム

アメリカが移民を受け入れた背景に、その移民たちにアメリカ化教育を施したことがあります。
有名な人では自動車会社の創業者ヘンリー・フォードであり、労働力不足を補うために移民を受け入れ、彼らにアメリカ化教育を施しました。
結果として全員がアメリカ人として英語を話し、キリスト教文化を信奉しなくても文化を受け入れることによってアメリカに受け入れられたのです。
しかし、公民権法によって国境や人種、カルチャーによって差別を受けてはならないことになってから、失業した人々がこの人たちに何をしたかといえば、補助金プログラムを始めました。
アングロプロテスタントの不満

これに対して、今まで伝統的にアングロプロテスタントとされていた白人アメリカ人は、何の補助もなく一生懸命働く他無くなったのです。
反対に、移民は賃金こそ安くとも失業後にさまざまな支援プログラムを受け入れることができます。
そして、文化や言語を受け入れない移民さえ増えてきました。
問題の本質として、何の支援も受けられないもとから住んでいるアメリカ人が、人種が違うというだけでさまざまな公的サービスを受けられる移民に対して不満を募らせるのは当然のことと言えます。
こうした人々が、トランプ政権末期にキャピトルヒル占拠という暴挙に出たのです。
ブラックライヴズマターの本質

一方、生活が出来なくとも何とかなるのが差別されている側の問題です。
失業しても、なんだかんだと言って政府の支援を受けることができる人たちがまじめに働くでしょうか?
もちろんアメリカドリームを目指している人はまじめに働きますが、そうでない人は何を始めるのか?
それが昨年大問題となったブラックライヴズマターの本質です。
白人の警察官が黒人の首根っこを押さえて死亡させたことに端を発する事件になりますが、背景にはもちろん移民の生活環境が安定しないことがあります。
しかし、白人側から見れば、これだけ移民に施しを与えているのに【なんで悪さばかりしているんだ】という怨嗟が原因だろうと見ています。
誰だって法律で決まっていることを違反したくはないですが、あまりにも目に余る、自由を認めているからって何をやってもいいというわけではないですし、また援助のし過ぎによってダメになる移民も多数存在するということです。
リベラルの本質

さて、こういうことをやっている人々の代表がリベラルだと言えます。
ほとんどの人は、リベラルの「世界を平和に」、「差別のない世界を」という美辞麗句に酔いしれますが、そういうできもしない理想を訴えることによって儲かる人たちがいることは確かなのです。
本当に明日の食糧がなくなっている人に支援をすることになら保守派も賛同しますが、今の「10万円寄こせ」と騒いでいる連中には、「大して困ってもいないクセに何甘えたことばかりぬかしているんだ!」が答えでしょう。
要するに今のリベラルというのは、高邁な精神を謳いながら、実際にはダメ人間を生産させているということなのです。
「人を助けて悪いのか?」と問われて敢然と反論できる人はそうはいないでしょう。
そういうことを背景に、人間をダメにさせている製造を請け負っていると言えます。
バイデン新大統領の認識は?

アメリカの国際政治学者で調査会社ユーラシアグループ社長のイアン・ブレマーは、恒例の年初予想のトップに今年最大のリスクとして第46代アメリカ大統領を挙げました。
これはもちろんバイデン新大統領を指します。
彼の予想が注目されるのは当たるからです。
バイデン新大統領は、就任演説で団結(ユニット)という言葉を多用しました。
バイデン政権は大きな政府を目指し、増税をしてヒスパニックや人種的に恵まれていない人たちへの支援は拡大するでしょう。
しかし、キャピタルヒルを占拠したような大多数の白人に対して支援が拡大するかと問われれば、答えは「ノー」となります。
理由は政治的なメリットが何もないからです。
彼らを助けて票が得られるかという現実を天秤にかけた時、50年間政治家を続けてきた彼がそれをやるかという問題です。
やるわけがありません。
バイデン政権の4年間は世界最大のリスク?

アメリカの分断は、そんな白人たちの利益を代弁してくれるトランプ前大統領の登場によってやっと始まったばかりです。
つまり、トランプ前大統領が去っても運動自体はもっと盛り上がるでしょう。
キャピタルヒルを占拠した人々を激しく非難したバイデン新大統領は、この時点で白人の低中所得者の支持を失いました。
カマラ・ハリス副大統領が次期大統領になったとしても、この人たちは忘れられた存在になるでしょう。
要するに議会を介した政治決定、主に予算に関しては、バイデン新大統領の思い通りにはならないでしょうし、2年後の中間選挙は下手をすれば上下院も共和党になるでしょう。
ここからの2年間も何もできないと予想されているのに、さらにその2年後はもっとひどくなる…。
イアン・ブレマーの言う今年最大のリスクといよりも、バイデン政権の4年間は世界最大のリスクになりかねません。
問題の本質を見抜けないバイデン新大統領には分断の解消は無理ではないでしょうか。
「団結」と言って自分の支持者には支援を手厚くし、支援しても政治的なメリットがない白人は無視するのが彼の政治姿勢、それを狡猾にやるだけでしょう。
分断解消の行く末

結局、アメリカ政治への不信が高まる4年間になりそうです。
金は最終的には暴落するでしょうが、それはドルが強くなることにつながります。
そのドルを強くするためには、この公的な支援をなくすというのは言い過ぎになりますので、言えることは支援を平等にしなければいけないということです。
さもなくば分断は解消されないでしょう。
結局、政治的には大きな政府を目指す民主党と小さな政府、いわゆる支援が少ない社会、政治を目指す共和党は対立を深めるだけ。
これはアメリカのイデオロギー、アイデンティティーの問題であり、この対立を歴史上克服してきたからアメリカは世界一の覇権国家となれたのです。
バイデン政権で金はどうなるか?

いずれ分断を回復させる道筋をアメリカは見つけるでしょうが、問題はまだ始まったばかりです。
むしろこの問題の原因さえも現政権は認識できていないのですから、始まってさえいないとも言えます。
この問題の原因認識がコンセンサスとして成立すれば、もともと世界から移民を受け入れてきた多様性のある社会ですから立ち直りは深いでしょう。
では金は具体的にどう考えればいいかと言えば、バイデン政権となった以上、増税によって国家の尊厳は担保されるでしょう。
しかし赤字はずっと無くならないということですので、目先は高すぎる金は訂正されるでしょうが、結局4年間の治世は、また上がり始めるという相場観に変更はありません。
この記事のまとめ
今回の記事では、バイデン政権が目指すアメリカの分断の解消は4年の任期中に成し遂げられようはずがない。
むしろこの4年間は、世界にとって最大のリスクになる可能性すらある。
現在の金価格は実態よりも高すぎるのでいずれ訂正に入るだろうが、その任期中にはまた上がり始めることだろう。
こういう内容の記事でした。















