目次
緊迫の度合いを深めるウクライナ情勢。
今起こっていることは歴史を知ればわかることです。
第一次世界大戦とパンデミック

2月23日現在、コロナ感染者数はどこの国が多いのかというと、答えはドイツとロシアです。
ここでピンと来た方は歴史をよく知っていると言えます。
この意味は、第一次世界大戦勃発の経緯を知っておくということが大事なんです。
バルカン半島のサラエボでオーストリア帝国の皇太子が殺害されたことは誰でも知っていることだと思います。
しかし第一次大戦が終了した裏の理由がスペインかぜというパンデミックが蔓延したことだと知っている方は、ドイツとロシアで蔓延が拡大していることに危機感を覚えるでしょう。
第一次大戦の戦死者数よりも、スペインかぜというパンデミックの死者の方が多かったのです。
大戦はアメリカ参戦によって勝敗が決した側面がありますが、そのアメリカ兵がこのスペインかぜを持ち込んだ可能性が高いことが現在明らかになっています。
2つのパンデミックとアメリカ

第一次世界大戦当時の大統領は、国際連盟の設立者として有名なウィルソンです。
平和と人権を掲げてアメリカ主導で国際連盟を立ち上げましたが、当のアメリカが不参加でその構想が瓦解しました。
今のバイデン大統領が所属する民主党の創始者のような存在になります。
ウィルソン大統領がこの兵士の疫病を知っていたか否かは議論の分かれるところですが、ある程度の傷病を承知してヨーロッパに派兵したことは事実です。
結局、前回のパンデミックはアメリカが拡大させたようなもので、今回も世界的なパンデミックを招きました。
アメリカは世界最高峰の研究機関であるCDC(アメリカ疾病予防管理センター)を抱えていますが、実際の対策は新興国以下の対策しかでないのであのような被害になっているのです。
確かに今回のパンデミックは中国が発生起源と思われても仕方がないのですが、感染を拡大させたのはアメリカと言われても仕方がありません。
言えることは、戦禍がパンデミックを拡大させたことであり、現状のロシアとドイツでの感染拡大には戦慄を覚える理由です。
湾岸戦争とアメリカの復権

1970年代にオイルショックがありました。
その前には1810年代に産業革命があり、石炭の時代でした。
1970年代のオイルショックとは石炭から石油への流れを加速させ、1990年代には半導体革命がインターネット、IT革命をもたらします。
そして現在は環境革命です。
- 1810年代:産業革命(石炭)
- 1970年代:オイルショック(石油)
- 1990年代:半導体,IT革命(電力)
- 2000年代:環境革命(脱炭素等)
蒸気機関の発明は石炭開発が主になりますが、まだその石炭はヨーロッパ各地にありましたし、帝国主義時代でもあるので植民地から持ってくればいいだけの話です。
1970年代のオイルショックでは、アメリカがセブンシスターズを使い中東の支配権と採掘権を獲得していたわけです。
ところがベトナム戦争によってアメリカが疲弊し、産油国の台頭があり、オイルの支配権を取り戻します。
そして1990年代までアメリカの石油支配権は後退したままでしたが、イラクのクェート侵攻によって起こった湾岸戦争によってある程度の支配権を回復させました。
そこからアメリカの覇権が復活したのです。
覇権の根幹にあるのは資源と基礎技術

一方でアメリカはインテル発祥の半導体によってインターネット時代の先鞭をつけました。
しかし日本の半導体が勢いを増し、結果として日本の半導体はアメリカの指導により韓国や台湾に売却されます。
当時のクリントン大統領が日本に対して強硬な姿勢を取り、よく日米貿易摩擦が取り上げられたことを覚えている方は多いでしょう。
その結果、アメリカは大幅な財政赤字を解消して黒字に転換しました。
1970年代に大きなインフレによってアメリカの景気は後退し、金利は長期金利10年物で10%を超えていたのもこの時代です。
これはベトナム戦争によって財政がひっ迫し、さらに石油革命によって思うように産業の転換が進まなったことが原因でした。
石油を安く手に入れられることがアメリカ再生の条件でしたが、それが叶わず衰退していたのです。
ところが1990年代に半導体によってもたらされる利益によって、クリントン政権は財政黒字を達成しました。
このときは基幹技術を日本が持っていたから、日本を叩くことによってアメリカは力をつけました。
そして湾岸戦争でも圧倒的な勝利を収めたのです。
基礎技術と資源を獲得することは、歴史からも大事なことだということがわかるでしょう。
環境政策を制する者が世界を制する?

バイデン政権の一番の要諦は環境政策です。
流行の電機自動車(EV)や風力発電、などの最新技術には資源が必要なことがわかっています。
EVであれば電気で動くので銅=カッパーが大事ですし、効率よく動かすのには磁石が大事な資源になります。
リニアモーターカーが時速500キロ以上を出せる理由は、磁石が大事な資源です。
EVを効率よく動かそうとすれば今度は必ず磁石、原料はジニウムと言うレアアースの一種が必要になってきます。
風力発電にしても少ない風でも大きく風車を動かすためには磁石がマストのアイテムです。
その資源のほとんどを中国が採掘権や精製技術を持っているのです。
レアアースと中国の人権問題

レアアースを巡るトラブルは日本でもありました。
その当時、世界の9割のシェアを握っていた中国は、現在は6割まで低下しています。
ただし重要なこととして、レアアースは軽希土類と重希土類の2種類があるのです。
環境技術に必要なレアアースのほとんどは重希土類にあり、その採掘権、精製加工技術はほとんど中国にあります。
アメリカはウイグルなどの人権侵害を訴えていますが、そのレアアースの加工は中国でしかできないのが現状です。
レアアースが保有する放射線などの危険物質の除去が先進国では人権問題となり、技術はあっても先進国では精製加工ができません。
つまり人権にうるさくない中国で精製加工を行う他ないのです。
米中対立の根幹にある環境資源争奪戦

環境資源は中国が握り、アメリカはそれを安く調達できないから困っています。
石油ショック後にアメリカが衰退したのはベトナム戦争の責任もありますが、本当のところは石油革命に必要な資源が安く獲得できなかったからです。
その後、半導体の生産には綺麗な水と電気がマストになるのですが、それを湾岸戦争で安く石油を獲得することができることによって、インテルなどの優秀な企業が多く生産することができました。
もちろん、その間に優秀な技術を持っている日本企業を叩き続けたのも忘れてはなりません。
つまり安く環境資源を調達できる中国とアメリカ、どちらが有利かという問題なのです。
今、石油の支配権を握っているのはロシア

石油の支配権の問題も絡みます。
石油の支配権は1970年代にアメリカから中東、OPEC(石油輸出国機構)に移譲されました。
ところが2020年に石油価格がマイナスになった原因はロシアです。
OPECプラスでアメリカの要請を受けてサウジアラビアが増産を提案をしましたが、ロシアが強硬に反対しました。
結果、サウジはOPEC無視の増産をし、結果はマイナス価格になったのです。
この過程を見ればロシアが石油の主導権を握ったと言えるでしょう。
石油生産国の1位はアメリカ、2位はロシアです。
生産量から言ってもOPECプラスの主導権はロシアにあり、中東の盟主のサウジの力は後退しています。
つまり、石油の支配権は中東のサウジからロシアに移行している最中なのです。
ウクライナ問題は米ロの石油支配権の代理戦争

この説明を読めば、なぜアメリカが中国とロシアと対立するのかわかるでしょう。
ウクライナ問題は、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大が問題と双方が主張していますが、本当はアメリカとロシアの石油支配権の代理戦争なのです。
アメリカは議会が反対しているので石油やガスを輸出できません。
しかしロシアはエネルギーを輸出の主要品目とし、それが国家戦略になっています。
ロシアからすれば『輸出もできないのにアメリカは偉そうにするな』というのが本音でしょう。
ウクライナ危機と台湾危機の違い

中国が台湾に侵攻するメリットもありませんし、その可能性も限りなく低いものです。
なぜなら台湾は民意によって民主主義・自由主義を選んでいるので、ウクライナの親ロ地域とまるで違います。
中国が台湾に侵攻しても台湾人の猛烈な抵抗にあい、戦争は長期化するでしょう。
そのコストと利益を天秤にかけるとコストばかりが膨らみ、メリットがまるでない状態です。
『天に唾を吐いて、足にピストルを撃つ』と同じようなモノ。
それでも毛沢東と鄧小平の遺言によって台湾は中国のものと主張するでしょうが、もはやメンツの問題に過ぎません。
民主主義と自由が普及した地域では独裁を通すことはできない、それはロシアも中国も認識しているでしょう。
だから、香港は自由や民主主義が普及する前に叩いたのです。
あの程度の流血であれば共産党にとってはメリットの方が大きいということになります。
ウクライナ危機ではウクライナに非がある

ところが、ウクライナは台湾とは違います。
【自分たちで親ロに加わると地域住民が表明し、それをウクライナが攻撃した】どっちが悪いのかという問題です。
自分たちで決めたことをけしからんといい、武力制圧しようとすることはアメリカの価値観にも合わないでしょう。
どちらに非が有るでしょうか?
アメリカは対抗するといっても軍隊を派遣せず、ポーランドなどの関係のない地域に送るのです。
侵攻してきたら対抗するといっていますが、軍事準備が整っているのはウクライナだけ。
仮に西側が親ロ地域を支配すれば、内戦でどうにもならなくなるのは見えているので、戦争などやる気がないのです。
衰退が明確になったアメリカ

アメリカが吠えているのは、ロシアに行ってしまった石油支配権を少しでも戻そうという試みだと考えます。
でも、どう考えてもアメリカが石油、ガスの輸出を開始しなければ難しいのはわかりきっています。
環境政策を掲げるバイデン大統領にとって、石油ガスの採掘は環境を著しく劣化させることがわかっているので輸出振興などできっこありません。
採掘を許可しているのはいずれも環境に悪影響が出ない国有地に限り、民間はそれを認めると自身の政策を否定することになるのでできないのです。
要するにウクライナも負けがほぼ決定し、中国にも資源調達で負け、アメリカの衰退ははっきりしているのですが、強いフリをしているだけです。
アマゾンやアップルなどの先駆者的な革命はすでに終わっています。
次世代のITを開発しないとアメリカの明日はないでしょう。
この新しい形のインフレの中で金は?

アメリカがロシアのエネルギーや中国の環境資源の獲得に動くことは明白です。
中国に頭を下げて環境資源を獲得することがバイデン大統領にできるでしょうか。
万が一バイデン大統領が頭を下げれば、次の選挙で民主党はボロ負けでしょう。
だから、ファイティングポーズを崩すわけにはいかないのです。
つまり世界的な物資不足は続き、モノの価格は上昇します。
相対的に通貨の価値は下がるというのが通常の経済学です。
本当は今回のコロナパンデミックでこれだけ現金をばらまいたので資源価格が上昇するのは当然のことなのですが、今回のインフレが違うのは通貨高を伴うという新しい形のインフレなのです。
インフレを抑えるためには通貨の発行を減らし、金利を上昇させればいいのですが、今のインフレは金の需給では動かないことは散々に説明しています。
果たして金はどうなるのか?

おそらく金も石油、ガスも世界中にじゃぶじゃぶにあります。
ところが下がる、一体何で動いているのかということです。
言えることは、これだけ通貨がじゃぶじゃぶになれば、価値が下がると踏んだ人の買い占め合戦になっているのです。
現在金が上昇していますが、これは買い占めのスタートなのか単なる人気なのか微妙なところ。
言えることは、この状態では金は今までであれば下がって当然ですが、下がらないということです。
投資家としては、いったん下がってから上昇してほしいというのが本音でしょうが、どうなるのかは少しわかっていない状況になります。
この記事のまとめ
今回の記事では、今の世界は環境資源を巡る米中の対立、石油の支配権を巡る米ロの対立の中にある。
しかしこのいずれの対立においても、分が悪いのはアメリカ側。
そしてウクライナ危機にしても、米ロの石油を巡った代理戦争。
ウクライナも負けがほぼ決定し、アメリカの衰退は明確になったと言えるだろう。
金について言えることは、この状態では今までであれば下がって当然だが、下がらないということ。
こういう内容の記事でした。
















