目次
金の高騰がいったん終了したように見えます。なぜ、金の高騰は終わったのでしょうか。もちろん、時間の経過とともにまた高騰するでしょうが、それはいつになるのでしょうか。
この記事の要約
今回の記事では、資産運用の視点から、金相場の再高騰の時期を探っていく。
まず重要になるのは、リスク資産と安全資産間の資金の流れ。
現状、これ以上の大きな破綻や信用不安がなくなったので、金利安・ドル安はしばらく落ち着く。
ゆえに金利安もドル安もひと段落して動かない、GDPの見通しは時間の経過とともにはっきりしなければ金を買う材料がなくなった、というフェーズにある。
投資家は、まだ先行きに不安があり、金も少し高いので買いたくない。
そこで注目は、自動車販売優遇税制に後押しされる自動車製造に不可欠な白金(プラチナ)とパラジウム。
金再高騰、最初のシグナルはこの白金とパラジウム価格の高騰が落ち着いた時。
次に、この金融不安の実際的影響がはっきりした時。
そして、各国中銀の金買い付けや中小企業の景況感等を考慮に入れると、ずばり6月末から7月上旬。
では、具体的な原理を追っていきましょう。
「リスク」と「安全」、2種類の資産と運用の流れ

世の中には、大別するとリスク資産と安全資産の2種類の資産があります。
安全資産とは主に預金や債券で、その名の通り安全に運用するお金を指します。
一方でリスク資産とは、元本が保証されない運用資金を指し、主には株式運用を指し、金の運用もこれに当たります。
この他に買い物や決済に必要なお金を実需といい、保有しているだけでは利殖できないので、上記の資産には含みません。
資産運用の世界では、安全に資産を運用したい時期、反対に元本にリスクを負ってでも大きく運用したい時期があります。
例えば先般のコロナショック時など、明日がどうなるのかわからないような時期には、人々は元本割れのリスクを負ってまでして資産を運用したいと思いません。
この場合、債券や預金といった安全資産に流れ込みます。
一方でコロナ禍が一巡すると、リスクを負ってもお金を増やしたい人が多くなってくるのはわかるでしょう。
このように、安全資産からリスク資産に流れる動きを「リスク選好」または「リスクオフ」と言い、反対にリスク資産から安全資産への流れを「リスク回避」または「リスクオン」と言います。
現在、資産がどちらに流れているのかを見極めれば、金の続伸がいつ止まり、どこからまた上昇し始めるのかがわかるでしょう。
現在の資産の流れは?

現在の流れで話題になっているのは、言うでもなくSVB(シリコンバレー銀行)破綻から発生した金融不安です。
安全資産である預金が元本割れになる可能性があれば、人々は一斉に当該の銀行から預金を引き出そうとします。
銀行の前に行列を作り、我先に預金を引き出そうとすることを「取り付け騒ぎ」と言いますが、これが現代的ではないことはおわかりでしょう。
今やスマホ一つで預金の操作ができる時代。
モバイル環境からワンクリックでその預金を引き出して、つぶれる可能性が限りなく低い大銀行に預け替えを行います。
例えばアメリカの場合、JPモルガンやCiti、ウェルズファーゴのような超大手行の金利は、日本とほぼ同じ0.001程度。
預金者は、多少の損は覚悟で大手に預け替えるわけです。
一方、こういった金融不安が起こる中、金の需要が伸びると思った人は、元本リスクが存在しますが、金を買うでしょう。
こうした流れが一巡したところから金の買い、高騰がひとまず目先は終了したのではないか、という流れが起きるのです。
もちろん、再び中小零細銀行の経営不振が伝えられれば、また買われることになるでしょう。
この金融不安で金価格の構成要因はどうなった?
金の価格とは、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
+需給
によって構成されています。
金融不安が起こった場合、それぞれの項目がどうなるのかを考えていきましょう。
今回の場合は、中小零細銀行の預金不安です。
その証拠に、超大手行にはその不安がないので預金が集中しています。
まず【1】ドルの場合、中小零細銀行にお金を預けるのが不安なだけなのであって、現金を持っていればそのお金がなくなるという不安は解消するので、ドルの価値には変わりがありません。
【2】金利はどうでしょうか。
高金利の中小零細銀行から、超低金利水準の大手行に預け替えになったのですから、金利の水準は下がります。
さらに+需給は、銀行に眠っている資金を現金に換えた人もいるでしょう。
その現金とは、本来は預金通帳に記されている架空の数字で、現物が目の前にあるわけではありません。
ゆえにドルは足りなければパニックになるので、FRBは余計に紙幣を増刷して対応する、つまり現金の供給が増えます。
これはドル安要因です。
上記を総合するとドル安・金利安で、金高騰の原因になります。
しかし現在、大きな破綻や信用不安がなくなったので、この金利安・ドル安は落ち着くでしょう。
よって金の価格も落ち着いた、これが今の段階になります。
GDPへの影響について

一方で【3】GDPは、金融不安が起こり、自分のお金がどうなるのかわからない状態で、人々が真面目に働くことができずに低下します。
これは金の売り要因です。
しかし今や人々は、金融不安の間に減収になった分を稼ごうとしているので、おそらくプラスマイナスはゼロ、ないしは若干のマイナスになるでしょう。
今回の金融不安が終わったと仮定し、少しのマイナスで終わった場合、全体としては大きな影響はないと考えられるでしょう。
しかし一方で、中小零細銀行の経営不安が続くような場合、金は買われます。
そして、中小零細銀行は貸し出しを締め付けるはずです。
理由は、預金が流出しているから融資枠が絞られるはずで、その融資によって設備投資や人員を雇用する動きが緩慢になるはずです。
その結果、長い目で見ればGDPは低下するという見通しが立ち、これによって金が売られる動きがあるかもしれない、という推測が成り立ちます。
注目は自動車関連の白金やパラジウム
現状、金利安もドル安もひと段落して動かない、GDPの見通しは時間の経過とともにはっきりしなければ金を買う材料がなくなった、という動きになっています。
よって金の高騰も終わったという見方も出てきます。
しかしこの先、銀行の融資が厳格化される見通しなので、経済は低下するという展望がある一方、現状は金融不安は解消したという動きもあります。
そうなると、預金に関してはFDIC(連邦預金準備公社)が保証しているので、猛者たちがリスク資産に投資するという流れになります。
ただし、株価は景気の先行きに不安があり、金に関しても少し買い過ぎなので買いたくないでしょう。
もう一度、銀行不安があるかもしれない、という推測もあるので金は下がりにくいのです。
そこで注目されるのが、商品市況の中でも全米で実施される自動車販売関連の優遇税制であり、その自動車の製造に不可欠な白金やパラジウムになるのです。
https://kinkaimasu.jp/lounge/us_tax_preferential_tax_for_automobile_sales_and_competition_for_world_hegemony/
ずっと売り込んでいたので、株や金を買うよりも材料のある方がまし、という判断が働き、今、白金とパラジウムが買われている状態です。
では、落ち着いた金価格が再び高騰するのはいつになるのでしょうか。
一番簡単な見分け方は、この白金とパラジウムの高騰が終了した時でしょう。
白金はすでに落ち着いた状態には入っていますが、パラジウムはまだ続きそうです。
金が再び高騰する時期は?

さらに金相場が再高騰する時期について、具体的に考えていきましょう。
まず、今回の金融不安、実態経済に現時点ではあまり影響がないように見えますが、今後、中小零細銀行の融資が絞られた場合、景気低下のリスクがあります。
これは、確実に中小零細銀行は預金が流出しているので、融資は減ります。
そこで、雇用や設備投資が縮小した場合には景気には悪影響が出ます。
しかし、これはどの程度なのかはまだ推測の域にしかなりません。
まず金利ですが、景気が低迷すれば資金需要が減り金利は低下します。
ドルが安くなったのは、取り付け騒ぎが起こればドル需要が不足するので、FRB(連邦準備制度理事会)が増刷したためです。
この銀行救済プログラムは早期返済が見込まれましたが、実際はなかなか中小零細銀行は返済ができない状態にあります。
ゆえにドル安が続く状態です。
さらに景気が低迷すれば融資の実行を迫られるので、ドルの供給はこれからも多くなるはず。
つまり今後、景気の低迷がはっきりとした時、金の再高騰が始まることになるでしょう。
各国中銀の金買い付けや景況感との関係を見ると
加えて、各国の中央銀行による金買いは毎月、ないしは四半期に1回になっています。
3月31日までの四半期でかなり購入量が増えましたが、今度の四半期は6月30日。
その頃までにはまた購入が増えてくるでしょう。
そうなると、一つの目安としては6月30日辺りまでには、という思惑が成立し、WGC(ワールドゴールドカウンシル)の統計が出るのは7月上旬くらい、ということが読めます。
そして景気の低迷は、中小零細企業の景況は中小企業楽観指数というものがあり、これも毎月5日前後に発表されます。

次回は5月9日発表の予定です。
これが極端に悪化すると、金利の低下によって金が高騰する可能性があります。
いずれにせよ、4月の中小企業楽観指数は悪化しましたが、金は反応が薄いので、もっと劇的に悪くならないといけないのでしょう。
つまりポイントとしては、中小企業楽観指数や毎月月末の中銀の購入量で、最大のものは4半期末の6月末からWGCの統計発表の7月上旬ということになります。
これがずばり、金再高騰のタイミングでなのではないか、と思うのです。
















