目次
本記事では時計を楽しみたい人が知っておきたい基礎知識を時計の歴史や種類、人気モデルについても触れながら解説していきます。
はじめに

昨今、若者の時計離れがしばしばニュースになります。
携帯電話の普及により簡単に時間の確認ができるので、腕時計を身に着ける機会が減っていることが理由の一つと言われています。
ほかにも、高級時計は富裕層のもので普段使いに向いておらず、あまり一般受けしないという主張もあります。
昨今のプチプラ(プチプライス)などのコストパフォーマンスを重視する風潮もあり、日常の中で数十万円から数100万円もする時計を好んで身に着ける人が少数派であることは想像にかたくありません。
一方で、ロレックスのスポーツライン(「スポロレ」と呼ばれる)は正規店の店頭にも陳列されていないなど品薄で、欲しくても手に入らない状態です。
これは、ロレックスやオメガなどの人気ブランドには世界中に根強いファンが存在するため、日本の市場に出回る前に売れてしまうこと、またブランド価値が高いためプレミアム価格が付き、並行輸入品は正規価格よりも高額で取引されているという事情もあるようです。
しかし全体として見れば、今も時計は存在し続けています。
時計の価値とは一体何でしょうか。
本記事を参考に、時計に興味を持っていただけると幸いです。
時計の歴史と進歩
まずは時計の歴史を振り返ってみましょう。
時計の発祥

時計の起源は紀元前のエジプトやギリシャにまでさかのぼります。
ただし、その時代の時計とは日時計や水時計のようなものでした。
自然エネルギーを動力として時計を作るには大きな建材や多額の費用が掛かったため、王様や貴族などの特権階級が学者などに作らせたようです。
その後しばらくの間、時計を作る技術は小さな進化を遂げ続けていくことになりました。
機械時計の出現

現代のような機械式時計が出現したのは12世紀ごろのヨーロッパでした。
主に教会などの建物に取り付ける大型のもので、礼拝の時間を市民に伝えたりするために作られていたようです。
それからかなり時が経過した17世紀から18世紀ごろ、ヨーロッパでは商業活動が盛んになり、宝石商や貴金属を扱う業者が国王の注文に応じて時計を作成していたようです。
職人同士が国王の信用を勝ち取るために切磋琢磨したことで、技術が飛躍的に向上したといわれています。
特に17世紀にはフランスの国王がお抱えの時計職人に作らせた、装飾などを施した懐中時計が貴族の間で人気となりました。
腕時計の登場と発展

さらに時代が進み、腕時計が登場しました。
もともとは、飛行機を操縦する際に携帯しやすく時間も確認しやすい時計を欲していたパイロットが友人の時計職人に注文をしたのが始まりです。
開発したのはルイ・カルティエ、かのカルティエの創業者です。
19世紀に入ると、スイスでパテックフィリップというブランドが誕生しました。
時計好きなら必ず知っている三大時計ブランドの一つですね。
19世紀にはほかにもジラール・ペルゴやオメガなどが誕生しています。
主に軍用の腕時計を手掛けていたようですが、シェアのほとんどは依然懐中時計が占めていました。
腕時計が人気を集めるのは、第一次世界大戦においてパイロットにその携帯性を評価されてからになります。
歩兵や砲兵が高度な作戦を実行するときの必需品として重宝されるようになり、懐中時計からシェアを奪い現在の地位を確立しました。
オーソリティ=権威性から付加価値へ

ここまでをまとめると、時計は歴史上、国王や中世の教会のような時の権力者が地位や権威を誇示し、権力を高めるために時計職人に作らせたものでした。
それが時代とともに装飾的価値や希少性などの付加価値が付いたゆえ、単なる実用品ではなく特別なものとして存在することになったのです。
それでは歴史の話はこれくらいにして、次に本記事のテーマであるこれから時計を楽しみたい方に向けた3つの楽しみ方を解説していきます。
その1 ~時を刻む芸術品として楽しむ~

前述の通り、時計は実用品であるとともに時の権力者がその地位を示すために所持したものであり、その時代の最新技術を取り入れた「芸術品」としての価値があります。
この考え方の一部は現在まで脈々と受け継がれており、さまざまな会社から技術の粋を凝らした時計が毎年のように登場しています。
その集大成として世界中の時計ファンから注目を集めているのが、毎年スイスのバーゼルで開催される新作発表会、バーゼルワールドです。
さまざまな技術を導入した時計が出品され、老舗ブランドはもちろん、ハリー・ウィンストンやヴァンクリーフ・アーペル、ショパール、シャネル、ティファニーといったジュエリーブランドも積極的に参入しています。
技術と芸術の粋を凝らした憧れのブランド時計を身に着けることで、モチベーションが上がり、毎日を豊かな気持ちにさせてくれるでしょう。
その2 ~印象を楽しむ~

皆さんは時計を購入するときの基準をお持ちですか。
パーティーにドレスコードがあるように、時計にもドレスコードがあります。
例えば結婚式に着けていくのなら、メタルベルトかレザーベルト、文字盤は白色かシルバーでシンプルなものがいいでしょう。
この場合、時計のフォーマルとカジュアルといった分類に基づいて判断します。
確かに、人が集まる場所では人気があったり派手な時計を着けたいところではありますが、冠婚葬祭にカジュアルな時計を身に着けていくのは悪目立ちして逆に格好悪いものです。
シンプルですっきりとした上品な時計を着けることで、相手に失礼がなく、好印象を残すことができます。
身に着ける時計に気を使うことで、周囲の人からの信用を得ることができるのです。
フォーマルな時計ブランドを並べてみると、ジャガー・ルクルトの「マスターコントロール」や「レベルソ」、ロレックスなら「デイトジャスト」や「チェリーニ」などが候補に上がるでしょう。
ヴァシュロン・コンスタンタンの「パテルモニー」やパテック・フィリップの「カラトラバ」なども一度は手に入れてみたいモデルです。
その3 ~機能を楽しむ~
腕時計にはさまざまな機能が付いており、その一つひとつが魅力的で、覚えておくことで楽しみ方が広がります。
機能美を楽みたいのなら、カジュアルな時計ブランドを選択することをお勧めします。
ここでは基本的な機能を少し紹介しましょう。
ダイバーズ

潜水をするときに使用できる腕時計で、防水性能が高く中には1,000mの深海の気圧に耐えられる高度な防水処理をされたものもあります。
その姿は特徴的で、潜水時間測定用の回転式ベゼルを備えています。
ロレックスの「サブマリーナー」や「ディープシー」、オメガの「シーマスター」などが有名です。
クロノグラフ

時間を記録するための機構であるストップウォッチ機能が搭載されている腕時計で、文字盤に計測メーターが備えられています。
ロレックスの「デイトナ」やオメガの「スピードマスター」、ブライトニングの「クロノマット」などが有名ですが、ほかにもロンジンが世界で初めて「クロノグラフ」を開発したのはあまり知られていません。
永久カレンダー

パーペチュアルカレンダーとも呼ばれ、毎月の日数やうるう年の計算を自動的に調整してくれる機能です。
GMT

グリニッジ・ミーン・タイム(Greenwich Mean Time)を略した名称で、24時間で1周する針を持ち、複数の都市の時間を表示することができます。
パワーリザーブ

動力が手巻きのタイプの場合、使用後に放置していると針を動かしているゼンマイが伸びて針が止まってしまうため再び駆動させるのにゼンマイを巻きなおさなければいけませんが、その駆動時間を教えてくれます。
トゥールビヨン

時計の技術を200年進歩させたといわれる伝説の天才時計技師、アブラアン・ルイ・ブレゲが1795年に発明した、重力によって生じる機械式腕時計の誤差を補正してくれる複雑な仕組みです。
この機能が付いたことで、時計の価値が飛躍的に上昇しました。
上記以外にもまだまだ時計にはさまざまな含蓄があるのですが、それはまた別の機会に譲ることにします。
知識を少し知っておくだけで時計の選択肢が広がり、見たり語ったりすることが一層楽しくなります。
時計は身に着けるアイデンティティ

冒頭にも書きましたが、今や時計を単に時間を見るだけの実用品として見たときには携帯電話の画面で確認すれば十分な時代です。
また、テレワーク等、そもそもパソコン上を主戦場としたオンラインワークが主流になりつつある今、モニターの端を見れば直ぐに時間がわかってしまうため、時計が必要ではないような気にさえなります。
ただ、それでもなお時計が求められている理由は、ブランドの持つイメージを自分のライフスタイルや考え方に乗せて発信することで、モチベーションを高めて生活することができるところにもあるのではないでしょうか。
まとめ

グランドセイコーという日本の人気時計ブランドがあります。
この会社のブランドコンセプトは「最高の普通」と「究極の腕時計」です。
このコンセプトは、グランドセイコーがシンプルで使いやすくかつ堅牢であり、毎日の生活に欠かせないものというイメージを私たちに与えてくれます。
究極の普通、当たり前のことを当たり前にやる。
プロとして当たり前のことを当たり前のようにやる。
まさにさり気ないオシャレが大好きな日本人に愛されているブランドといえるでしょう。
時代が変わっても、自分がどんな人間であるかを表現することができるところに値段以上の価値があるからこそ、私たちは時計を楽しむことができるのはないでしょうか。